【京滋大学野球の2024年キーマン紹介】エース&4番の明治国際医療大・杉本は元フリーターの異色右腕

スポーツ報知
明治国際医療大のエースで4番・杉本琉成

 京滋大学野球の春季リーグ戦(1部)が4月1日、わかさスタジアム京都で開幕する。中日の沢村賞左腕・大野雄大投手(35)、ソフトバンク期待の右腕・木村光投手(23)=ともに佛教大=や、強肩が注目を集める巨人・喜多隆介捕手(25)=京都先端科学大=ら、実力派の選手を輩出したリーグで熱戦が繰り広げられる。昨秋、3シーズンぶりに王座を奪回した佛教大の連覇か? それとも、初昇格を果たした明治国際医療大を始め、残る5校の巻き返しはあるのか? 優勝校は全日本大学野球選手権大会(6月10日から7日間、神宮、東京D)に出場する。準備万全の各チームを紹介する。(取材=瀬川 楓花)

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 加盟4シーズンで初の1部リーグ昇格を果たした明治国際医療大は、エースで4番の杉本琉成(2年)がけん引する。異色の経歴を持つ21歳は「自分がいる間は最下位にはさせない」と、強い責任感で春に臨む。

 京都成章から、全日本大学選手権9度の出場を誇る天理大(阪神大学野球連盟)に進学した。しかし「やりたいことを見つけた。人を助ける仕事がしたい」と、2年の前期で中退。消防士を夢見た過程で「救急救命士」を知り、翌春から明治国際医療大の保健医療学部救急救命学科に入学した。

 入学までの約半年間は月1回、草野球をする程度。3月から練習を再開したが、調整は足りなかった。23年の春季リーグ戦で自身2連敗し、スイッチが入った。「強気の投球が売り。マウンドで結構、叫びます」と、その後は7連勝した。

 昨秋は5勝1敗、防御率1・76をマーク。滋賀大との入替戦では3連投で2完投、2本塁打の大暴れ。二刀流の右腕は「(石田雅昭)監督には入学したころから『お前がチームを1部に』と言われていたのでよかった。みんなのおかげ」と、感謝した。

 中退後は、フリーター生活を送っていた。複数のアルバイトに励む一方で、スケートボードやグラフィティ(スプレーなどを使って壁にイラストを描く)、作詞・作曲などの趣味にも没頭。「やることをやって生きるべき」という思いが生まれ、今につながっている。「投げたいって言えば投げさせてもらえる。自由にやれるのが大きかった」

 自身1年で昇格を果たしたが、1部のレベルは天理大で分かっているからこそ、やるべきことを考えて日々、鍛錬を積む。「自分が投げた試合は負けたくない。特にオールスター(6月の5リーグ対抗戦)に選ばれたい」と杉本。京滋リーグに新たな旋風を巻き起こす。

 ◆明治国際医療大・松園美優主務「昨年の秋に念願の1部に昇格することができました。1、2年生を中心とした若いチームなので、1部でもチャレンジャーとして上位に食い込みたいと思います。私自身は大学野球最後の年になります。選手としてグランドに立つことはできませんが、一戦一戦全力でサポートし、1試合でも多く勝てるようにチーム一丸となって挑んでいきたいです」

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