レオピン

オペレーション・クロマイトのレオピンのレビュー・感想・評価

3.8
【成功確率 5000分の1】

仁川上陸作戦でもう1本 朝鮮戦争の序盤の転機となった一大反攻作戦

戦争映画としてはあまり見るところが少なかったが、『ミッション:インポッシブル』みたいな追いかけっこムービーとしては十分楽しめた。見事な悪役を得るとここまで映画は面白くなる。

アクション場面の良さはいきなり冒頭、汽車の中の『グッド・バッド・ウィアード』のような暗殺劇。本物とすり変わるイ・ジョンジェの工作員。この人も毎回潜入野郎Aチームみたいなのがよく似合う。 

前半は、バレる いやまだバレてないのスリリングな展開。だけど毎回あまりにも簡単に潜入を許していて笑える 気づくの遅っ

ウケたのが副官の男を病院から拉致って、機雷の情報を吐かせる。この時の拷問が斬新すぎた。まるで大きな猛禽類に子どもが頭をカポッと捉えられてそのままさらわれるといった図で、半笑いで見送ってしまった👋🦅

もちろん怖いところも多い。電柱に吊るされる死体、人民裁判で公開処刑。革命の怖さヤバさが何気に伝わる。若き日の金日成もチラっと出てきた(イ・ウォンジョン)。
「理念は血よりも濃い」なんて、一体儒教の国でどうしてこんな言葉を信じてしまったのか。20世紀というのは、人類がイデオロギーによって互いを大量に殺しまくった初めての時代だ。

理髪店の店主(キム・ビョンオク)は時計を与えられ金日成万歳を唱えていたが、それは仮の姿だった。自宅の部屋の奥には、日帝時代に使ったという隠し部屋を用意していた。彼の姪(チン・セヨン)も、同僚から顔に唾を吐きつけられるという仕打ちに耐え、人間性を取り戻していった。

人間の頭には、子供でも裏切り者を許せないという回路があるそう。不公平さを嫌う。この反応が監視体制・密告奨励へ利用される。なんと狡猾な統治か。この仕組みを利用して国土だけでなく心の隅々まで管理しようとする。全体主義国家に生きる人々はみんな心の中に隠し部屋があると見て間違いない。

後半になると韓国側はどんどんレジスタンスっぽい服装になってきてしまう。イ・ボムスの刈上げヘアーもナチっぽくみえる。どうも定番のスタイルに落ち着くんだな。
あの部隊が実在したのか、どこまで本当かは分からない。灯台を奪取したというのはWikiにも出ていた。

ともかく ここでやめられなかったのか。。
この翌月、国連軍は38度線を越えて北進。そして中共が出てくる。ソウルは再占領、また再奪還。シーソーのように戦線はめまぐるしく半島を動き、泥沼の膠着状態へ。庶民の被害はケタ違いに爆増していった。。

マ元帥は、ペックやニーソンがやるから立派な人物に見えるが、この頃の彼の精神はどう見てもバランスを失っている。端的に全能感に満ちたトチ狂った現地司令官。どちらかというと、『地獄の黙示録』のカーツ大佐のような男。
この辺り、一般的な韓国人のマックへの感情というのはどうなんだろうか。ぜひ聞きたい。

またこの人は、世界で一番写真や映像の「映え」に関心があった人。どんな時にも不用意な写真などなく練っている。この作品でも日比谷の第一生命ビルに将軍たちを迎えて写真を撮らせる場面が出てくる。この時代には珍しく自己演出ということに長け過ぎた政治家的軍人。ラストでイ・ジョンジェに敬礼をするカット。あの世のマッカーサーからOKもらえたか。


⇒YouTube 朝鮮戦争前半
ttps://www.youtube.com/watch?v=DGFKMKi-Cck

伝説の動画🤔
レオピン

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