レオピン

戦火の中へのレオピンのレビュー・感想・評価

戦火の中へ(2010年製作の映画)
4.0
観終わってからのこのタイトルがまた泣ける。。

英題は『71-Into the Fire』
朝鮮戦争の序盤、南進してくる人民軍を防いだ71人の学徒兵がいた 

怒涛の人民軍 画面いっぱいに雄叫びを上げながら雲霞のごとく突進してくる。
隊列 林立する旗 川を渡るところなんか戦国時代の合戦のよう。しかも装備に優れていて何やら血色もいい。統制もとれているし、戦車も揃っているわで優勢ぶりが一目で伝わる。
対して南の側は防戦一方 貧弱な装備 ギリギリ崖っぷちの姿。釜山までの退却を余儀なくされる。
 
援軍を送ると言っている側が、ものすごい砲弾を浴びながら無線で会話している。あそこのギャグのような事態が、学生の彼らにも自分たちの立場・命運を悟らせたのかもしれない。

劇中では2時間とあったが、実際彼らは11時間半を持ちこたえた。⇒浦項(ポハン)の戦い (浦項製鉄(ポスコ)のポハン)
これによって北の進軍スピードが落ち反攻につながっていく。8月11日のこと。

6月25日以来、破竹の勢いの北に敗走を続ける韓国軍。7月・8月が最も困難な月。そして9月に反攻に転じる(イ・ジェハン監督は続けて撮ることになるが)。人民軍はいつも金色のススキと共に現れた。収穫のこの季節が映画のコピーどおり半島史上最も過酷な夏となった!


キム・スンウとチャ・スンウォンの『ライターをつけろ』コンビ
チャ・スンウォンの少佐は武人としての誇りから学生らに目をかけたのか
だが裏切られたことを知り烈火の如く怒るロマン主義者。ついでに何かと目障りな政治局員を射殺

『長沙里9.15』でも反目からの友情が描かれていたが、ガプチョ役のクォン・サンウさんはジャンボムのT.O.P(チェ・スンヒョン)さんとかなり年の差が開いていた、
いや 学帽がそれをまた強く感じさせるのよ 人間年相応のアイテムがあるということを知った😂


日本の戦争末期の学徒動員は高学歴エリート中心だった。年齢的にも今の大学生。この作品の学生達はほんとその辺の中高生という感じで幼い。あまりのはしゃぎすぎで北を応援してしまうくらいだったが、あの時笑っていた者もいきっていた奴も、あっという間にいなくなった。

一度の戦闘で顔つきは変わる。実戦が何よりも効果的な教育ということをベテランは知っている。適性など関係なく、血が噴き出す所を見ているかどうか。だからジャンボムは小隊長を任された。

終盤、猛攻を受ける学校の校舎の中で、まるでジョン・ウー映画を見ているかのように、二人背中を合わせて敵中を突破する。その間に気持ちを打ち明け、軽口を飛ばし、ますます相手に惚れ込む。

まだ名前を聞いていなかったな
名前など 要らないだろ

みたいな 頭の中で妄想が拡がる。気づいたら戦争映画ではなく熱い友情に涙していた。

片や、手榴弾を抱え戦車に突進していく者もいた。極限状況で自分が捨て石になることを選ぶ。彼らが見せる無私の行動に胸打たれるが、感動が危ないというのも分かっている。一見戦争の捉え方にねじれがない。知識人が喜びそうな反戦映画でもない。
でもやっぱり戦闘シーンの迫力だけでも観る者に伝わる所はあると思うのだ。負けたら国が本当に失われるというこれ以上ない切迫感が違うんだもの。


wikipedia 覚え書き
⇒浦項女子中学校の司令官は、なんと金載圭少領とある。後にKCIA部長となるあの方。キム・スンウは南山の部長ビョンさまの若き姿ということに・・・

⇒第766連隊の連隊長、呉振宇大佐。軍人でありながらも、首領父子の信任厚く序列第2位・3位まで登りつめる。チャ・スンウォンのあのオーラもあながち誇張ではないのかもしれん・・・

⇒日本の政治家、首相経験者にも学徒出陣組は多い。宇野さん、竹下さん、村山さん
宇野さんなんて指三本しか記憶にない。みな大変な経験をしてきたんだなぁ・・・
0件

    いいね!したユーザー

    レオピン

    レオピン

    セシ~ル 県道6号野田バイパス沿い深川橋交差点かど 学生時代は映画サークルに所属。 映画を観る本数はとんと減りましたが量より質?でやっていきます。 備忘録的に自分の記憶を保つため役者名なども書いて…

    セシ~ル 県道6号野田バイパス沿い深川橋交差点かど 学生時代は映画サークルに所属。 映画を観る本数はとんと減りましたが量より質?でやっていきます。 備忘録的に自分の記憶を保つため役者名なども書いております。