ホワイトバード はじまりのワンダー

劇場公開日:

ホワイトバード はじまりのワンダー

解説

2017年製作の映画「ワンダー 君は太陽」の原作者R・J・パラシオが同作のアナザーストーリーとして執筆した小説「ホワイトバード」を、「チョコレート」のマーク・フォースター監督のメガホンで映画化。前作で主人公オギーをいじめた少年ジュリアンと彼の祖母サラ、そして少女時代のサラをナチスから救った同級生ジュリアンにスポットを当てて描く。

いじめによって学校を退学処分になり、自分の居場所を失っていたジュリアンのもとに、パリから祖母サラが訪ねてくる。孫の行く末を心配するサラは、彼に自身の少女時代について語りはじめる。1942年、ナチス占領下のフランス。ユダヤ人であるサラは、学校に押し寄せてきたナチスに連行されそうになったところを同じクラスのいじめられっ子の少年ジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に匿われる。クラスでいじめられていたジュリアンに全く関心を払わなかったサラを、ジュリアンと彼の両親は命懸けで守ってくれる。サラとジュリアンが絆を深めていくなか、終戦が近いというニュースが流れるが……。

名優ヘレン・ミレンがジュリアンの祖母サラを演じ、「ワンダー 君は太陽」のブライス・ガイザーがサラの孫のジュリアン役を続投。少女時代のサラは「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」のアリソン・グレイザー、サラを助ける同級生ジュリアンは「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」のオーランド・シュワートがそれぞれ演じた。

2024年製作/121分/G/アメリカ
原題または英題:White Bird
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年12月6日

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映画レビュー

4.0心に咲く青い花、世界に羽ばたく白い鳥

2024年12月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 映画化を知ったとき、「お、なんていい目の付けどころ!」とわくわくした。そして、監督があのマーク・フォスターと知り、これは間違いなし!と確信。その期待を裏切らないところか、軽々と遥か上を行く、ほんとうに素晴らしい作品だった。
 マーク・フォスター監督作品で特に忘れがたいのは、「ネバーランド」。緑の深い森で繋がり合う、孤独な作家と少年の姿が、今も目に焼きついている。
 本作は、本編「ワンダー 君は太陽」では親子共々憎たらしいいじめっ子だったジュリアンと、彼の家族の物語。どんないじめっ子も、最初からモンスターではない。読み進めるうちに、人の見え方がダイナミックに反転し、彼を敵視した自分の浅はかさを思い知った。そして、思慮深い祖母に心を奪われた記憶は、思い返すほどに鮮やかだ。
 映画版では、少々難ありのジュリアンの親たちは登場させず、祖母の数奇な半生と、祖母との語らいがジュリアンにもたらす変化を丁寧に描いている。
 ひたひたと迫るナチスの脅威から目を逸らし、青春を謳歌していたサラは、突然追われる身となり、恐怖のどん底に叩き付けられる。そんな彼女を救ったのは、名前さえ知らず、視界からもはじき出していた、足を引きずるさえない少年だった。
 戦争、しかもナチスものでありながら、「ネバーランド」同様に、自然の美しさが印象的。幻想的な青いブルーノの花、きらきらと光る雪のかけら。そしてサラのほつれ毛のやわらかさ。繊細な描写の連なりは、二人の成長をやさしく見守るかのようだ。心から打ち解け、想像の翼で羽ばたく二人の姿に、思わず顔がほこほころんだ。後半、物語は一気に急展開。誤解は解けたもののの、ふとした決断やそれぞれの思惑のすれ違いが、思いもよらぬ結末を招いてしまう。哀愁あるメロディにのって空高く羽ばたく、手描きの小さな白い鳥が切ない。
 ヘレン・ミレンの圧巻は言うまでもないが、サラとジュリアンを演じた2人の瑞々しい演技も素晴らしい。ジュリアンの不器用さも、そっと寄り添い見守っていたくなる。さらには、彼らを取り巻く大人たちもそれぞれに魅力的。層の厚いアンサンブルの力にぐいぐい引き込まれ、最後は彼らとともに「人間万歳!」と腕を上げて快哉を叫びたくなった。
 子どものころのささやかな出来事は、それからの長い人生の原動力となる。大人ならばかつての思い出をさぐり、子どもならば目の前の日々が愛おしくなるはず。
 つくづく、傑作。

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cma

4.5どんな行動を取るかの選択は誰にも奪われない

2024年12月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

大好きな「ワンダー君は太陽」のスピンオフ。
けれど特に前作を見なくても、話の核やメッセージは捉えられる作品になっていると思う。

ワンダーファンは、前作のようなハートウォーミングなストーリーや展開を期待していたら、少し驚いてしまうかもしれないけれど、元々この時代背景の映画が好きな私は大満足な作品でした。

普通に生活していただけなのに、否応もなく人間狩りの狩られる立場になっていく恐怖はどれほどの恐怖だったか、あの時代のユダヤの人々の気持ちを思うと本当に苦しくなる。

この時代の作品を見るたびに、私がこの時代に生きていたら、どんな行動や判断を取るだろうと考えてしまう。
憎悪や偏見に染まることは容易くて、大多数がそうなる中、優しさや他者を思う気持ちや、自分の身が危うくなっても正義を貫く人間でいられるのか。正直自信がない。

サラが経験した、人生で1番恐怖と悲しみを味わったあの時期でのジュリアン一家の優しさには涙が出た。どれだけ彼女の希望になり光になったか。
優しさとは1番の勇気、優しさは残り続ける、優しさとは何かを心に刻み込まれるような、覚えておかなければならないと思わされる作品だった。

闇や闇では追い払えない。闇は光でしか追い払えない。今世界で闇が襲ってきて助けを求めている人々が、どうか光でその闇が消え去りますように。私もその光を放てる人間になれますように。

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AZU

4.0この監督らしい構造と語り口が効いている

2024年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

マーク・フォースター作品はいつも二重構造に彩られている。二つの異なる時代や世界を対比させることもあれば、過去に起きた出来事の余波に生きる主人公を描き出す人間ドラマも多い。その例に漏れず本作も前作『ワンダー』を前提としつつ、現在地において過去の戦争の記憶がゆっくりと紐解かれていく。ナチスの侵略、ユダヤ人迫害など、何度も扱われてきた題材ではあるが、フォースターらしい二重性の皮膜を介することでフィクション上の出来事が単なる昔話でなく、リアルな切実さと温度で伝わってくるのを感じる。その中で本作は、自分以外の守るべき誰かのために命がけで行動することの意義を柔らかくも真摯な目線で訴えかける。そうできてこそ初めて人は人間らしくあることができるのだろうし、その行動は確実に未来へと繋がっていく。これは主人公に再起の力を与える物語でありながら、憎しみの加速する現代に投じられた一羽の鳥の羽ばたきのような作品だ。

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牛津厚信

5.0危なく見逃すところでした

2025年1月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

本作はポスターの雰囲気と「ワンダー君は太陽」の番外編との情報から、現代の学校のいじめ問題を題材にした作品だと思い込み、当初観る予定に入っていなかったのですが、他にこれといった作品がないので鑑賞することにした作品です。

それで鑑賞してみたところ、想像とはまるで違う内容にびっくり。ここ最近では希に見る良作で大変感動させていただきました。ストーリーは勿論ですが役者の皆さんとても良かったです。その中でも特に良かったのは回想シーンにおけるメインのお二人で、とても愛らしく本当にハマり役だと思いました。

お正月早々こういった作品に出会えて良かったです。危なく見逃すところでした。今年は本作のような作品に沢山出会えることを願います。

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alias

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