前回の記事「持ち家は資産か?」では、持ち家は家賃の前払いでしかないと説明した。今回論じる「持ち家と賃貸はどちらが得か?」という比較に関して、まずは問題設定が的外れだ。「持ち家の方が賃貸より得」と言い切っている場合も多く、この間違った断言が二つ目の幻想だ。重要な事は「損得」ではなく「資金繰り」、つまり「支払いが出来るか・出来ないか」である。 ■収入と支出の困った関係 生活費の多くは「固定費」としての性質が強く、生きている限り確実に費用が発生する。一方、不況が長引く現在、将来にわたって安定して収入を得られるかどうかは多くの人にとって不確実だ。 将来の支出は確実なのに、将来の収入は不確実。 このアンバランスさが家計リスクの根本にある。支出の確実性をさらにアップさせるのが住宅ローンだ。自己破産(あるいはそれに近い債務整理)でもしない限り、ローンから逃げる事は出来ない。 ■経営者は利益より資金繰りを