前編では,パスワードを“使い捨て”にする「ワンタイム・パスワード」(one time password)システムが,不正アクセス対策として有効なことを説明した。ある時点でのパスワードが流出したとしても,後の不正アクセスには使えないためだ。 ワンタイム・パスワードを使うには,小型のトークンと呼ぶパスワード生成器を用いるのが一般的である。ただ,携帯電話を端末としたリモート・アクセス・システムの場合,携帯電話に加えて認証用のトークンも持ち歩くのでは利便性が大きく損なわれる。今回は,トークンを使わないワンタイム・パスワード方式について見ていく。 乱数表から決まった“パターン”で 数字を選ぶ「マトリックス認証」 ワンタイム・パスワードの基本的な考え方を維持したまま,トークンを使わずに済ませる方法の一つとして登場したのが,「マトリックス認証」と呼ばれるシステムである。認証時に数字でできた乱数表(マト