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はだしのゲンのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

はだしのゲン(1983年製作の映画)
3.3
原爆投下による悲劇を描き、ロングセラーとなっている中沢啓治の漫画をアニメ映画化。
中沢自身が製作と脚本を手掛けている。
(1983、84分)

昭和20年、戦時中の広島。
国民学校に通う小学生ゲンら中岡家の人たちは、父が戦争を批判したことから非国民扱いされていたが、食料難の中貧しくても支え合って暮らしていた。
8月6日の朝8時15分、米軍が投下した1発の原子爆弾が広島市を一瞬にして焼け野原に変え、10数万もの人々の命を奪う。更に生き残った多くも放射能(黒い雨などの放射線)による原爆症に苦しめられることになる。
ゲンは原爆投下により地獄と化した広島で父と姉、弟を亡くすが、早産した母と生まれたての妹・友子を守り必死に生き抜こうとする…。

~登場人物~
①中岡家
・ゲン(宮崎一成):国民学校初等科2年。
・弟、進次(甲田将樹)
・姉、英子(中野聖子)
・父、大吉(井上孝雄):下駄の絵付け職人。食料確保の為に麦を育てる。
・母、君江(島村佳江)
・死んだんだ弟・進次にそっくりな戦災孤児・近藤隆太(甲田将樹)

②その他
・大きな屋敷の主人:ゲンと進次が母に食べさせようと、池から鯉を盗む。
・赤ん坊を亡くした女性→"貰い乳”
・吉田政二(森功至):原爆のため全身に大火傷を負い、うじがわく。


①原爆投下後の凄まじい地獄絵図から目を背けることなく正面から表現することで、恐怖と悲惨さを伝えようとしている。
②子どもの頃読んだ「週刊少年ジャンプ」に連載された漫画とキャラクター・デザインが違っている。当時は刺激が強く、正直好きでなかった。
③大人でもこのアニメも見るのが辛い場面がある。よって、どの年代の子どもに見せるかをよく考える必要があると思う。
②なお、漫画「はだしのゲン」が2023年に広島市立小中高校の平和教材から削除された問題について、一番問題なのは、削除によって、反戦的内容(核兵器廃絶、戦争放棄など平和思想)が子どものたちの目に触れる機会が奪われたことである。
削除問題の裏には、左翼的と批判される思想(核なき平和)と右傾化する主流派(核抑止力による平和)との対立がある。
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