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きみの靴の中の砂 https://blog.goo.ne.jp/disinfectant1953

このサイトは "Creative Writing" の個人的なワークショップです。テキストは過去に遡り、随時補筆・改訂を行うため、いずれも『未定稿』です。

みなさんに感謝: アラン・ロブ=グリエ アルベール・カミュ 伊藤整 岩科小一郎 エリック・ホッファー 尾崎喜八 金子光晴 クロード・シモン ジャック・ケルアック 田村隆一 辻邦生 辻村伊助 永井荷風 久生十蘭 フィリップ・ソレルス 船知慧 ブルース・チャトウィン ポール・ヴァレリー ミシェル・ビュトール 森鷗外 森茉莉 吉田健一 ル・クレジオ ロラン・バルト

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2022/04/07

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  • ゼンザブロニカ

    ゼンザブロニカ

    (op.20250125/Studio31,TOKYO)  早春、休耕田や河原の土手、野原で、アドニスの化身『福寿草』やイソギクを探し、このカメラで撮影した思い出がある。文献によると、江戸時代は、今の東京郊外青梅が栽培地としての記録が残る。  ゼンザブロニカ

  • 今日は誰も言い出さない

    今日は誰も言い出さない

       突堤で波が遮られているとは言え、外海に突き出したこの岬にしては、めずらしく穏やかな昼下がりの海。南中した陽を見上げ、「灯台まで泳ごう」とは、今日は誰も言い出さない。来週の今日は、もう学校が始まっている。  【白井貴子-抱きしめて】 今日は誰も言い出さない

  • まぶしい転校生

    まぶしい転校生

     まぶしい転校生だった。まぶしすぎて、親しく話すなど、ついぞ卒業までできず仕舞い...。<palign="center"><fontcolor="#ff9900">*</font></p>二十年程たって同窓会の幹事をさせられたとき、消息不明だった彼女の実家に電話して現住所を尋ねたことがあった。口調からして恐らく御尊父だろう、「あれはもううちの娘でもなんでもないから、そういった件では、以後、電話しないでもらいたい」。父親の意に沿わない男とでも結婚したか...。所帯やつれしていないことを祈る。まぁ、ぼくの想い出の中のきみは、未だ『まぶしい転校生』であることに変わりはないのだが...。<palign="center">【Jan&Dean-TheNewGirlInSchool】</p> <ahref="https...まぶしい転校生

  • キャンベル・クラムチャウダー

    キャンベル・クラムチャウダー

      早く寝て夜中に目が覚めたりして、前の食事から六時間以上経っていると、人は通常お腹が空くことになっている。自室でお湯は直ぐに湧かせるので、準備さえあれば軽食は何でも用意できる。今年になってからは、思い出したようにクラム・チャウダーを連日飲んでいる。昔、アメリカ東海岸のボストンで仕事をしたとき、レストランで出された、名物のクラム・チャウダーが大層美味しかったので、一緒に仕事をしていた日本語を理解するカメラマンのケビンに、当地の女子は家庭でこれを作るのかと聞くと、そんな女はいない、みんな缶詰だという。スープが日本の味噌汁とイメージが重なっていたから、スープぐらい作らないのかと不思議に思って尋ねると、日本だって、麺ツユを自分の家では作らないだろうと言う。なんか、分かったような分かんないような返答だった。  【...キャンベル・クラムチャウダー

  • 梅雨の頃、ロウバイに似た白い小さな花を付ける

    梅雨の頃、ロウバイに似た白い小さな花を付ける

    (op.20250124/Studio31,TOKYO)  琉球諸島で防風林として使われるフクギは、梅雨の頃、ロウバイに似た白い小さな花を付ける。夏が終わりに近付くと、黄色い、美味しそうな実は、熟して銀杏のように路上に落ちる。落下したフクギの実は、銀杏の実同様、芳香は出さない。マンゴーの仲間というが、実際はコウモリしか食べない(というか、臭くて食べられない)。  【M.Tallstrom-FoggyMountainBreakdown】 梅雨の頃、ロウバイに似た白い小さな花を付ける

  • セスナが1機半

    セスナが1機半

    イチ子さんからの葉書——引き出しの中から出てきた古い絵葉書には、ハワイ・ラナイ・シティ局の消印があった。『まるで街中の個人タクシーのようにセスナ機を運航する会社があります。HawaiiIslandsAircraftsと言って、一応、コーポレーションなんだけど、果てしなく個人経営に近いように見えます。所有する飛行機はセスナが1機半。その半分というのは修理中のが一機あって、この先、エンジンが回るかどうか、まだわからないからなんですって。社長兼パイロット兼エンジニア兼受付兼電話番を全部ひとりでやってるミューラーさんていう恰幅のいいオジさんが、そんなふうに説明してくれました。あなたと同じ、与太話が好きそうなオジさんでした。お誕生日、おめでとう。August29th,1996』【TheBeachBoys-Hawai...セスナが1機半

