Mobile Virtual Network Operatorの略称で,仮想移動体通信事業者と訳されている通信設備を持たない事業者が通信設備を一部借り入れてサービスを提供する方式を取るものを指す.
日本では,通常通信設備を持つには第一種通信事業者として認定を受ける必要があるが,MVNOであればその資格を必要とはせず,通信事業に参入できる.欧米などでは,携帯電話事業などでは一般的な仕組みである.
日本では,初のMVNOとして日本通信がDDIポケットのPHS回線を借り入れて定額PHSデータ通信サービス「b-mobile」を開始したのがはじめてとなった.その後,京セラ子会社のKCCSや三菱子会社のMIND,NTTコミュニケーションなどが法人向けとして続々と参入し,さらには@niftyやソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)がSo-netの事業として同じく定額PHSデータ通信サービスに参入している.
MVNOの特徴としては,自前の設備を持たないため設備投資費が低く抑えられ,異業種からの参入がしやすいことなどがあげられる.また,日本では携帯電話は各地域ごとに3社(東名阪4社),PHSは3社まで第一種通信事業者の免許が発行されているが,これ以上の会社が参入することが法律上不可能とされているようなので,MVNOのような設備を借り入れて第二種通信事業者として参入することは新しく参入を考えている企業にとってはチャンスとなる.固定回線によるデータ通信では,一般的に回線設備を持つ事業者が直接サービスを提供するのではなく,NTTなどの設備を利用して(借り入れて),インターネットサービスプロバイダ(ISP)などがサービス提供を行っている.この形に近いものと考えるとわかりやすいかもしれない。