シャーロック・ホームズや古畑任三郎など、フィクションの世界では、人並み外れた天才はしばしば変人として描かれている。だが、我が国の太平洋戦争下において、まさにそんな架空の天才のような人物が実在したことをご存知だろうか? その男こそ、周囲から「変人参謀」「奇人参謀」と呼ばれ、奇策を次々と考案していった黒島亀人(くろしま かめと)だ。 ■海軍内でも異端の存在 大日本帝国海軍に所属し、連合艦隊司令部の先任参謀だった黒島。山本五十六長官の信任も厚く、長官の意を受けて真珠湾攻撃やミッドウェー海戦を立案した実績の持ち主だが、その生き方はまさに変人そのものである。 旗艦『長門』において黒島は、日夜自室に籠って作戦の想を練っていたというが、「部屋の中には書類やゴミが散乱」し「煙草やお香によって常に強烈な異臭を発して」いたそうだ。 また、身なりにも無頓着な黒島は、ほとんど風呂にも入らずに「裸同然の姿で艦内をう