あらすじ
蒋介石から“中正剣”を贈られ、公債暴落の尻拭いを任された沈図南は、日本人に罪を着せ民衆の怒りを外部に向けようとする。魏若来は、大家の周が公債暴落で家を失い、気が触れたことにも責任を感じ、警察が証拠を隠滅する直前に公債取引一覧を盗む。一覧から財政部高官の妻が黒幕だと突き止めた魏若来は、真相を沈図南に伝える。
みるアジア
ネタバレ感想
アンタは羊だ、狼じゃない。早く抜け出せ。でないとヤツらに食われるぞ。
そう言い残して、阿文(アーウェン)は飛び降りました。
あんなに若来は念を押して忠告した。
だけど、彼らはそれを無視した。
自業自得には違いない。でも、行き場のない最後の感情は若来に向かい、若来を責め、そして結構本質的な言葉を残していった。
出来事も出来事ながら、目の前で親友に自殺されてしまう。
若来はものすごく背負ってしまうんでしょう。
クラブでは、大儲けした張鳴泉(ジャンミンチュエン)がお札をばら撒いていました。
ソファ席には、虞世清(ユーシーチン)、康少捷(カンシャオジエ)、余志英(ユージーイン)。
大姐のコバンザメは4人組となってたわ。
虞世清はまだ、取り引き記録の処分はしていないみたい。近真、急いでっ。
更に、後始末、全ての責任は沈図南が被るよう、南京から命令が出るらしいよ。
宋先生、ダメダメじゃん。
央銀では、なぜ売却禁止を決めた途端、空売りされたのか、偽造銀貨事件でも、閘北(こうほく)を疑った途端、林樵松が閘北でアジト発見と偽工場を摘発した、タイミングが良過ぎると、ようやくそれに気付いてましたよ。
そして全て電話だったと、盗聴器を見つけた。やっとかー。
黄秘書は、蒋委員長に訴えましょうと言うけど、図南は上層部が知らないとでも思うのか、だって。
今回は央銀を表に立たせ、裏で儲けた。責任を負うのは央銀。
それを聞いて、さすがの黄秘書も、こんな仕事、まだ続けるんですかと言います。
図南は、できない、もう無理だと部屋を出て行き、黄秘書もうんざりですと言って従います。
七宝街では、周(ジョウ)さんがアパートを抵当にしてしまったために、債権者に踏み込まれてました。
帰って来た若来が驚いて、殴られている周さんを抱え起こしたり、周さんを庇って代わりに殴られたりしてるってのに。
周さんは、若来が頷いたから、それを信じて借金をして国債を買ったんだと言う訳だ。
そこは間違いなかった。でもさ、その後があったじゃん。
あれほど借金はするな、80元から先は読めないから、すぐ売れと言われていたのに、そういうのは全部無視して嘘をついていた癖に。
だから言わんこっちゃなかった。でもこれは若来が甘過ぎたよね。
え?みたいな若来の表情が切ない。
若来の政治的姿勢転換のための、これでもか、これでもかのシナリオだしなー。
七宝街が好きだ、ここの人達が好きだと若来に言わせて、給料が上がっても租界に転居させないまま、こういう辛い思いをさせる訳だーよー(>_<。)
ただ、小魏、良心はないのとまで言って半狂乱になっている周さんに、あのじいちゃんだけは、自業自得だと言いました。
投資には危険が付き物。分相応に買い、借金はするなと、若来には忠告されていた。欲張ったせいだ。
それでも、周さんがその場でおかしくなって倒れてしまったから、若来は無責任な住民達から一斉に糾弾されちゃう。可哀そうに。
沈家でも、不穏な雰囲気の夕ご飯。
図南は、国のために央銀に来たが、国は私が必要ではないらしいと憮然とした表情で言ってます。
だから、明日、辞める。
近真が、ついに南京に失望したのと聞くと図南は、元から期待してなかったが、ここまで酷いとは、せっかく好転した状況が台無しだと。
なぜそうなるか、考えたことは?と近真。
権力増大に法の不備。身内優先主義。それで制度が機能しない。残念だ。
そこまで分かっていたのに。
それでも、宋先生と自分なら、そこに風穴を開けられると思っていたってことか。
若来は、国のために建設国債を買おうって新聞の切り抜きの前に座り込んでました。
春苗(チュンミャオ)が、何か食べてとスープを運んで来てくれたけど、微動だにせず。
思い詰めないで、アンタは悪くない。借金をして投資するなんて欲張りだ。
春苗の言葉も、若来の自責の念は溶かせない。
僕が頷かなければ、買わなかったと呟く若来。
決めたのは本人。悪いのは裏で相場を動かした人。偉い人に仕返しできないから、下っ端のアンタを罵る。どうかしてる。
最初の登場を考えると、春苗がこんなに真っ直ぐで、正しく状況把握ができる子だとは思わなかったよねえ。
2人は外に出て、阿文の人力車の前で冥銭を燃やします。
じいちゃんも籠いっぱいの冥銭を持って、ひょこひょこやって来ました。
じいちゃんは数年前に破産して、ここに隠れたんだそう。
またこんな騒ぎが起きるとは。今回は前回より更に酷い、と。
ごめんと呟いた若来。周さんが家を失ったから、おじさんも引っ越すことになったからと。
でも、じいちゃんは元々引っ越す予定だったんだって。息子が香港で仕事を見つけて、一緒に暮らそうと手紙をくれてたんだって。でも、みんなと離れがたくて、引き延ばしてたんだって。
じいちゃんは、若来は賢い上に善良だ、今の仕事は合わないと言ってくれました。
上海の金融界は、腹黒くなければ生き残れない。今回は沈君が責任を負わされる。
どんなに能力や志があっても、役には立たない。最初から、この結末は決まっていた。
そこに、正気を失ってしまった周さんが出て来ました。
若来を息子よと呼び、じいちゃんをあなたと呼び。
夫も子供もいない人なのにね。もう自分に都合のいい夢の中にいる。
部屋で証券取引所の見取り図を見ていた近真は、蒋介石の副官室の明達(ミンダー)主任が来たのを見ます。
明達は屋敷には入らず、蒋委員長からの言づけがあると言いました。
金融統一は国の軍事的統一に重要。上海の金融を乱すな。金融統治の大局は汚されてはならぬ。
全く、どの口が。
でも今回の事後処理に宋先生は図南を指名したとして、肩の荷は非常に重いとして、死ぬ覚悟で挑めと中正剣を贈って来たよ。
何よ、中正剣て。
ちょっと調べたら、蒋中正と呼ばれていた蒋介石が、黄埔の卒業生に贈っていた軍刀らしいんですけど。命がけで国民党のために戦えってことか?
