スマートウォッチにおける最大のメリットは、スマホを取り出さずとも、手元で通知を確認できることだ。相性の良いアプリを活用すれば、ちょっとした操作を素早く実行できることもある。
しかし、一方でスマートウォッチには「ディスプレーが小さくて操作しづらい」「スマホと同期する時間がかかる」などといった欠点もある。目的の操作によっては、スマホでしたほうが効率的な場合も多い。
ただ、スマートウォッチを無理に使う必要はない。逆に効果的に使えば、ビジネスシーンでも大いに役立つガジェットとなる。
そこで日経トレンディネットの専門サイト「スマートウォッチへの招待」では、Apple Watchを例にして、スマートウォッチならではのビジネスシーンでの活用法を5つ提案したい。
(1)予定管理をスマートにする
スマートウォッチの本質はやはり「時計」。時間管理による業務の効率化という面で本領を発揮する。
なかでもカレンダーアプリと通知機能の組み合わせは、相性が抜群。「時間を確認する」という日常動作が、スマートに変わる。
Apple Watchの場合、iPhoneやパソコンから、標準搭載の「カレンダー」アプリを使ってスケジュールを登録しておけばいい。
そうすると、設定したイベントが一定時間後に迫ると、通知がApple Watchに表示される。デスクワークや会議に熱中していても、バイブレーションで次の予定が迫っていることが通知される。
より使いやすくするためには、通知を何分前に行うのかカスタマイズしておくとよい。
iOS端末の「カレンダー」アプリの場合、iPhoneの「設定」から「メール/連絡先/カレンダー」→「デフォルトの通知の時間」→「イベント」の順にタップし、通知のタイミングを変更できる。
(2)音が鳴らないアラームを使う
先述の項目でも触れたが、Apple Watchはバイブレーション機能が優れている。
本体には「タプティックエンジン」と呼ばれる触覚技術(ハプティクス)が搭載されており、バイブレーションの感触は他社製品と比べてもかなり心地よい。これがビジネスシーンで活躍するのは、Apple Watchの「アラーム」アプリを活用するときだ。
同アプリを使うと、設定時刻にバイブレーションが作動する。例えば長時間の作業を行うとき「2時間後に小休憩を挟む」など目安を立てやすい。
また、電車移動の際に短時間の仮眠を取りたい場合も、目覚まし時計として活用できる。音が鳴らないため、マナー面での配慮もバッチリだ。
Apple Watchの「アラーム」アプリで時刻を登録する際には、画面を押し込むようにして、「+」マークをタップ。「新規作成」の画面で、時刻や繰り返しの有無、スヌーズの有無などを設定しよう。さらに「ラベル」をタップすると、音声入力でメモを追加できる。
(3)電車の乗り継ぎがラクになる
筆者は仕事柄、電車移動が多いため、乗り継ぎ経路の情報を頻繁に検索する必要がある。この検索自体はスマホで行うのが便利なのだが、ポケットやカバンにスマホをしまう場合、何度も再確認するのは手間だ。
そんなときにスマートウォッチがあると、経路の再確認をスムーズに行える。おすすめは「乗換NAVITIME」(無料)というアプリだ。Apple Watchの場合、iPhoneで検索した経路情報をApple Watchに引き継げる。なお、Apple Watch側では「乗換ナビ」として表示される。
ちなみに、サードパーティ-製のアプリを活用するときは「グランス」に対応しているものがおすすめだ。グランスとは、Apple Watchの画面を下から上に向かってスワイプしたときに表示されるショートカット画面のこと。これを使えば、素早くアプリを起動・確認できる。
(4)音声入力でメモを取る
ちょっとしたメモをとりたい場合、Apple Watchで音声アシスタント「Siri」を活用すると便利だ。音声で入力を行いiPhoneに引き継ぐだけで、素早くメモを取れる。
Apple Watchのリューズを長押しすると、「Siri」が起動する。例えば「『午後3時に会議室に集合』とメモ」のように声を出して入力しよう。Apple Watchを口の近くに寄せれば、小声でも認識可能だ。
「〜とメモ」の部分を認識すると、画面に「iPhoneで続ける」と表示される。これをタップすれば、iPhone側のSiriが起動し、「メモを取りました」と表示される。
(5)メモを手元でさっと確認
反対に、iPhoneで記録したメモをApple Watchで表示させる使い方もある。おすすめは、写真アプリを使って「画像」として表示させる方法。一度同期した写真はApple Watch内部に保存されるので、iPhoneを持っていないときでも確認できる。
利用手順は、iPhoneで撮影した写真や、スクリーンショットで保存したメモの画面を「お気に入り」に登録するだけ。Apple Watch側の「写真」アプリを起動し、画像が同期されるのを待とう。
同期が完了すれば、画像を手元で確認できるようになる。取引先の相手の名前や、手書きの地図、打ち合わせでの確認事項などを控えておく使い方もできる。
なお、Apple Watchはこの秋にリリースされる「watchOS 3」で、アプリの起動速度が最大7倍になると予告されている。新OSがリリースされれば、アプリの利用範囲が広まり、より便利な使い方も登場するだろう。
(文/井上 晃)
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