隙間なく何かを詰め込んだ外観
小さいながらも存在感
プロトタイプがなかなかの好印象だったことをお伝えしたフロンクスが、いよいよ正式発売された。
内外装の作り込みや装備の充実ぶりを見るにつけ、さらに最近の情勢を考えると、それなりの高価格になりそうな気がしていたのだが、プライスタグは200万円台中盤にとどまった。さすがは“良品廉価”にこだわるスズキである。これでテストコースで感じた美点が公道でも感じられればいうことなしだ。
スタイリングは個性的である。既存のスズキ車との関連性はなく、他の何かにも似ていない。ちょっと表情がキツい気もするが、たしかに街中で映える。ダイナミックなクーペスタイルは印象的で、バックシャンでもある。デザインはヨーロッパをイメージしながら日本で練り、インドで仕上げたそうだ。最近は意識的にシンプルに仕上げるクルマが多い中、隙間なく何かを詰め込んだ外観は、小さいながらも存在感がある。全長が4mを切っているとは思えない。
クーペスタイルとはいえ実用性に配慮されているのもうれしい。コンパクトサイズながら後席も含め室内空間や荷室は十分に広く、快適装備も充実している。
インテリアデザインもまた、躍動感のある造形と色使いがいい。ブラック×ボルドーのちょっと渋めの2トーン配色のコーディネートは日本専用。落ち着いた中にも華やかさがある。装備では、前席シートヒーター、リアヒーターダクト、ドアミラーヒーター、ラゲッジボードが日本専用で付く。後席用エアコン吹き出しがないのは、日本仕様は「ヒーターダクトを優先したから」だという。