凄い。もう1本の今年公開作『BLUE/ブルー』も素晴らしかったが、それに輪をかけて怪作。一体どこまで行くんだ吉田恵輔!
お得意の“笑い”が一見封印されたかのように見えるも、「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」(チャップリン)的な、どん底の地獄絵図を見せられているはずなのにどこか笑えてきてしまう感覚もそこにはたしかにある。冒頭のショッキングシーン然り、話の内容的にも吉田監督版『ヘレディタリー/継承』みたいな趣すらもある(相変わらずのイジワ~ルなタイトルの出方!)。
役者陣も皆この上ないハマりっぷりで、古田新太の怪演は言わずもがな、古田演じる主人公の元妻役の田畑智子のうつ病だったっぽい設定とか妙にリアルだし、松坂桃李のあの根暗ボソボソ演技バランスも十八番といった感じ。片岡礼子さんも圧巻。
今年の邦画は腹にドスンとくる邦画ばかりだけれど、とりわけ本作はドスンときた。