舟を編む

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劇場公開日:2024年3月1日

舟を編む

解説・あらすじ

出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描き、2012年本屋大賞で第1位を獲得した三浦しをんの同名小説を映画化。

玄武書房の営業部に勤める馬締光也は、独特の視点で言葉を捉える能力を買われ、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を編纂する辞書編集部に迎えられる。個性的な編集部の面々に囲まれ、辞書づくりに没頭する馬締は、ある日、林香具矢という女性に出会い、心ひかれる。言葉を扱う仕事をしながらも、香具矢に気持ちを伝える言葉が見つからない馬締だったが……。

馬締役で松田龍平、香具矢役で宮崎あおいが出演。監督は「川の底からこんにちは」「ハラがコレなんで」の俊英・石井裕也。第86回アカデミー外国語映画賞の日本代表作品に選出。第37回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか6冠に輝いた。初公開から10周年となる2024年の3月に、35ミリフィルム上映を含む期間限定リバイバル上映。

2013年製作/133分/G/日本
配給:松竹、アスミック・エース
劇場公開日:2024年3月1日

その他の公開日:2013年4月13日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 日本アカデミー賞(2014年)

受賞

優秀作品賞  
優秀監督賞 石井裕也
優秀脚本賞 渡辺謙作
優秀主演男優賞 松田龍平

ノミネート

優秀主演女優賞 宮﨑あおい
優秀助演男優賞 オダギリジョー
優秀音楽賞 渡邊崇
新人俳優賞 黒木華
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(C)2013「舟を編む」製作委員会

映画レビュー

3.5先生がいい!

2024年9月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

加藤剛演じる「先生」がいい味。
「ザ・辞書の監修者」という感じの見た目で、実際に学者肌で用例採集に真っすぐな堅物な面もあるけれど、穏やかで、暖かくて、荒木さんが定年退職で去る時にはものすごく落ち込んで、マクドナルドに潜入するぐらい若者言葉にも興味津々でとてもチャーミング。こんな風に齢をとりたいと思った。

あと西岡も良かったな。泣きながら「おれこいつと結婚するわあ」のところなんて名演技。
軽くみえて、後輩への思いやりや仕事への熱い想いをもっている役を完璧に演じていて、さすがオダギリジョーだった。

映画の内容的には、ごめんなさい、小説の方が良かったです。。。
松田龍平、小林薫、オダギリジョー、宮崎あおい、黒木華、と誰もが知る豪華な面々だったのが、小説に思い入れがある人間からすると「軽くみえて」「どこか嘘っぽくみえて」逆にダメな方に作用したような気がする。宮崎あおいなんて、もうその存在だけで別世界にもっていかれちゃうし。

でも、長い年月かけて一つのことを成し遂げる醍醐味は健在でした。幸せな仕事だとあらためて羨ましくなった。

※「用例採集」自分もそういえばやっていることに気づいた。紙に鉛筆で書き溜めるのではなく、スマホのメモ帳だけれど。 言葉を集めるのはおもしろい!

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momokichi

5.0言葉を尽くす仕事を

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

大傑作です。なぜみてなかったのか、いや多分、いま観なければいけなかったんだと思う。

ドイツ語のBerufとしての仕事を、これが天命だと人生をかけてやりたいことを見つけないといけないですね。それが辞書作りと言ったはたからみたら地味でつまらないものであってもいいんです。言葉の海を渡る船を編むなんて素晴らしい仕事じゃないですか。そしてかけがえのないドラマが絶対にある。

相手に言葉を伝えること。その意味や意図は伝わらないかもしれない。伝えられないかもしれない。馬締の恋文のように。しかし相手が読み取ってくれるかもしれない。ドラマが生まれるかもしれない。その瞬間は必然的に起こるわけでもないけれど、その可能性に賭けてそれでも言葉を尽くさなければいけない。本当にそう思う。

そして言葉じゃなくてもいい。香具矢のように料理の場合もある。それは言葉で切り分けられ解釈されるかもしれないが、立派な「月が綺麗ですね」だ。

石井監督は言葉の代わりに映画を選び、尽くしたのだろう。気持ちがストレートに届いたから傑作と感じたのだと思う。

間に合わないときはある。尽くしたとしても、運命が待ってくれない時はある。けれど尽くした言葉は、別の誰かに届くことだってある。時空間を渡る言葉。相手の心を揺らす言葉。

言葉を尽くす仕事を私はしたい。

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まぬままおま

4.0時代の流れを強く感じる作品

2025年7月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

大変遅ればせながら、ドラマを追っかけようという気持ちになって、第一話を見始めたのだけれど「あれれ? こんな話だっけ?」と思い、途中でストップして、復習のために今作を再鑑賞。

池田エライザは、黒木華ってことかと納得し、ということは、ドラマは映画の後半部分からなんだなということがわかったので、この後、安心して楽しみたいと思う。

という訳で、映画の感想に戻ると、わずか10年から20年ちょっと前だけなのに、出てくる建物や風景、そして何より人々のファッションやメイクに古さを感じて驚いた。
映画の中でも、ファッション誌から異動してきたみどりが、ファッション用語の校正を行う中で「いつの時代の言葉だよ」というセリフを漏らすくらいなので、辞書を作るのにかかる時間と、流行り廃りの目まぐるしさの対比として、あえての表現だと思う。それでも連続して毎日を過ごしていると、その変化って中々見えにくい。同じように、言葉も日々変化している中で、その瞬間瞬間をなるべく新鮮に、かつ正しく切り取ろうという辞書編纂の試みは、常に改訂作業が宿命付けられた、相当な困難を伴う仕事だろうということが伝わってきた。
ただ、これだけ情報端末が普及し、検索しただけでAIによる概要とやらが勝手に示されるようになった現在以降、「正確さ」による信頼性が担保された辞書編纂は、どの様な形で残っていくのか、それとも採算が合わずに出版社からは無くなっていき、国家事業の様な形になっていくのか、はたまたそれすらもなくなって「正確さ」は問われなくなっていくのかなども考えさせられた。

出てくる役者については、芹澤興人が学生アルバイト役で、その他大勢の一人の出演だったのがびっくりした。

それにしても、早雲荘の様な建物は、最近の映画ではめっきり見かけなくなった。さすがに老朽化で現存しなくなってきているのだろうか。

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sow_miya

4.0NHKドラマからの逆流組ですが、良かったです!

2025年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2024年2月にNHKBSで放送されていた池田エライザ主演の同作で感銘を受けて、2025年6月にNHK総合での放送が決定したことで、ようやく(?)、映画版を観ることに。

NHKドラマ版は、この映画を意識しつつ、かつ、丁寧な作り方をしていることが、この映画を観てすごく伝わった。そういう意味で、映画とドラマではパラレルワールドということではなく、焦点の当て方を変えているというか、本質は映画もドラマも同じだけど、見せ方が違うだけ。どちらの作品が鑑賞の入り口でも、どちらも良い作品だと思える、ということが分かってホッとした。

映画の方が、約2時間という枠の中に納めなきゃいけないという制約があるため濃いめのテイスト。NHKドラマから入ると、松田龍平・オダギリジョーの配役に最初は違和感があったが、映画版を観終わったあとは、この2人じゃないと絶対にダメ、という感じにまで達していた。加藤剛や小林薫とか脇を固める俳優陣も素晴らしく、素晴らしい作品にたどり着けたことに感謝。(本読むのは苦手だけど、やっぱ本屋大賞だからな・・・と決断に迷う今日この頃)

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しの