天国の日々

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

本作の後「シン・レッド・ライン」(1998)まで20年にわたり沈黙する巨匠テレンス・マリックの監督第2作。1979年・第32回カンヌ国際映画祭で監督賞、第51回アカデミー賞で撮影賞を受賞した。

1910年代、青年ビリーと妹リンダ、そしてビリーの恋人アビーはテキサスの農場に流れ着き、そこで働き始める。やがてビリーの妹と偽っていたアビーにひかれる農場主のチャックが病気で余命幾ばくもないことが発覚。ビリーはアビーをチャックと結婚させ、そのお陰で厚遇を受けることに。しかしチャックは妻とビリーの関係を疑い……。

20世紀初頭のテキサスの壮大な農場を舞台に、人間の弱さともろさを静謐な演出でつづる。名手ネストール・アルメンドロスの映像美は圧巻。日本では1983年に劇場初公開された。2011年8月に特集上映「ZIGGY FILMS '70s '70年代アメリカ映画伝説 第2弾」でリバイバル。2025年4月には、マリック監督監修による4Kレストア版でリバイバル公開。

1978年製作/94分/PG12/アメリカ
原題または英題:Days of Heaven
配給:アンプラグド
劇場公開日:2025年4月4日

その他の公開日:1983年5月(日本初公開)、2011年8月27日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第32回 カンヌ国際映画祭(1979年)

受賞

コンペティション部門
監督賞 テレンス・マリック

出品

コンペティション部門
出品作品 テレンス・マリック

第36回 ゴールデングローブ賞(1979年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 テレンス・マリック
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(C)2025, 1978 BY PARAMOUNT PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

4.5マリック監督監修の4Kレストアで、表情はより繊細に、風景はより美麗に

2025年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

たまたま数年前NHK BSにてフルハイビジョン画質で放送されたレストア前の「天国の日々」の録画が手元にあったので、見比べることができた。夕暮れ時の麦畑でのシーンを日没直前の約20分間に撮影するなど、自然光を活かした映像でほぼ全編が構成されているため、従来版では表情や風景に薄暗い膜がかかったように感じられるシーンもあった。テレンス・マリック監督が自ら監修した4Kレストア(修復)により、膜がきれいにはがされて見通しが格段によくなった印象だ。リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパードら主要キャストの表情からはより繊細に感情が伝わり、麦の穂の黄金色が風に揺れて微妙に変化するさまなどの風景もより美麗に見えるようになった。

劇場に足を運ぶ前に4Kレストアの効果を知りたいという方は、“『天国の日々 4K』修復前・後比較映像”で検索してYouTube動画を見てみるといい。これは1080p画質だが、4Kのテレビやディスプレイが手元にあるなら、"Days of Heaven 4K trailer"で検索してみよう。やはりYouTubeで英語版予告編の1分半と2分の4K動画2バージョンが見つかるので、より高精細な映像で4Kレストア版の美麗さをチェックできるだろう。

なお、題の「天国の日々」(Days of Heaven)は聖書に由来し、「天が地を覆い尽くす日」を意味するのだそう。ほかにもイナゴの襲来などのように聖書を元にした要素がいくつかあるので、物語に込められた寓意をより深く理解するには、鑑賞後にでも関連情報にあたってみるといいだろう。

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高森 郁哉

4.0傑作が見られて満足

2025年4月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

4Kレストア版鑑賞。
若き日のリチャード・ギアとサム・シェパードを堪能。

天国の日々って何だろう、貧困の彼らの、いつか来る安らぎの日々の事なのか?と思ったタイトルは、旧約聖書から取ったものだと4K版パンフのイントロダクションに記載されている。この辺りは知識がないとわからない。

麦畑へ来るまでの列車の走る場面(横から見たとこ等)、空をバックに、広大な土地に農場主チャックの家がポツンと立つ様など確かに全体に画が美しく印象に残った。
イナゴ襲来時の炎が、チャックの怒りが炸裂したのと相まって激しかった。
エンニオ・モリコーネの音楽も良かった。
が、冒頭ビルが働いていた石炭工場のキーキー音がちょっとダメだった。

「シン・レッド・ライン」は映画館で鑑賞、内容は忘れて比べようもないが、監督の本作を見る事ができて良かった。幸せは束の間の話だったが94分によくまとまっていた。

原題:.DAYS OF HEAVEN

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ふわり

4.5ため息出ちゃう美しさ

2025年4月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリーは結構なトンデモ脚本なんだけど、とにかく絵画的に美しくため息が出るほど。前に見たレビューでミレーの落穂拾いって言ってた意味がなるほど納得!ヒュートラ有楽町でら2K上映だったけど、それがまた味があって良かったのかも。
のどかで美しく、のんびりとした。
そんな時間が続くと思ってたのに後半は大量の虫が発生するわ、それをアップで見せてくるわ、あの時代に一体どーやって撮影したんだ?ってほどリアルな燃え盛る炎のシーン、と心穏やかではない描写が続く💦

それもなお美しさを強調してくれた感じで大好きな映画になりました☺
彼女、暮らしが豊かになるとどんどん垢抜けてって驚いた。人って貧しさは見た目すら変えてしまうのかしら??

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らまんば

3.0これがそこまでの傑作なの?と正直な印象。

2025年4月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

入館時に特典としてもらったフライヤーには、「あまりにも美しく、情感あふれる永遠の名作」とのキャッチフレーズ。岩井俊二が「最初から最後まで隅々まで愛してやまない」とコメントしているし。
でもそーかー?これがそんなに傑作なのか?
確かにカメラは美しい。特に冒頭30分、列車の屋根から麦の収穫にかけてのシーン群はショットとしても凝りに凝っていて確かに非凡だと思う。そして情感溢れる、ってとこについても、まあ最初から最後まで作品のトーンとしてはエモーショナルであるってことは確かだ。
でも悪口としては自分でも常套句だとは思うけど、人間が描けていないんですね。
全般にセリフは少なく、説明的でないことはいいんだけど、リチャード・ギア演ずるビル、サム・シェパード演ずるチャック、ブルック・アダムス演ずるアビー、この主役3人の苦しみ、喜び、葛藤といったあたりが突っ込んて表現できていない。これは役者のせいではなく、演出のせいだと思う。タメがなくショットがブツギレなんですね。つまり演技がはじまる前にカットしちゃっている。ビルの妹のリンダなんてほとんど芝居をする機会を与えられていない。三角関係を見守る視点者として重要な役割だと思うんだけどね。映画の最後、ビルもチャックも死んでしまったあと、寄宿舎のある学校にリンダが預けられ、そこを脱走するエピソードがくっつくのだけど、全く無意味。そんなもの撮るのならばもっと前からリンダの出番を増やしておけよと思うのです。
結論的にいうと、この作品は、下手な演出の三角関係のドラマに、分不相応なカメラと音楽がくっついた体です。「バッドランド」に引き続いてこの再上映によってテレンス・マリック神話は崩れたと私は思うけどね。

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あんちゃん