「重力ジェネレーターをオフに!」(レイン)
「上手くいく?」(アンディ)
「たぶん・・・血は落ちない」
アンドロイドのアンディとジャクソン星で生活するレイン・キャラダインは、ユヴァーガ第三惑星への移住を切望しているのですが、一方的に書き換えられた労働契約延長のため夢が叶わなくなります。
宇宙船を曳航する仕事中に、ジャクソン星の周回軌道上に偶然漂流してきたユタニ社の放棄宇宙船の信号を発見した元カレのタイラーは誰よりも早く船に潜入し冷凍休眠装置を盗みユヴァーガ星へと逃亡する計画を持ち込みます。
ユヴァーガ星への宇宙旅行には9年の時間を要するため冷凍休眠装置か不可欠なのです。
タイラー達はレインのアンドロイドのアンディなら放棄宇宙船のシステムに入り込めると踏んでいるのです。
レインとアンディ、タイラーとその妹ケイ、タイラーの従弟ビヨン、その恋人パイロットのナヴァロの6名は宇宙貨物船に乗り込み放棄宇宙船を目指します。
放棄宇宙船はジャクソン星の衛星環に約36時間後に衝突する事が判明する中、放棄宇宙船と思っていた巨大宇宙ステーションに到着します。
ステーションに乗り込み捜査にあたったタイラー、ビヨン、アンディは目的の冷凍休眠装置を発見するのですが、9年分の冷凍睡眠に足りる燃料を保有していないことに気がつき、予定外の燃料確保のために侵入した熱管理室でドアロックがかかり身動きが取れなくなってしまいます。
3人の危機を知ったレインとナヴァロは救助にむかい、レインはアンディに船のアクセス権を持たせるために何らかの事故で放置されている下半身を失ったアンドロイドからチップを抜き取りタイラーに渡してアンディのデータ上書きをさせます。
アンディが再起動に時間を費やす頃、大量のフェイスハガーが覚醒しタイラーとビヨンに襲いかかります。冷凍燃料を抜き取ったことで、冷凍状態が解除されてしまっていたのです。
再起動したアンディ一がロックを解除し脱出した3人は扉を閉鎖してフェイスハガーの侵入を防ぐのですが、かいくぐって飛び出した1匹がナヴァロの顔に貼り付いてしまいます。
フェイスハガーをナヴァロから引き剥がす方法を聞き出すためにチップを拝借したアンドロイド(科学主任ルーク)を再起動するのですが、ルークは方法はないと話します。
冷凍燃料をフェイスハガーに噴射してナヴァロのフェイスハガーを剥がすことに成功するのですが、「レインの安全確保」を最優先にプログラムされたアンディはナヴァロを残し宇宙貨物船での脱出を最善策として提案するのですが、ナヴァロの恋人ビヨンはアンディを突き飛ばし、ケイの残った宇宙貨物船にナヴァロと共に乗り込むと、仲間を残したまま宇宙貨物船をステーションから切り離し・・・。
その直後、ナヴァロの体内に植えつけられていたエイリアンの幼体・チェストバスターがナヴァロの胸を突き破り、苦悶するナヴァロは宇宙貨物船を暴走させ、宇宙貨物船はステーションの格納庫に突っ込み停止し、チェストバスターは船内に消えてしまいます。
宇宙貨物船内のケイは繭の中で成体へと成長したチェストバスターを発見し、ビヨンは電気棒を繭に深く差し込みチェストバスターに電気ショックを与えるのですが、反撃に合い噴出した強酸の血液を浴びて死亡してしまいます。
レイン、アンディ、タイラーの3名はフェイスハガーの大群から逃れる途中で扉の向こうに逃げてきたケイを発見しアンディに開錠を要求するのですが、ケイの背後にいるエイリアンを確認したアンディは解錠を拒否し、ケイはエイリアンに連れ去られててしまいます。
アンディはユタニ社の科学主任ルークのチップでデーターの上書きをしたために、最優先にしていた「レインの安全確保」は「会社(ユタニ社)の利益」を最優先するように書き換えられていたのです。
