アル=ジャザリの『巧妙な機械装置に関する知識の書』に記されている、水力によってフルートを演奏する自動人形。アル=ジャザリいわく、優しい音色を出して昼寝から起こすよう設計した、遊び心にあふれた「目覚まし時計」だ。トルコ、イスタンブールのトプカプ宮殿博物館所蔵。 (BRIDGEMAN/ACI) 客人にタオルを差し出すからくり人形。ゾウ使いがゾウの頭を30分毎にたたく水時計。プログラム可能な最初の「ロボット」。 これらは12世紀のイスラム世界の発明家イスマイル・アル=ジャザリの驚くべき発明品のほんの一部だ。彼の発明品には、大富豪の遊び道具として作られた豪華で色鮮やかな逸品がある一方、揚水機のように、農家の人々がその後何百年も使うような実用的なものもあった。 王の下で100を超える装置を設計 アル=ジャザリは1136年、現在のトルコ南東部に位置するディヤルバクルでつつましい職人の家に生まれた。当時