HERE 時を越えて

劇場公開日:

解説・あらすじ

「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキス監督とトム・ハンクス、ロビン・ライトが再結集し、リチャード・マグワイアの傑作グラフィックノベル「HERE ヒア」を映画化した壮大なドラマ。地球上のある地点にカメラを固定し、その場所に生きる幾世代もの家族の愛と喪失、記憶と希望を描く。

恐竜が駆け抜け、氷河期を迎え、オークの木が育ち、先住民族の男女が出会う。やがてその場所に家が建てられ、いくつもの家族が入居しては出ていく。1945年、戦地から帰還したアルと妻ローズがその家を購入し、息子リチャードが誕生する。世界が急速に変化していくなか、絵を描くことが得意なリチャードはアーティストを夢見るように。高校生になったリチャードは別の学校に通う弁護士志望のマーガレットと恋に落ち、2人の思いがけない人生が始まる。

ハンクスがリチャード役、ライトがマーガレット役を務め、最新VFXの技術を駆使しながら、それぞれの10代~70代の姿を演じた。

2024年製作/104分/G/アメリカ
原題または英題:Here
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2025年4月4日

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映画レビュー

3.0PCのGUIと複数ウインドウから着想した1989年の原作漫画の前衛性は失われ、「ここ」に縛られる不自由さが残った

2025年4月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

ロバート・ゼメキスは大成してからも開拓精神を失わない稀有な映画監督で、当代の最新技術を導入した映像で観客を驚かせ続けてきた。2019年日本公開作「マーウェン」の映画評を担当した際は、『「永遠に美しく…」「フォレスト・ガンプ 一期一会」で90年代ハリウッドのCG視覚効果による映像革命を、ジェームズ・キャメロンやスティーブン・スピルバーグとともに牽引したロバート・ゼメキス監督』と書いた。だが、興行的・批評的ともに成功した傑作群を高打率で世に送り出してきたスピルバーグとキャメロンに比べ、ゼメキスの場合はその実験精神が空回りして幅広い評価や支持を得られなかった作品も多い。残念ながら「HERE 時を越えて」も微妙な出来に留まっている。

原作は米国人漫画家リチャード・マグワイアが1989年に6ページの短編漫画として発表し、2014年には304ページのグラフィックノベルとして出版した「Here」。マグワイアはインタビューで、1980年代にMacintoshやウインドウズPCによって普及したGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)とマルチウインドウから、1つのコマの中に別の時代を映す小さな“窓”を描くことを着想したと語っていた。

GUIが普及する前はテキストベースのコマンドを打ち込んで処理を実行させるインターフェースだったから、マウスでファイルをつかんで別のフォルダに移動させるといった操作は直感的だったし、デスクトップ上にテキストを扱うウインドウや画像を表示するウインドウなどを複数同時に並べられるのも便利で画期的だった。1980年代にコンピュータの分野で起きていた革命を漫画表現に応用したという点で、マグワイアの「Here」は確かに当時前衛的だっただろう。

映画「HERE 時を越えて」も、マグワイアのコンセプトを踏襲し、全体のフレーム(親画面)の中に別の時代を映す小さな窓(子画面)を複数出現させ、子画面が伸長して親画面になるなどしてさまざまな時代を行ったり来たりする。カメラはほぼ全編で定点観測のスタイルにこだわり、キャラクターを別の角度からとらえることもなければ、クローズアップして表情に寄っていくこともない(俳優がカメラに近づいてアップになることはあるが)。

このスタイルにこだわった映像を観続けているうちに、映画鑑賞とは自分が同じ席(ここ)に座ってスクリーンを眺める行為だということを改めて思い知らされる気がしてきた。従来の映画、作品の世界に没入できるタイプの映画なら、自分の物理的な居場所から解き放たれ、カメラが移動したりカットでシーンが変わったりするたび、海でも山でも外国でも瞬時に移動した気分になれる。だが本作の、スクリーン上に展開するさまざまな時代の映像を定点から見続けるというスタイルが、いかに窮屈で不自由なことか。その意味で、作品世界に没入して今の居場所(さらに言えば“今の自分”)を忘れさせてくれる自由さがあるからこそ、映画鑑賞は素晴らしいのだということを、本作から反面教師のように教わった気がする。

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高森 郁哉

3.5あらゆる手法を経験し尽くしたゼメキスが挑む時空を超えた定点観察映画

2025年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

私たちが暮らすこの場所、この住居はいかなる歴史を重ねて、いま現在へと至り、未来へと続いていくのか。一見、物語にも満たない取り止めもない視点に思えるが、すでにあらゆるタイプの映画を具現化済みなゼメキス監督にとってこれくらいのチャレンジングな切り口でないと挑む価値はないのだろう。とは言え、目の前に展開するのは「定点観察カメラ前で織りなされる、時代を超越した複数の登場人物の群像劇」という言葉でいくら説明しても伝わらないシロモノだ。万人受けするとは言い難い。中にはピンとこなかったり、つまらないと感じる人もいて当然。が、慣れ親しんだ不動産の売却や、新たな物件の購入などを経験した人にとっては他人事と言えない内容かと思う。時空を超えたり、CGだったり、実写との融合だったりと、ゼメキスならではの一つの映像内に同時共存する幾つもの要素のタペストリーを見つめつつ、今ここに立つ喜びを噛みしめたくなる一作である。

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牛津厚信

5.0自分と重ね合わせて

2025年4月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

トム・ハンクスの俳優人生が詰まったような作品。親の介護が始まり、娘が巣立って行く今の自分と重ね合わせ、後半は涙が止まらなかった。自分の中ではトップクラスの作品。

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gogomarines

4.0歴史の蓄積を残すものは

2025年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

時代を越えて徹底的に定点を描く試みは面白く、その実験精神に敬服。

時代が部分切り抜きフレームで交錯する様は面白いですが、
各時代の家族の点描のエピソードが典型的なものが多く、ちょっと弱いように思え、
恐竜時代や先住民時代、開拓時代などインパクト、変化のある映像で
それを無理に補填しようとしているような不自然な構成の印象を受けた。

いっそのことトムハンクスが開拓時代の人間も演じるなど
時代を越えて俳優を重複させたら繋がりも見えるし面白いのでは、なんて思った。

定点映像では、顔、人物以外の器物にも視点を誘導し
空間全体から豊饒なドラマを引き出すことを狙っているように思ったが、
家具とか柱の傷、汚れた感じなどで歴史の蓄積をみせるのではなく
ソファなど一部を除いて、物が新しいものに置き換わっていくことで時代の変化をみせている感じがして、あまり心に突き刺さらなかった。

常に新しいものに更新されていく、若い、夢に溢れた物質世界のアメリカという国が
歴史の蓄積を語ることの、なにか空虚さを感じるようでちょっと複雑な気持ちになった。

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HK