  • 『書くことがない』なんてあり得ない

    『書くことがない』なんてあり得ない

    (op.20250123/Studio31,TOKYO)  子供の頃の夏休みの宿題、とりわけ絵日記には苦労した思い出しかない。しかし今なら、もし『絵日記描き』という職業があって、一枚描くごとに収入を得られるなら、迷う事なく生業にしていただろう。 『書くことがない』なんてあり得ない

  • 恋のエチュード(Les Deux Anglaises et le Continent)

    恋のエチュード(Les Deux Anglaises et le Continent)

    室内の温度は22~23℃を越えないように設定するのが好きだと毎年冬になるとイチ子さんが言う。湿度にもよるが、その温度だと首筋・背筋がいくらか肌寒く感じることがあって、そんな時は——ほとんど毎日 —— 充分に暖房が行き届かなかった昔の欧州人のように着るもので調節しようとぼくを誘う。その方が風邪をひかないと信じているようだ。理由はわからないが確かに風邪をひくことはほとんどなくなった。着るものは、ぼくは、お金のない貧乏大学生のように概ねフード付きのトレーナーを重ね着している。実際、大学生の頃からのものもあり、襟や袖もすり切れているが愛着があって棄てきれない。胸や背中にいろいろと書いてあるが、それを説明していると話が逸れるのでここでは触れるのは止めておこう。二十数年前、ロサンジェルスに居た頃に買ったものが多く、当...恋のエチュード(LesDeuxAnglaisesetleContinent)

  • 冬のいち日 —— 眺めて暖をとる

    冬のいち日 —— 眺めて暖をとる

    (op.20250122/Studio31,TOKYO)  暑い時分に撮った写真や、その頃を描いた絵を引っ張り出してきて、眺めて暖をとる。これは、そんな一枚の絵画に過ぎないが、作者には、この場面・この瞬間にまつわる思い出が重なるので暖かみはひとしお。  【TheGoldenCups-WomanWoman】 冬のいち日——眺めて暖をとる

  • なんか不思議な感じがする

    なんか不思議な感じがする

      いつもどおり朝食を向かい合って食べたのに、午后は別々に仕事で都内へ。ふたりとも車を使わず、茅ヶ崎からJR湘南新宿ラインを使ったから、帰途待ち合わせれば、都内で一緒にお酒も飲めるというわけだ。「家から遠く離れた場所で待ち合わせて会うって、なんか不思議な感じがするね」とイチ子さん。  【加藤和彦-日本の幸福】 なんか不思議な感じがする

  • 高校生の娘が作る夕飯のオカズ

    高校生の娘が作る夕飯のオカズ

      ひとつ屋根の下で生活していれば、「なんか食べたいものある?」と聞かれることは良くある。「竹輪を3センチくらいに輪切りにしたのを横に半分に割ったやつを油炒めにして醤油を絡めたやつ」とぼく。「なんなの?その、お母さんのいない父子家庭で、高校生の娘が作る夕飯のオカズみたいなのってwww」とイチ子さん。料理は凝ると失敗する確率が上がる。基本的なものを作っていれば日々大成功。  【CThePenFriendClub-Darlin'】高校生の娘が作る夕飯のオカズ

  • 水口イチ子が一番好きな歌

    水口イチ子が一番好きな歌

      寒い日はお燗した日本酒が美味しい。でも、家で日本酒を呑みきってしまった時はどうするか。良く代用するのは、HotButteredRum.もともとは英国で防寒飲料として飲まれていたようなものなので、基本的なレシピはあるにはあるが、実際は、そんなものどうでもいいような作り方をする。ダークラム或いはホワイトラム(本人の適量)+お湯(本人の適量)+砂糖(本人の適量)+無塩バター(親指の先程度の大きさをフロート)。水口イチ子は、平気で有塩バターを使うこともある。西瓜に塩を振るくらいだから、塩は糖分の敵ではないという考えから来ているようだ。昨日今日は、いきなりHotButteredRumを飲むことも多い。*今夜は、水口イチ子が一番好きだというChristopherCrossの『NeverBeTheSame』をエンド...水口イチ子が一番好きな歌

  • 羊を使った実験

    羊を使った実験

      ツガイの羊を使った実験では、ペアの関係は三年でひと区切りするらしい。なんで人で実験しないのかは不明。きっと、研究者は羊のデータが欲しかったんだろうが、しかし、誰がその結果を必要とするのだろう。世の中には、お金になる研究とそうじゃないのがあるのは確か。この話に、イチ子さんはクスクス笑いっぱなし。  【LesleyGore-FoolsRushIn(WhereAngelsFearToTread)】 羊を使った実験

  • サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフ

    サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフ

      サンフランシスコの漁師町フィッシャーマンズワーフ。世界中の漁師町同様、ここにも名物を食べさせる海鮮料理店が店を連ねる。ここのそれは、イチ子さんも一緒に描かれている看板にあるように『蟹』。欧米の作法では、茹でた蟹は溶かしバターに浸して食べる。ただし、日本人が大きな丸ごと一杯を溶かしバターだけで食べるのは難儀なことで飽きる!今は客が日本人と分かると醤油を持ってきてくれるが、昔は言って出てくれば良い方で、大方、その用意は無く、日本人の事情通達は、小さな容器に醤油を入れて持ち込んだという。今は、清酒も醤油も現地法人が生産している。  【RussWilloughby-GoAlltheWay】 サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフ

