最近なんだか太ったかも・・・! そのワケは、脳内に分泌された麻薬の仕業!?

~「人はなぜ太るのか」の謎に迫る~

脳の図解。人間だけが持つ第二の食欲を司っているのが前頭連合野だ
畿央大学大学院健康科学研究科教授
山本 隆先生

1944年、福井県生まれ。大阪大学歯学部を卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科教授などを経て、現在は、畿央大学大学院健康科学研究科教授

ヒトは脳に太らされている

松尾貴史(以下、松尾) 脳科学と味覚生理学がご専門の山本隆先生によると、「ヒトは脳に太らされている」のだそうです。意志が弱いのか、それとも食べることを我慢できないのか・・・はたしてどういった意味なのでしょうか?

山本隆(以下、山本) 本題に入る前に、まずは「食べる」という行為について、お話ししようと思います。

「食べる」ことは、クルマにたとえるならば、走行後の給油によく似ています。生き物には、体の内部環境を常に一定に保とうとする性質があるため、消耗したエネルギーをはじめ、アミノ酸やカルシウム、ミネラルといった体に必要な栄養素を補充するために食事をする。そして、体に必要な栄養素はおいしいものである、という原則があります。

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松尾 アミノ酸なんて、いかにもおいしそうな印象です(笑)。

山本 ええ、そうですよね。ただ、ここで注目してほしい点は、エネルギーや栄養素を補充するのは動物も人間も同じなのに、野生の動物、たとえばキリンやライオンには体形に個体差がないことなんです。彼らは同じ種同士ならばほぼ均一に近い、一定のスリムな体形をしていますよね? すごく太ったキリンやライオンを見たことはないでしょう?

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