[テキスト版]
今日の記事はTwitterで3年ほど前から相互フォローさせていただいている @s_Yanasy さんの次のツイートに触発されて書いたものです。
Yanasy @s_Yanasy
宇宙の形を知りたいと思った時に、宇宙の外に出なくても良い...
多様体論もトポロジーも面白そう...
がんばろ
宇宙の形を知るためには宇宙の外から見ないとわからないはずです。けれども宇宙に果てがあるのかどうかはまだわかっていません。それなのに宇宙の外に出なくても形がわかるとYanasyさんはツイートしているのです。そんなことできるのでしょうか?
彼は数学を専攻している全盲の大学2年生です。今回の話は彼が勉強している微分幾何学や曲面論についてなのですが、高校生にもわかるように、画像付きでやさしく解説することにしました。
次の画像は私たちが地球から見ている宇宙の姿です。縦横高さの3つの方向に果てしなく伸びている3次元空間ですね。
宇宙に果てがあるのかはわかっていないのですから、実をいうとYanasyさんが言っている「宇宙の形」とは宇宙の果てのさらに外側から見た形のことではないのです。
わかりやすくするために宇宙を縦横の2つの方向だけに広がっている世界だとしましょう。上の画像を平面の宇宙と考えるわけです。
そしてこの宇宙を次のような形に貼り付けて見てみましょう。まず円筒の側面に貼り付けるとこのようになります。
このような宇宙では横方向に「真っすぐ」進むと、1周して元の場所に戻ってきてしまいますね。次に球の表面に張り付けて見ましょう。
この球面宇宙ではどの方向に真っすぐ進んでも、1周して元の場所に戻ってきてしまいます。
Yanasyさんが言っている宇宙の形とは、このように「宇宙空間が曲がっているとしたら、それはどのような形だろうか?」という意味です。説明のために2次元の面の宇宙を考えましたが、本当は3次元空間の宇宙が曲がっているとしたら?ということなのです。このような意味ならば、宇宙に果てはあるのかないのかということとは切り離して考えられるわけです。
私たちは3次元空間に住んでいますから、2次元の曲面が曲がっていることがわかります。曲面の中からだと私たちの3次元空間は「外」にあると言っていいのかわかりませんが、「曲面の中」ではないからとりあえず「外」という言い方をしているのです。
2次元の宇宙は張り付ける対象によって実にさまざまな曲面になります。たとえば次の画像では25種類の対象に張り付けた場合を例示しています。それぞれ2次元の宇宙を貼り付けた画像を想像してみてください。
注意:上から3、左から3番目にある曲面の特異点は、ホイットニーの傘と呼ばれる有名なものですが、今回の記事での枠組みでは扱えません。
私たちには平坦に見えているだけで、もしかすると本当の宇宙はこのような感じで曲がっているのかもしれません。実感としてはこんなめちゃくちゃな宇宙はあり得ないと思えるのですが、可能性としては排除できないわけです。
もし宇宙が曲がっているとしたら、その形をその内部にいながら知ることはできるのでしょうか?
第2回の記事に続きます。
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