アンディはロムルスの研究施設で、エイリアンの生体から抽出された体液に、人間のDNAを配合させた物質Z-01を探し当てます。
物質Z-01は地球外ではあまりにもひ弱すぎる人間を「完全な生物」に進化させる究極の物質であり、アンディはルークに物質Z-01をコロニーに送る様に指示されているのです。
アンディは物質Z-01を宇宙貨物船に乗せて自動運転でコロニーに送り込むつもりだったのですが、その経路にエイリアンが潜んでいることが判り計画変更をして、レインとタイラーに銃器を渡すのですがエイリアンが少しでも傷つくことがあれば強酸性の血液が船を溶かすことになるのです・・・。
別ルートを探し移動する3人は繭に閉じ込められ救いを求めるケイの声を聞きます。
繭から引きずりだしたケイが衰弱していることを確認するとアンディはケイに物質Z-01を注射することを提案するのですがレインは宇宙貨物船で冷凍睡眠してコロニーに戻る選択をします。
タイラーとアンディはエレベーターの入り口付近でエイリアンの襲撃に合いタイラーは死亡、アンディは床に倒されフリーズしてしまいます。
宇宙貨物船にたどり着いたレインはケイに冷凍睡眠してコロニーに戻るように話すとアンディの救出に戻ります。
チップを抜き取ることを拒むアンディからチップを抜き取るとアンディはデーター書き換え前のアンディに戻るのですが、押し寄せるエイリアンの大群に2人は退路を絶たれてしまいます。
レインは無重力状態を作り出せば強酸性の血液が空中を漂い、船体を溶かすことがないのではないかと閃きありったけの弾を使いエイリアンに攻撃します。
大量のエイリアンを撃退し、ケイが出発せずに残っていた宇宙貨物船へ乗り込み、ロムルスから脱出した3人だったのですが、ケイは生命を維持できないと思い、レインと別れた後、物質Z-01を自らに注入していたために、物質Z-01を吸収したケイの体内の胎児は人間とエイリアンのハイブリッドとして生まれてくると・・・。
1977年の「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」の大ヒットで宇宙映画は一変して「宇宙人はおともだち」的なムードになった2年後、リドリー・スコット監督が制作している『エイリアン』の衝撃的なスチール写真が突然映画雑誌に掲載されました。
見たこともなかった重厚な宇宙空間・・・。完成した映画は期待を裏切ることのない非の打ち所がない映画でした。
「宇宙人はおともだち」ムードに傾いていた宇宙映画は『エイリアン』の登場で言葉の通じない、友好的ではない凶悪な宇宙人との闘いの映画が戻ってきます。
シリーズ作品の中で最も印象が強いのは1979年の一番最初の『エイリアン』です。
宇宙貨物船ノストロモ号が降り立った小惑星に展開する宇宙人の創造物。無数の卵のような物体から副長ケインを襲うフェイスハガー。ケインの胸を突き破り生まれでてくるチェストバスター・・・。
これまで観たこともなかった映像や感じたことのなかった感覚を抱かせた多くのシーンは「エイリアン」の正式シリーズを受ける監督であれば、自分で表現してみたくなるシーンなのでしょうが、出来上がった作品は各々面白さが有ったものの産みの親リドリー・スコットですら、強烈なインパクトを再び産み出すことはできなかったのが現実なのかもしれません。
「『エイリアン:ロムルス』はスピンオフ映画としては面白かった」のですがあんなに沢山のエイリアンが攻め立ててくるのならチェストバスターを登場させる必要があったのだろうか?
物質Z-01は人間よりもエイリアンに必要なのではないのか?と、思うくらいエイリアンが攻撃に弱っちくなってしまっているのは何故なのだろう?