出光興産で大規模なシステム障害が起きていることが日経ビジネスの取材で6日、明らかになった。出光のPOS(販売時点情報管理)システムに不具合があり、顧客への請求書発行が遅れたり、誤った金額で顧客に代金を請求したりする例が相次いでいる。ガソリンスタンドなど販売店の中には、顧客からの支払いが滞り、資金繰りを懸念する声も出ている。

POSシステムで大規模障害が発生した出光興産(写真:竹井 俊晴)
POSシステムで大規模障害が発生した出光興産(写真:竹井 俊晴)

 日経ビジネスは、出光が1月30日付で販売店宛に送付した「1月28日以降発生したPOSシステム障害に関するお詫び」と題した文書を入手した。これによると、クレジットカードの安全対策や電子マネーの追加など機能強化のために、出光がシステム改修を実施。ところが、プログラムがうまく作動しなかったことや運用上のミスがあり、1月28日から正常な処理ができなくなったという。

日経ビジネスが入手した「お詫び」文書
日経ビジネスが入手した「お詫び」文書

 お詫び文書では「ご不便をお掛けしておりますこと、深くお詫び申し上げます」と陳謝、「(問題の)対処とともに根本原因の究明を進めております」とした。

 ただ、障害は1カ月以上、続いている。出光から販売店には、復旧状況や修復計画などの報告がされているが、少なくとも3月5日時点で正常稼働には至っていない。月末にまとめてガソリン代を支払う大口顧客に対する出光からの請求書の発行業務が滞っているため、「法人顧客からの支払いが遅れ、資金繰りが心配」という販売店が出ている。顧客に対するクレジットカードの支払い請求額が実際の2倍になっている例も相次ぎ報告されている。

 POSシステムの障害が続けば、出光は各販売店での販売実績のとりまとめができず、3月期決算の集計に影響が出る可能性もある。大規模なシステム改修で不具合が発生すると、旧システムに処理を戻してトラブルを回避するのが一般的。だが、出光は新システムの改修を続けながら、遅延したPOSデータの処理もしているため、復旧に時間がかかっているとみられる。

 出光首脳は6日朝、システム障害を認めた上で、「旧システムに戻すべきだったが、今回はしなかったので混乱した」と説明した。4月には昭和シェル石油との経営統合を控えるが、同首脳は「統合にはまったく影響がない」と強調した。

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