シェルタリング・スカイ

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

「ラストエンペラー」が第60回アカデミー賞で9部門に輝いたイタリアの名匠ベルナルド・ベルトルッチが、アメリカの小説家ポール・ボウルズの同名ベストセラー小説を映画化。異国の地でかつての愛を取り戻そうとする夫妻がたどる過酷な運命を、坂本龍一による音楽とビットリオ・ストラーロ撮影による映像で詩情豊かに描きだす。

1947年、ニューヨークの作曲家ポートと妻で劇作家のキットは、北アフリカの広大な砂漠地帯を訪れる。倦怠期の2人はこの旅を通して、かつての愛と情熱を取り戻そうとしていた。しかしポートは現地の女性との肉体関係に溺れ、一方のキットも同行者の青年タナーと一夜をともにしてしまう。やがて、思わぬ悲劇が彼らを襲う。

ジョン・マルコビッチが夫ポート、デブラ・ウィンガーが妻キットをそれぞれ熱演し、キャンベル・スコット、ティモシー・スポールが共演。原作者ボウルズもわずかながら登場し、印象深い言葉を残した。

1990年製作/138分/R18+/イギリス
原題または英題:The Sheltering Sky
配給:東北新社
劇場公開日:2025年4月4日

その他の公開日:1991年3月30日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)The Sahara Company Limited & Tao Films SRL. 1990

映画レビュー

3.5映像は美しいが

2025年4月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

生を舐めたものが死によって復讐される話。現代西洋人の虚無を非西洋の文化に触れることで満たそうという魂胆自体が傲慢なように思う。ストーリーはその傲慢さ自体に触れようとしていた気がするのだが、映像美がかえってオリエンタリズムを見せつけるように働いてしまったのでは、と思った。宗主国でなくなるというのは大変ことなんだなあ、とも思ってしまった。

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ouosou

4.0淀川さんの名批評が思い出される。

2025年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1947年、NYからアフリカ北岸のフランス植民地にやってきた作曲家ポートと劇作家キットの二人は、特に仕事がなくても困らない富裕層。キットに好意を寄せる青年タナーを伴っていた。二人は、近代社会の中で、孤独に苛まれて行方を見失い、何とかして愛を取り戻したいと心のなかでは、願っている。シチュエーションとしては、少し前の時代のロスト・ジェネレーションに相当するのだろう。ポートには、ある種の性癖があるようで、一方、キットは陽気だが、コケット(浮気性)。

決定的に美しいのが、ビットリオ・ストラーロの撮影によるアフリカ北岸からサハラ砂漠にかけての情景。「アラビアのロレンス」を彷彿とさせる。
しばしば背景に流れるアフリカン・リズムも素晴らしい。これらの激しい太鼓のリズムは、すでに、北米でジャズとして花開いていたが、また中南米に戻って、ラテン音楽となり、ロックの成り立ちに一役買っている。このリズムは、生命そのものの輝きを表しているのだと思う。私にとっては、映画「アルジェの戦い」のなかで出てきた、高い裏声で、長く続く、まるでヨーデルを思い出させるような独特の叫び声を聞くことができてよかった。

やがて、ポートはタナーが遠ざかるように仕向けて(この段階で、ポートのキットに寄せる思いは明らか)、さらに二人で、気候も厳しく、不潔極まりない奥地を目指す。その結果、倒れてしまったポートを(愛に目覚めた)キットは献身的に看病する。どんなに苦しくても、ポートは嬉しかったに違いない。キットに見守られたポートの幸せを思うと、心が熱くなる。その後、キットがどうなるかは、容易に想像がつく。

ちょっと残念だったこと、迂闊なことに、音楽が坂本龍一によることに、最後まで思い至らなかった。それだけ、アフリカンのリズムに比べて、印象が薄かった。坂本の映画音楽としては、同じベルトリッチ監督の「ラスト・エンペラー」などと比べても、はるかに優れていると思うが。彼が「教授」と呼ばれるようになったのは、いつ頃からだったか。音楽を映画の一部と考える監督と自分自身の音楽との間で、相当苦しんだのではないか。

もう一つ困ったことは、原作者のポール・ボウルズが映画の冒頭と終局で、ナレーターを務めるところ。彼は、自分の出演した映画の末尾を嫌悪しているようだ。彼を出演させたのは監督の好意以外に考えられないが、原作者のナレーションは不要で、映像で描くとの方針を最後まで貫いてほしかった。

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詠み人知らず

4.0期待度◎鑑賞後の満足度○ ベルトルッチ版『インドへの道』ではなくて『アフリカへの道』か。ヴィットリオ・ストラーロのカメラワークの相も変わらぬ素晴らしさ(サハラ砂漠の美しさ!)

2025年4月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

①故淀川長治先生が激賞されていたのでずっと大スクリーンで観たかった映画の一つだった。だから今回の鑑賞は少し前からとても楽しみにしていたのだけれど期待したほど感銘を受けなかった。まあ、私ごときが淀川先生に並ぼうと言うのがおこがましいのだけれど。

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もーさん

5.0最近は「これなら お前ら喜んで感動するんだろう?」って臭う作品が多...

2025年3月5日
PCから投稿

最近は「これなら お前ら喜んで感動するんだろう?」って臭う作品が多い。自らの恥部を晒す勇気がない(能力がないのかも)
「俺なんて こんな褒められた人間ではない。でも、分かるだろう?君らも共感できるだろう?」と言うような
逆に 見てる側が 建前で隠していた恥部を 曝け出されるような作品が見たい。
夏目漱石の「こころ」のような、
シェルタリング・スカイはそんな数少ない映画の一つだと思っている。
結局、僕は共感できないダメな奴ばかりが出ている映画が好きである。ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画のような
何十億も掛けて、多くのスタッフを率いて、パンツを脱いで自分の陰部を曝け出すより恥ずかしい(最も恥ずかしい)心の恥部を曝け出す作業をするのである。
能力があったとしても僕には出来ない。
だって心の支えが無さすぎる。

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ISSI