さすがに図南が離脱してしまうだろうことを考えて、いち早く止めに来たってことか。
明日辞めるとか、遅すぎたよね。昨日のうちに辞めときゃとかったのに。
書斎で、中正剣と自殺者続出の新聞とを並べて見ていた図南。
入ってきた辞書に、これは剣ではなく、鎖と枷だと言った図南は、辞書と魚児(ユーアル)を実家に避難させようとします。でも辞書はそれを拒みました。
うーん。気持ちは分かるけども。家族なんだから近くで支えるってのは、ストッパーにもなるけど、多大な足枷にもなるんだよなー。
閉鎖されている証券取引所の前にはデモ集団。
若来も来てたけど、その視線は建物を見上げてる。この人、忍び込む気ね?
春苗と姪に支えられた周さんは、暴れながら病院に隔離されて行きました。
そして何も知らない姪が、若来の家族かと、春苗を怒鳴りつけて捨て台詞を吐いてく。
周さんと言い、この姪といい。
若来は、机の上に資本論を置いて、新聞を手にして、様々思い返して、悔やみながら涙していました。
春苗が戻ってきて、周さんの入院費、いくら出す?って。はあ、それもあるのか。
春苗は、仕事も辞めて家も失くして、上海に残る意味があるのかと、若来を掴んで一緒に江西に帰ろうと言うんだけどね。若来はそれを振りほどき、このままじゃ帰れない、後悔すると。
命がけで戦うと叫ぶ若来を、唖然として見る春苗だけど、逆でしたよ。
それでこそ、男だ!だって(笑)
はい、案の定だ。若来くん、上海証券取引に忍び込んだよ。
大口取引記録の証拠書類を持ち出すためだね。
んで、そこには先客がいました。近真ですよっ。
即、協力して書類探し。
若来の損失は、蓄えが消えたくらいだったらしい。でも仲間は酷い目に遭ったから、徹底的に戦うと。
近真は、彼らと闘うには怒りだけでは不十分、知恵と勇気がいると言います。
若来は、とにかく黒幕は罰を受けるべきだと言うんだけど、その黒幕がなあ、デカすぎるんだよね。
近真は、これほどの大事を、蒋委員長が知らないと思うかと聞きました。
若来は、知っている証拠は今はないと答えたけども。
取り引き記録が見つかり、段ボール箱を抱えて脱出しようとした時、余志英たちがやって来て、倉庫に火を放ちました。
投資に失敗した者が腹いせに放火、警察局は命がけで消火したって筋書きらしいわ。
物陰でそれを聞いていた近真は、警察局の幹部が自ら放火して証拠隠滅を図った、これこそが確かな証拠だわと言いましたわよ。
近真と若来は、書類を若来の部屋に持ち込み、春苗も見ている中で、必死に計算します。
近真が自分達のやり方で公表したいと言うんだけど、若来は顧問に任せたいと言いました。
あー、まだ期待してるのか。近真はそこまで兄を思ってくれるのかと、若来に任せることに。
でも慎重に、兄は辞めるつもりだったけど、上は中正剣を贈って退路を断ったと教えてくれます。若来は、顧問は師匠だから贖罪の機会を残したいんだって。自分のためにも。
若来のいない央銀の会議。
上層部は無関係。陰謀論はでたらめ。証券取引所から書類は運び出しており、分析の結果、日本の投機家、福田信一の仕業。新聞各社も記事を出す。見解の統一を図り、民衆の注意を外に向ける。金融市場の安定に悪影響を与えてはならない。
図南が覇気のない顔でそう話すのを、廊下で若来が聞いていました。
解散後、若来が会議室に入ろうとするのを、黄秘書が止めます。
図南が了承すると、若来は、いつ取引記録を入手したのかと聞きました。
昨晩、余志英が資料室を燃やした。これは火事現場にあったものだと、資料を手渡します。
元凶は日本人じゃない。財政部高官の妻だ。虞世清、康少捷、張鳴泉、黄道五(ホアンダオウー)らが共謀して、1500万元の暴利を貪っていた。
黄道五って、誰?(笑)
さて、師匠、沈図南は若来の突き止めたこの証拠をどうするでしょうか。
黄秘書も廊下で聞いているよ。
っちゅーかさ、図南も、これを突き止めて証拠として手に入れちゃう辺り、若来の手腕には驚くばかりってところでしょうが。ともあれ、詳細は分からなくても、だいたいのところは分かってるはずなんでねえ。
その上で、この人は先の会議を開いていたってことなんだよね。
はーあ。
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