ソフトウェアの価値が大きく変わり始めている。機能の豊富さや性能より、使う際の「楽しさ」「満足感」「感動」にこそ価値の重心がシフトしているのだ。これからのソフトウェア開発は「製品を通して利用者が得られる体験= User Experience(UX)」を抜きにしては語れない。日立製作所ソフトウェア事業部でUXの推進役を果たしているユーザエクスペリエンス設計部(以下、UX設計部)部長の守島 浩にUX向上への取り組みを聞いた。 UX(顧客経験価値)とは、ユーザーが製品やサービスを購入し、それを実際に使った際に得られる、質の高い「経験」や「体験」を提供価値とする考え方である。混同されやすい概念としての「ユーザビリティ」が、製品・サービスの実用的品質(使いやすさ、効率、視認性など)を高めるものであるのに対し、UXはさらに利用者の感性的品質(満足感、楽しさ、感動など)も向上させる概念であることが大きな違