「散華(さんげ)」は本来、仏の供養で花をまくことを意味する。「華と散る」と解して戦死を指すのは誤り、と広辞苑は記す。それに、実態とかけ離れている。戦場に潔く美しい死などない ▼糸満市摩文仁に並ぶ本土各県の慰霊碑にはその「散華」や「英霊」の文字が刻まれる。一番奥の国立沖縄戦没者墓苑は、管理者がネット上で「国難に殉じた戦没者」をまつると書いていた ▼文章は「誤解を招く」と削除されたが、一帯は殉国美談が支配する靖国神社のような異空間になっている。県が沖縄全戦没者追悼式の会場をここに移さなくて良かった。沖縄戦と向き合う基本姿勢に関わる ▼言葉選びも同じ。「戦没者」は厳密には軍の死者を指し、住民の犠牲者を含めて弔う追悼式の趣旨とずれがある。あいさつで聞かれる「み霊」は戦争遂行を支えた国家神道と親和性が高い ▼宗教にあいまいな日本の風土もある。丁重に弔う思いを込めて使うのだろう。ただ、定型句の裏には政