掲載画像:3体問題(太陽と地球と月)
「技術大国ニッポン」の将来は暗い。
昨日のニュースでOECD先進57ヶ国の15歳の子供の学習到達度調査の結果が発表された。数学や理科の応用問題での日本の子供の学力低下も著しかったが、なんといっても「理科好き度」のランキングで日本は57ヶ国中で下から2番目というショッキングな結果が発表されたのだ。
少子化で子供の数が減る中、いったいこの国はどうなるのだろう。
将来、僕がもらう年金は大丈夫だろうか??彼らをもっと理科好きにして日本の産業を発展させ、僕の老後をしっかり支えてもらわなければ!!
ということで、小中学生、高校生に興味を持ってもらえるような話題を提供する「理科復活プロジェクト」をこのブログではじめることにした。「でんじろう」もどきではない。あれはエンターテイメント化しすぎていて、そのときは面白いが実際に興味を持たせられるかということについて僕は疑問を持っている。
子供は不思議なものや動くもの、きれいなもの、考えさせられるものに好奇心を惹かれる。このブログをお読みになっている「親の世代」の方々、どうかお子さんにこのプロジェクトで取り上げる話題を提供してほしい。
今日紹介するのは「引力の不思議」を「3体問題」で遊ぶJavaアプレットだ。このページのことである。
天体の運動-3体問題(衛星の運動)
http://www.ne.jp/asahi/tokyo/nkgw/gakusyu/rikigaku/wakusei-eisei/eisei.html
「Start」ボタンを押すと太陽の周囲を地球と月がまわりだす。この記事の最初に紹介した画像はその軌跡で、地球を回る月が波打つように動くのがわかる。
このアプレットでは地球や月の重さを変えたり、運動方向や速度を自分で変えられるのだ。ためしに月を重くして、地球と反対の方向に進ませると軌跡はがらりと変わる。
あろうことか、しばらくすると地球は宇宙の彼方に飛んでいってしまう。太陽の光が届かなくなり...
人類滅亡だ!
これは物理で「3体問題」と呼んでいる。3つの天体がそれぞれ引力を及ぼし合って、自分以外2つの天体の軌道を曲げてしまう。太陽と地球だけのように「2体」のときは、軌道を数学の計算で解くことができ、地球は太陽のまわりを楕円軌道を描いて運動することが導ける。
けれども、たったひとつ天体が増えただけで特殊な場合を除いて数学的には解けなくなってしまうのだ。軌道の曲線も数式であらわすことができない。3体以上の問題はこのJavaアプレットのようにコンピュータを使ってシミュレーションしてはじめて解くことができるのだ。
しかし、3つの天体がいかに複雑な動きを見せようとも、それを成り立たせている原理はF=ma (力は質量と加速度に比例する。)というニュートンの運動方程式だけなのである。(ニュートンの運動方程式は中学で習う。)
学校で教わる「2体問題」だけでは、子供の関心はひきおこせない。円や楕円の軌道はありふれているからだ。
月の大きさや運動の角度を変えて遊んでみてほしい。「引力の不思議」を体験できるし、「物理学や力学の種」が脳裏にしっかりと植えつけられることだろう。そして、最初の画像のような実際の地球と月の軌道が安定していることを見ると、そのありがたみや不思議さをあらためて知ることになる。
なぜなら、いろいろな条件で試すとわかるのだが3つの天体を安定した軌道で回すためには、速度や重さや角度を微妙に調整しなければならないからだ。
地球が安定して回っていられるおかげで、生物がこの星で進化し、文明が誕生できたことを再認識できるようになる。進化するためには長い時間が必要だ。
さらに天体が増えて「4体問題」や「5体問題」ではどのように動くだろう?この例は平面上の軌道しかあらわしていないが、立体の宇宙空間でそれぞれ勝手な方向に動き出す場合はどのような軌跡になるのだろう?また、このように複雑な状況で地球からロケットを打ち上げて探査船を月に向かわせることができるだろうか?
こういう想像を自発的にめぐらせる経験が子供にとって大切なのだ。
子供にとってこのアプレットでの数分間の脳の覚醒は、塾で過ごす数時間よりはるかに貴重なものだと僕は思う。
このような感じで、これからも「理科復活プロジェクト」の記事をときどき掲載していきたい。(「ガリレオプロジェクト」のように頓挫することはきっとないだろう。このプロジェクトが続かなかったのは物理学的な内容が予想に反して少なく、記事にしづらいことがわかったからだ。言い訳にすぎないが。)
余談: これまでも「学校で教えてくれないコト」というカテゴリーで記事を書いてきたが、それらはここをクリックするとご覧いただける。
出典:今回紹介したJavaアプレットは「中川のビジュアル物理教室」というホームページから引用させていただきました。
関連リンク:
3体問題についてのJavaアプレットはこちらにもあります。
万有引力による星の運動「万天java版」 :3体問題
http://www.bekkoame.ne.jp/~kitamula/javasoft/banyuumouse.htm
3体問題(3星運動)
http://www.kcn.ne.jp/~saiji/ThreeBody02.htm
■カオスと3体問題
http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu/1063_c3.htm
フラクタルとカオスの館(上の3体問題のシミュレーションはこのサイト内にある。)
http://www.kcn.ne.jp/~saiji/entrance.htm
英語のサイトだが、3体問題だけでなく4体問題や3次元空間での様子などいろいろな条件で見れる。かなり面白いので必見だ。
http://faculty.ifmo.ru/butikov/Projects/Collection.html
その他の物理シミュレーション・サイト
見て楽しむ物理学: Javaアプレットのリンク集
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/cc1916c366d8cb0e6d9d13088f75ee91
計算物理学のリンク集
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1ccf9ab03075931b1a923e4a01271df4
応援クリックをお願いします!このブログのランキングはこれらのサイトで確認できます。
直ったので復活しました♪(*^ ^* )V
理科の天体は、まだ好きな方です(笑)w
・・・でも、天体って本当によくできてますね~。
うぅーん、宇宙ってすごいです・・・。
これで計算問題がなかったら最高なんですけど(笑)。
お久しぶりです。
PCまで壊れていたとは災難でしたね。無事復活おめでとうございます。
> これで計算問題がなかったら最高なんですけど(笑)。
まー、しょうがないですね。計算問題の試験しないと学生はみんな勉強しなくなっちゃうから。
おそらく長い人生のうちそういう計算問題するのは高校2年か3年までだけだと思うから、あと少しの間だけ辛抱しましょう。(笑)応援しています。