ニシ

パンと植木鉢のニシのレビュー・感想・評価

パンと植木鉢(1996年製作の映画)
4.7
誰の目線かもわからず非決定的なポジションに置かれるカメラは、植木鉢を探す若き警官の視線の動きと疾走に緩やかに同化していく。監督(人間)の過去の喪失に対してそっと立ち返り、小さく本の貸し借りで印象に残ったセンテンスに線を引き共感の心の通じ合いが出来るかもしれない可能性を、また警官時代の彼の当時の女性への距離感を仕草として役者に投影していき、人生そのものを再生していくかのような。叙情性に陥らず、役者を立てることによって事件が持ち得た可能性を新たに再構築していくような開けた「優しさ」を前提に映画を組みてていることにグッと来た。
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