藤沢市は、デジタルトランスフォーメーションを加速させるため、市民の利便性向上と自治体事務の効率化を目指し、2022年に「藤沢市DX推進計画」を策定した。この計画に基づき、2024年度にSalesforceを活用し、市民ポータルサイト「ふじまど」を構築した。1月6日、セールスフォース・ジャパンが発表した。
ふじまどは、デジタル空間上で市民と市役所をつなぐデジタル市役所サービス。オンライン申請、オンライン予約、情報発信などの機能を提供し、住民を対象としたCRM(顧客関係管理)のデジタルプラットフォームとしての役割を担う。
藤沢市では2023年10月に、市民からの多様な問い合わせに対するWEB窓口となる「疑問解決プラットフォーム」を導入した。これにより、問い合わせを集約しデジタルで完結できるように取り組んできた。その過程でさらなるデジタル活用を進めるために、デジタル市役所の根幹となりふじまどの基盤となるデジタルプラットフォームを、Salesforce Platform活用し2024年4月から構築した。デジタルプラットフォームの構築は、デロイト トーマツ コンサルティングが支援した。
ふじまどはオンライン申請、オンライン予約や情報発信など、住民一人ひとりに対しデジタルサービスを提供する包括的な機能を持つ。住民はふじまどのポータルサイトを通して、行政手続きの実施や情報の受取ができる。職員は、デジタルプラットフォームを用い、申請の手続きや予約のサービスを内製で増やせる。
市民は、ふじまどを利用する際に「ふじさわID」を作成する。作成したIDを使い、オンライン申請や予約を行い、各種申請や予約情報の確認ができる。また、職員はデジタルプラットフォームを使って申請、予約を受け付けるための手続き、説明画面が作成でき、申請、予約情報の管理や指定した住民へのメッセージ通知が可能となる。
ふじまどは2024年10月より公開され、まずは妊娠・出産・子育て関係の手続きを中心に、オンラインでの利用が順次拡大される。特に、妊娠出産期の一連の手続きでは、市民の利用導線に合わせ、次の手続きを忘れずに実施できる仕組みが構築される。ふじさわIDは、xID社のマイナンバーカードを活用したデジタルIDソリューションを組み込んでおり、各プラットフォーム間での共通IDとして利用される予定だ。
これにより、特別保育予約システムとの連携が実現し、ふじさわIDで一時預かり事業、病児・病後児保育事業、休日保育事業の予約や空き状況の確認が容易になった。2025年1月からは、公共施設予約システムとの連携により、公共施設の抽選申込、予約、利用料支払いが可能になる。さらに、障がい者サポートページのリリースも予定されており、障がい者向けの福祉サービス検索、障がい者手帳の登録、相談の申し込み・予約もふじさわIDでできるようになる。
藤沢市は、ふじまどをあらゆるサービスの入り口として集約し、「無駄な来庁をしない(どこでも)」「市民一人ひとりのニーズに合わせた情報を配信する(ピッタリ)」「手続きが一度ですむ(簡単)」という基本コンセプトに基づいたサービス提供を目指す。これにより、市民は場所を選ばずに必要な手続きが可能となり、市役所への来庁回数を減らせる。また、一人ひとりに合わせた情報配信により、必要な情報がよりスムーズに市民に届くことが期待される。
藤沢市は、今後も各種システムとの連携を進め、ふじまどを中心にふじさわID一つで、さまざまなシステムへのログイン、利用を可能にする計画だ。これにより、市民は複数のシステムを個別に利用する手間を省き、より効率的に行政サービスを利用できるようになる。