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世界人口の減少に伴い発生する問題とは?


世界人口は80億人に到達し、増加の一途をたどっていますが、日本や韓国のように年々人口が減少している国家も存在します。人口減少が波及すると国や地域はどのように変わっていくのか、対策法はあるのかについて、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しました。

Why Korea is Dying Out - YouTube


人口の増加は長らく、疫病や戦争の影響でゆっくりとしたペースでした。しかし、産業革命による急激な進歩を迎えて以降は指数関数的に増加し続け、1999年には60億人に、そのわずか24年後には80億人に到達しています。


人口増加は少なくとも2080年まで続くと見られていますが、Kurzgesagtは「この予測は人間の出生率を甘く見ている」と指摘しています。


現在の人口を維持するためには、1組の夫婦が平均して2人の子どもを産む必要があります。この数が多ければ人口が増加し、少なければ減少します。この数字が1を下回る唯一の国が韓国です。


2022年時点での韓国の出生率は0.8で、世界最低です。


これは、50組(100人)の男女から生まれる子どもが40人で、その40人が結婚適齢期になってから生む子どもが16人で、その16人が生む子どもは6人で……と続く計算につながります。


これにより、韓国の人口は2100年までに1950年頃の水準まで減少する可能性があります。


「以前の人口に戻るだけ」と楽観的な視点も湧きますが、問題は人口構成にあります。1950年、韓国の年齢の中央値は18歳でした。


この値は2023年に45歳となり、2100年には59歳になるだろうと予測されます。韓国は高齢者の国になります。


中国もこれに続く可能性があります。中国は急速な工業化と都市化により爆発的に人口が増加しましたが、人口増大を鈍化させることを目的とした一人っ子政策などもあり、各家庭が少人数の家族を好むようになりました。これにより中国の出生率は過去数十年にわたって低水準を維持しています。


中国も2100年までに人口が大幅に減少すると見られています。


中国の出生率は東アジア諸国の中でも低いですが、同様に日本も低い水準となっています。


ヨーロッパに視点を移してみると、ヨーロッパもアジアと同様に出生率が低いにもかかわらず、人口減少はよりゆったりとしたペースです。これは移民が流入しているからですが、移民の多くが出生率の低い国から流れてきているという別の問題も起こっています。


さらに、移民の多くはドイツのような経済的に強い国に移住するため、全体的に見て人口の減少は加速しつつあるとのこと。ヨーロッパの平均年齢は46歳と、世界で最も高い水準のひとつを維持しています。


中東北部とサハラ以南のアフリカでは出生率が依然として高く、2を上回っているところがほとんど。


一方で、国連はアフリカの人口が2100年までに7億3300万人になるだろうとの予測を5億4600万人にまで引き下げていて、予想より早く出生率が低下していることが注目されています。


健全な社会にとって、働き盛りの年代の人々が何よりも必要です。過去の世界では、多くの若者が少数の高齢者の世話をするという社会構造が成り立っていましたが、多くの高齢者を少数の若者が支えるという逆転の現象がすでに発生しつつあります。


たとえ裕福な国であっても若者の経済的負担は計り知れず、いずれ持続不可能になります。中国を例に挙げると、生産年齢人口は2050年までに20%減少すると見られており、その数は最大2億人に上ります。


生産年齢人口の減少は、まずインフラの衰退を招きます。これはドイツや日本の田舎ですでに起こりつつあります。


高齢化社会のもうひとつの危険は、選挙で選ばれた人間が高齢者の声を聞きがちになってしまう可能性があるということです。高齢者のために、イノベーションよりも富の保全を求め出すと、巨額の投資と斬新なアイデアを必要とする問題に対処できなくなります。


Kurzgesagtは「出生率の低下を防ぐ最も簡単な手段は移民を招くこと」としていますが、移民の出生率は3世代かけて低下していくため、人口を維持するためには絶え間なく移民を受け入れる必要があるそうです。さらに移民の流入元の国の人口も考慮すると、結局持続可能な方法とは言えません。


移民はまた、社会的または文化的な緊張を生み出す可能性があります。これはどの文化においても普遍的な現象です。


また、子育てによりキャリアを妨げられるという問題や、近年急速に流行しつつある個人主義から、そもそもパートナーを見つけようとしない人が増えているという問題もあります。


Kurzgesagtは「少なくとも、親の生活をより豊かにしたり、住宅を安価にしたりするなど、子育てがキャリアの障害となるのをやめさせなければなりません。私たちは、家族に対してもっと前向きな文化を築く必要があります」と述べました。

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in 動画, Posted by log1p_kr

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