2013.06.13

「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第7回】 ~「出口政策失敗の教訓」を考える~

〔PHOTO〕gettyimages

 最近の株価調整の理由として、市場関係者の間では、様々な要因が指摘されているが、その中で有力なものは、「FRBが今年終盤頃に出口政策に踏み切る可能性が高い」というものだろう。

 バーナンキ議長やイエレン副議長、及び、FOMCで投票権を有する有力なFOMCメンバーから出口政策に対する積極的な発言は聞こえてこないが、投票権を有していない地区連銀総裁やFRBの元幹部らが、早期の出口政策の可能性、または、出口政策の必要性を主張し始めており、5月半ば以降、米国の出口政策が市場の大きな関心事となっている。

 その背景としては、米国経済の回復が顕著になってきたことがある。特に住宅投資関連指標の改善が著しい。例えば、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)は151.71ポイント(季調済ベース)で、「住宅バブル」崩壊後の最低水準(136.83ポイント、2012年3月)から10.9%上昇している。住宅販売戸数は、新築、中古とも大きく伸びている。また、4月の完全失業率は7.5%で、リーマンショック後のピーク(10.0%、2009年10月)から2.5%ポイントの低下となっている。

 もちろん、今回の調整局面前までの株価の上昇も出口論の台頭を促す一因となっている。これらの強い経済指標が、「現行の量的緩和政策(QE3)をこのまま継続させると、将来の景気過熱(インフレ)懸念や株価や住宅価格の行き過ぎた上昇(バブル)懸念を誘発させかねない」という見方を台頭させている。

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