『『新約聖書』の「たとえ」を解く』 加藤隆 「新約聖書の『たとえ』を解く」。「聖書」で「たとえ話」と、極私的に非常にグッとくる素材。書店で見かけて迷わず手に取ってしまいました。 期待しすぎたせいか、全体の読後感としては「まぁまぁ」なのですが、非常に刺激を受けたポイントがありました。 パラボレーという概念です。 「『新約聖書』の「たとえ」を解く」では、たとえ話が「パラボレーであるたとえ話」と「それ以外」に分類されています。 パラボレーとは、時間的な流れがあり、一見したところ語られている文脈と無関係に見える「たとえ話」です。つまり物語形式のたとえ話のことで、「誰も二人の主人に仕えることはできない」等の(ストーリー性のない)隠喩はパラボレーから除外されます。 パラボレーの中にはしばしば何らかの「異常性」が含まれます。聖書の「種まきのたとえ」には、収穫が「三十倍、六十倍、百倍になる」という下りがあ