  • 小さな夏の家

    小さな夏の家

      祖母が若かった頃、等高線に沿って続くこの林道は、交通の便がいいため、知る人には長いこと一般道のように使われてきたという——いち時は舗装して県道に昇格させようかという話にもなりかけていたが、なぜか幅員だけが拡張されただけで舗装化は見送られてしまったようだ。かつて辺りには夏の家が散見された別荘地ではあったが、バブル崩壊後は次第に使われなくなって空き家も増えた——それ以前、都会では、この辺りに大きな別荘を持つことは出世のステイタスと言われたこともあったが、その世代がみんな他界して以降、価値観が変わり、続けて使おうという子孫も減ったのが事の真相のようだ。周辺は1964年以前の静けさを取り戻そうとしている。画家だった祖母は、林道よりも遙かに低い裾野に『小さな夏の家』を持っていた。最寄りの駅からは歩いて三十分ほど...小さな夏の家

  • ピーナッツバターといちごジャムのサンドウィッチ

    ピーナッツバターといちごジャムのサンドウィッチ

      家から近い茅ヶ崎の海には、イチ子さんと四季を通じて頻繁に出かける。ボードを抱えて行くことがほとんどだが、散歩やピクニックでも行く。いずれにせよ、外食を予定しない限り、イチ子さんが作ったサンドウィッチを持っていくのだが、そのサンドウィッチは、家では作ることのない特別なものが用意される。米国製の無糖のピーナッツバターを塗って、補糖のためにいちごジャムをたっぷりと重ね塗りしたやつ。特に海から上がったあとに食べるそれは、口の中が塩っぱいので甘さはひとしおだし、疲労回復にも大いに役立つ。今日の海は風があって、波が綺麗に立ち上がりにくいという地域FMの情報だったので、海には入らずピクニックになった。  【ThePolice-DeDoDoDo,DeDaDaDa】 ピーナッツバターといちごジャムのサンドウィッチ

  • きみに書く物語

    きみに書く物語

     新年になったからといって、何か変わったことがあるわけじゃない。いつもどおり日が昇る頃に目覚め、数行の文章が成り立つ程度のわずかな閃きがやって来ることを願う——そんな祈りにも似た思いと共にいち日が始まる。そのわずかな閃きが、『きみに書く物語』に膨らんだなら、今日いち日は幸せな時間になる。  【BeeGees-I'veGottaGetAMessageToYou】 きみに書く物語

  • すべてをあなたに!

    すべてをあなたに!

     1964年のアメリカ。ペンシルベニア州のある田舎町にパターソン電気商会はあった。ある日、ハイスクールを卒業して家業を手伝うガイ・パターソンのところに学生時代から知り合いでバンドをやっている友人が訪ねてきた。「今夜、バンドコンテストに出ることになっているんだけど、ドラマーが急に腕を骨折したから、今夜だけドラムを叩いてくれないか」と言う。*そのバンドの十八番のオリジナル曲——本来はバラードであるその曲を、ガイはテンポを無視して、強引にアップ・テンポでドラムを叩く。それにより乗りの良いロックンロールナンバーと化したその曲”ThatThingYouDo!(きみのすること!)”で、そのバンド『ザ・ワンダーズ』は念願の優勝を果たす。その夜以来、市内にあるイタリアン・レストランでのライブのアルバイト契約、さらにシング...すべてをあなたに!

  • その頃はもう、きっと半袖を着ているんだろうな

    その頃はもう、きっと半袖を着ているんだろうな

     「さあ、靴を洗うわよ」と言うとイチ子さんは、水道のあるバルコンの端までスニーカーを提げて移動する。屋根の風見鶏を見る上げると、今日は、南西の風——どおりで汗ばむと思った。「ウッドデッキのペンキは、今年は桜が咲くまでには塗り替えるよ。早く済ませないと、すぐに暑くなるし...」とぼく——その頃はもう、きっと半袖を着ているんだろうな...。  【下町ノ夏-夏の旅路】 その頃はもう、きっと半袖を着ているんだろうな

  • パット・モランのピアノ・トリオ

    パット・モランのピアノ・トリオ

      「アタシがYouTubeでフォローしている人が新しいコンテンツをアップしていて、パット・モランのピアノ・トリオのレコードを聴かせてくれているのよ」とイチ子さんが嬉しそうに言う。続けて、「パットというニックネームは、男女共通で、男だとパトリック、女ならパトリシア。女子には他にパティーっていう、もうひとつ有名な呼び方もあるわね。でも、今日のパットは女子の方よ」とも。イチ子さんが、昔、お母さんから譲ってもらったLPレコードの中に、ちょうど同じレコードがあって、イチ子さんのお気に入りでもある一曲をこれから聴かせてくれるという。「ベースは、あなたの好きなスコット・ラファロよ。知ってた?」「知らない。まだ聴いたことない」  【PatMoran-InYourOwnSweetWay】 パット・モランのピアノ・トリオ

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