アメリカは、世界は、再びトランプの手に握られた.....。
「哀れな青年」だったトランプは、いかにして"モンスター"になったのか!
今、最も観るべき映画はこれかもしれない。
たとえトランプという人物に全く興味がなく、尊敬できないとしても。
もう手遅れかもしれないけれど...。
第47代アメリカ大統領就任式のニュースを漫然と見つめる
正式にドナルド・トランプが2度目のアメリカ大統領になった。
就任式での驚くべきパフォーマンスの数々。
早くも多くの物議を醸している。
パリ協定破棄
WHO脱退
「ジェンダーは2つしかない」発言
「メキシコ湾をアメリカ湾に」発言
などなど
議会の承認を得ない大統領令を連発するパフォーマンスは、民主主義を謳いながら、危険な「独裁者」としてすら映る。
思ってはいたけど、「相当ヤバくね?」
「アメリカファースト」を掲げる猪突猛進な豪腕ぶりは、熱狂的な支持を生み出しており、彼は大統領に再び返り咲いた。
しかしその一方で、毀誉褒貶な危険極まりない政治思想と行動に嫌悪感を抱く人々も多く、不支持者も多い。
だが、確実に、正式にドナルドトランプは大統領になり、アメリカを、世界を再び動かしていくことになったのだ。
日本人として「対岸の火事」とは言っていられない。
彼の政治は、アメリカだけではなく世界に影響を及ぼすからだ。
日本にとってもその影響は計り知れないだろう。
そんな中、この映画が公開された。
この映画は、トランプが大統領になるまでを描いた映画ではない。
トランプが、"いかにして今に続く思考と行動の原動力を手に入れたか"の青年実業家時代(1970年代〜80年代)の物語である。
主役はもちろんトランプであるが、もう一人の主役が「トランプを作った人物」・ロイ・コーンだ。
悪名高い辣腕弁護士だったロイ・コーンは、今に続くトランプの思考と行動の源を植え付けた男として描かれる。
"モンスター"トランプの「創造主」なのだ。
「哀れな青年」と呼ばれたナイーブな実業家トランプは、高級クラブでロイ・コーンと運命的な出会いを果たし、彼になぜか気に入られてしまう。
映画のタイトル「アプレンティス」とは、「見習い」「弟子」という意味。
トランプは、ロイ・コーンを見習い、弟子として悪どさを学び、のし上がっていく。
ロイ・コーンから伝授された3つのルール
ルール1 攻撃、攻撃、攻撃
ルール2 非を絶対に認めるな
ルール3 勝利を主張し続けろ
指南を受けたトランプは、"3つのルール"を忠実に実践し、不動産王に成り上がっていくのだった。
今のトランプを見ていてもこの"3つのルール"を実践していることが分かる。
もう単純明快すぎて笑ってしまうくらいだ。
トランプは、なぜこの3つのルールを疑いもなく、素直に自分に信じ込ませることができたのか?
それは彼の中身が空っぽで、あまりに空疎だったからではないか。
野心だけはある、しかし、人間として空疎だったからこそ、ロイ・コーンの3つのルールをスポンジのように吸収し、自らの信念としていけたのではないだろうか。
映画は、このあたりの経緯をまさに単純明快に描いている。
トランプ役を演じたセバスチャン・スタン
もう若き日のトランプにしか見えない。
ロイ・コーン役を演じたジェレミー・ストロングも素晴らしい。
悪辣弁護士から病気で没落していく様を説得力ある演技で魅せる。
「よくこの映画、公開してくれたよね」
というのが、率直な感想。
トランプが全米公開を阻止しようしたのが分かる内容だもの。
トランプが封印したかった過去が解禁されています。
どこまでが実話か分かりませんけれど、彼の思考と行動の原理とアウトラインを理解するには最適かもしれません。
私はトランプに2mmくらいしか共感できず、人格的にはまったく尊敬できなかった。
中には「トランプのようになりたい!」と憧れる人もいるかもしれない。
だが、そんな野心家とはお友達になれないかもしれない。
トランプの熱烈支持者は、この映画をどう観ているのだろう?
応援上映してたりして。
いや、もしかしたら上映阻止に動いているかもしれない。
トランプが再び大統領になり、アメリカと世界が握られた今、この映画を観て、彼について学ぶことは、決して損はしないはずです。
貴方の経済的には全く儲けにはならないと思いますけれど。
公開阻止?にならないうちにお早めに。
この映画を観る前と観た後では、トランプに対する見え方が変わることは間違いありません。
支持、不支持、感想も分断されるかもしれません。
余談
2mmくらいトランプに共感したシーン
①最初の妻になるイヴァナにスキー場でデートを申し込み、そのあとスッテンコロリンするところ
②兄の死に際して涙を流すところ
私からは以上です。