読み物と増田に関するinukororiのブックマーク (5)

  • 将来の夢考

    http://anond.hatelabo.jp/20091217224219 つづき。 「やっぱりラオス。ラオスに決まりです」 「なんでまた、そんなところを」 ぼくはガイドブックから視線を上げて、うれしそうにする彼女を見る。 彼女はラオスのガイドブックを開き、ぺージをめくりながら、つぎつぎ指さす。 「やっぱりメコン河ですかね。特にこのシーパンドーン、四千の島という意味だって書いてありますし、あとはボーラウェン高原、すごくきれいなところなんです。さっきFlickrでチェックしたら、みんなバイクで。やっぱり取らないといけないですかね、免許」 ぼくはぽかんとする。 「あー、いや、1人あたりGDPとか、総人口とか、交通の便とか、そういうのを調べないと。それじゃあ、観光目的だよ」 「観光目的です」 はっきりと言う。 彼女のいまの夢は、観光目的でラオスに工場を建てるということ。 一見すると私益と社益

    将来の夢考
  • 幸運の女神考

    職場に彼女が来るようになってからもう半年、狭っくるしい事務所が、にぎやかになった。 事務所といっても、契約のあるメーカーの工場向けの派出所みたいなところで、あるのは来客用の机と、観葉植物と、テレビと、所長の机と、ぼくの机だけ、それがパーテーションで適度に区切られている。工場を出入りする大型トラックの騒音が聞こえる以外はいたって静かで、ときおり電話が鳴って、至急の図面が飛び込んできたりする。いつもは無愛想な所長と黙々と仕事をしている。 そんな殺風景な職場に彼女がやってきたのは、メーカーの研修が終わった6月からで、なんでも技術部の連絡係に配属となったという。 美人というよりは愛嬌がある子で、大きな図面用のファイルを抱える姿はすこし気の毒に思えるほど、小柄。元気いっぱいというよりは、感情の起伏が大きくて突拍子もなく、よく言えば機動的で、わるく言えば気まぐれな子で、めまぐるしい。 「ねえ、聞いてく

    幸運の女神考
    inukorori
    inukorori 2009/12/24
    これが一本目か。
  • デート考

    石川町の駅の前に現れた彼女は、いつものように妖精のようで、いたずらっぽい笑みを浮かべて、今日はなにをしてやろうかという顔をしている。 「待ちました?」 「ええ、15分」 そういって、2人で歩き出す。 三ヶ月前からはじまった横浜開拓計画は現在でも実行中で、2人の手には横浜市のハンディな地図が握られている。 「保土ヶ谷は失敗でしたね」 「まあ、でも石川町はかなり期待しているんです」 ぼくらのデートは、カメラ持参の街歩きが主で、それはぼくの趣味にも彼女の趣味にも合っている。毎回、駅を決めて、目星をつけて、とりあえず予定は作らずに勝手気ままに、好きなように散歩するデート。 旨そうな店があれば昼をとり、面白そうな店があれば入り、歩き疲れたらカフェを探す。街歩きは一種の冒険で、見たことのないなにかに出会うかっこうの手段。特に横浜はそんなものに満ちあふれていて、シャッターを切るたびに増えていくすてきな

    デート考
    inukorori
    inukorori 2009/12/24
    かわいい増田さんと彼女。
  • ばななは激怒した。

    ばななは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の店長を除かなければならぬと決意した。ばななには経営がわからぬ。ばななは、村の物書きである。ほらを吹き、羊と遊んで暮して来た。けれどもサービスに対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明ばななは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)の居酒屋にやって来た。ばななには父も、母も無い。女房も無い。一時帰国していた友だちと二人暮しだ。この友だちは、もう当分の間外国に住むことが決定していた。送別会もかねていたのである。ばななは、それゆえ、ビールやらおつまみやらを買いに、はるばる居酒屋にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それからヨーロッパみやげのデザートワインを開けた。コルク用の栓抜きはないということだったので、近所にある閉店後の友だちの店から借りてきた。歩いているうちにばななは、居酒屋の様子を怪しく思った。ひっそりしている。も

    ばななは激怒した。
    inukorori
    inukorori 2009/08/18
    あっはっはっは
  • 気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな..

    気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな笑みを湛える爽やかな青年と、体調の優れない中年女性がドアノブを握っていた。 女の人の窪んだ目が気味悪かった僕は、青年に近寄って声をかけた。 「ここはどこですか?」 「ようこそ。ここは裕福な扉です。どうぞ、お通りください」 そう言って、青年は扉を開き僕をくぐらせた。 目の前に広がる、ついさっき見たばかりの光景。 青年と女性とがそれぞれのドアノブを握る部屋に辿り着いた。 わけの分からない僕は、再び青年に声をかける。 「ここはどこですか?」 「ようこそ。ここは裕福な扉です。どうぞ、お通りください」 そう言って、青年は扉を開き再び僕をくぐらせた。 目の前にはついさっき通り抜けたばかりの光景が広がっていた。 三度同じことが続いた僕は今度こそ事情を確かめようと勇んで青年に近づいた。 「どうしてあの女性は体調が優れないのですか?」

    気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな..
    inukorori
    inukorori 2009/07/11
    これは好い短編。
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