2025.01.04
「モンスターを倒した」母から束縛され続けた31歳娘が母親を刺殺…その想像を絶する「一部始終」
2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物ものかさえ判別が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。
女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。
警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか――。
獄中の娘と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、『母という呪縛 娘という牢獄』。大ヒットノンフィクションとなった同書が漫画化(漫画『母という呪縛 娘という牢獄』原作:齊藤彩 漫画:Sato君)され、こちらも話題を呼んでいる。コミカライズを記念し、原作書籍より抜粋してお届けする。
決意と逡巡
妙子は夜、あかりにマッサージをするよう求めるのが常だった。
就寝する前、リビングルームに敷いた布団に横になって、30分から1時間かけて足裏からふくらはぎ、腰、背中という順番で全身を入念にマッサージさせ、最後に首を揉もむ。マッサージが首に及ぶころには、妙子はたいがいの場合、気持ちよさそうに寝息を立てた。