新型コロナウイルス感染症患者の肺はこんな感じ、医師が実際のデータからVRモデルを作成
2019年末から猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、主な症状として発熱、せき、たんが報告されており、重症化した場合は高熱、気管支炎、肺炎などが併発するといわれています。そんなCOVID-19に感染して重症化した患者の肺を実際のデータから3DCGで再現し、VR空間でチェックできるモデルを作成したと、ジョージ・ワシントン大学付属病院が発表しました。
Podcast: GW Hospital Uses Innovative VR Technology to Assess Its First COVID-19 Patient | George Washington University Hospital
https://www.gwhospital.com/resources/podcasts/covid19-vr-technology
GWU uses VR to take you inside a coronavirus-damaged lung | VentureBeat
https://venturebeat.com/2020/03/24/gwu-uses-vr-to-take-you-inside-a-coronavirus-damaged-lung/
公開されたVRモデルの映像は以下から見ることができます。
Mortman COVID-19 Flythrough 2 - YouTube
3DCGモデルで再現された胸部。胸骨と肋骨に包まれているのは……
患者の肺。半透明の青い部分が肺で、感染した領域は黄色で描画されています。
無数に枝分かれしている気管支の先に、損傷部位が広がっています。このVRモデルは患者のCTスキャンなど、実際のデータを基に作成されたとのこと。
VRモデルなので、気管支の内側を進むように肺を観察することも可能です。
どこか一部分だけではなく、肺全体がCOVID-19による損傷を受けていることがよくわかります。
このVRモデルは、ジョージワシントン大学付属病院の胸部外科長であるキース・モートマン医師と医療系VR企業のSurgical Theaterによって共同開発されたもの。これまでにもモートマン医師はSurgical Theaterのソフトウェアを使い、患者のデータを使って腫瘍を可視化する試みを行ってきたとのこと。
「COVID-19患者の肺をSurgical Theaterのソフトウェアで可視化したところ、急速かつ進行性のある損傷が肺に認められ、人工呼吸器よりも高いレベルの治療が必要であることが判明しました」とモートマン医師は述べています。その後、患者は「体内から静脈血を取り出し、人工肺で二酸化炭素を除去すると同時に赤血球を酸素化し、体内に戻す」という体外式膜型人工肺(ECMO)で処置されました。
モートマン医師は「肺炎が長期間治まらない場合、肺に長期的な弥漫性の損傷がもたらされ、呼吸能力に影響を与えると考えられます」と述べ、COVID-19による肺の損傷が永続的なものである可能性を示唆しています。
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