SF・ファンタジー作家のジャック・フィニイに、「愛の手紙」(『ゲイルズバーグの春を愛す』所収)という短編がある。古い机の引き出しを通して、現代の青年と前世紀の女性が手紙のやりとりを始め、やがて恋に落ちるという物語で、とても切なく美しく、個人的に大好きな作品の一つ。 古い写真を眺めていると、フィニイの作品の主人公たちが、もう戻らない過去の時代に属する女性に恋をしてしまう気持ちが、なんとなくわかる。まだ写真が非日常だった頃の女性たちは、レンズの向こうでやや緊張したほほえみを浮かべていたり、晴れやかに精一杯のおしゃれをしていたり、人形のように無表情であったりして、変な言い方だが、けなげでとても美しいのだ。そんな昔の女性たちを眺めるのが大好きなので、親戚の家を尋ねたときなど、なるべく「古い写真を見せて欲しい」と頼んで、デジカメで撮影させてもらっている。 上の写真は会津若松に住む親戚宅で見せてもらっ
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