本しゃぶり

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なぜ投資をさっさと始めないのか

積立投資はやったほうがいいと聞くが、なかなか始められない。
かくいう俺も、その一人だった。

俺の投資に関する履歴を振り返ってみた。

長期投資はギャンブルか

漫画で学ぶNISAとiDeCoを筆頭に、はてブで投資の話が盛り上がっている。 投資が話題になるのはよくあることなのだが、今回は「投資はギャンブルか」というネタが中心だ。

みんな大好き99点の記事が公開されたのが2020年1月である。今さら「投資はギャンブル」で盛り上がるのが割と謎。それともリテラシーが高まった後だから論争になっているのだろうか。

俺はこれまで記事を書いてきた通り*1インデックスファンドで長期投資をするタイプである。要するに上記の99点ほぼそのままの方針だ。なので一般論として「投資ってした方がいい?」と訊かれたら、「99点の通りにしたらいいよ」と返す。特定の個人に対するアドバイスなら、当然のごとくケース・バイ・ケースだ。

ただし、いまだに投資を始めていない人がいるもの理解できる。それも余剰資金がそれなりにありつつ、資産を増やしたいと考えているのに投資をやらない人が*2。というのも、俺自身が投資に興味を持ちつつも、なかなか始めなかったタイプだからだ。

そこで誰かの参考になるかと、俺の投資関係の履歴をちょっと振り返ってみることにした。

俺の投資関係履歴

ということで、俺がどのような流れでインデックス投資を推すようになっかのかを、時系列で振り返ってみる。n=1の話なので、あくまでも俺はこんな感じだった程度に思ってもらいたい。

2012年

この年からまともに働き始めており、投資の話もここから始める。

確定拠出年金

会社で確定拠出年金に入ったほうがいいと言われたので、とりあえず入る。よくある「株式⇔債権」「国内⇔外国」のリスクとリターンの説明を受ける。月額1万円ならばたかがしれているなと思い、どうせならと外国株式を6割にした。おかげで2013年4月には運用利回りが54.62%となる。

ちなみに2022年現在は外国株式10割にしている。自分の資産全体でバランスを取ればいいと分かったので、少なくとも30代の間は外国株式100%でいいのではという判断。なお、運用利回りはここ1年くらいは10%辺りを推移している。

読んだ本

確定拠出年金で投資について知ったこともあり、4月と5月に投資関係の本を1冊ずつ読んだ。

とりあえず投資に関してはノーロード型で信託報酬率が低いインデックスファンドを買って持ち続ければいいと知る。

SBI証券に口座を開設

7月、重い腰を上げてようやく口座を開設する。



2015年

まだ口座を開設してから1回の取引もしていない。理由は忘れた。おそらくファンド選びや、資産配分とか考えるのが面倒になったのだろう。しかし10月、ここで転機が訪れる。

積立開始

友人が積立投資を始めたと知って、真似して俺もSBI証券で開始する。金額もファンドも全部そのまま真似たので、何も考えることは無かった。本来は自分で情報を集めて判断するべきだろう。しかし俺は自分の判断より友人の判断を信じていたので、「こいつが間違えるようなら俺でも間違える。それなら調べても調べなくても同じだろ」という理屈で終わらせた。

この時の資産配分は国内株式、外国株式、国内債券、外国債券を均等にしたものだ。今から思えば債券は不要だし、現時点では国内債券が元本割れ状態にある。まあ、仕方ないね。

2016年

投資するのが普通になったので、途中から投資額を増やす。ファンドは『投資信託は、この8本から選びなさい。』から選んだのだが、これは間違い。この本は2011年に出版された本なので、2016年時点ではもっといい商品が普通にあった。既に買っていた外国株式の比率を増やす方がはるかにマシ。やはり自分で判断するより友人を信じる方が正解では。

2017年

もうちょっと制度をちゃんと調べるようになった年。

NISAに申し込む

今まで文字列は目に入っていたが、よく分からなくて無視していた。きっかけは忘れたが、調べたら積立投資するなら使わないのはバカと気がついた*3ので申請する。この時には月に10万円の積立をしていたので、一般NISAを選択。

確定拠出年金に自分でも金を出す

NISAついでに確定拠出年金についてもあらためて調べ直した結果、65歳まで引き出せないデメリットがあるとはいえ、税金的にはお得であることを知る。これまでは事業主掛金だけだったが、自分でも金を出し始めた。月に1万円ぐらいなら65歳まで引き出せなくても大丈夫だろうという判断。

しかし5年もの間、制度を理解せずに使っていたのか。

2018年

NISA開始。年間の投資額が120万円とNISAの上限ちょうどだったので、債券も含めて全てNISA枠で投資。今なら当時の資産配分だと、つみたてNISAを選択して外国株式で埋める。どうせ上がらない債券は特定口座で十分。この方がお得なはず。

2018年は年間のリターンがマイナスであったが、特に慌てることは無かった。友人たちと「老後にはプラスになっているだろ」と話して終わり。

2019年

ようやくまともに積立投資について調べた年。

楽天証券に口座を開設

クレカで積立できると知って口座を開設。現金の貯金も十分に増えたので、積立額をさらに増やす。

最初は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」を選択。この後に何度かファンドを変更するが、どれもインデックスであることに変わりはない。

読んだ本

インデックス投資関係の本を4冊読んだ。

どれも基本的には同じことを主張している。やはり長期・分散・低コストである。特に長期と低コストについてはどの本も共通しており、分散で個性が出ると言った感じだ。

この中でどれか1冊と言われたら、その人の投資経験によって決める。これから初めて投資をしようという人には『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』を勧める。日本人の初心者向けに書かれた本なので。ただし内容は今となっては古い。基本方針については今でも通じるが、制度の説明については最新の情報を入手するべきだ。

既に投資をしている人には『ウォール街のランダム・ウォーカー』が良い。本書はかなりの割合をインデックス投資以外の投資をこき下ろすことに費やしている。そのため投資慣れして「チャートを読んで投資しようかな」「仮想通貨で一気に儲けるか」なんて時に読むと、冷静になれるだろう。もしやろうというなら、本書の主張を論破できるようになってからのほうがいい。

積立ファンドを見直す

本を読んでインデックス投資の知識が増えたので、購入ファンドを見直す。結果、eMAXIS Slimシリーズの株式で揃えた。配分は上記の本を参考にしつつ適当に振り分けた。今なら全世界一本でいいと言うが。

これまで購入ファンドを何度か変更しているが、基本的にそれまでに購入した分は売らずに持ち続けている。これまで売ったのは2回しかなく、それは含み益がほぼ0のタイミングでより信託報酬率が低いファンドに乗り換えた時である。

2020年

コロナで一時期暴落したが、積立を継続したのに加え、ちょっとだけ買い増しを行った。

今からしたらタイムセール祭りはすぐに終わったという印象。正直なところ、数年くらいは低いままになるかと思っていた。やはり予測するのは難しい。

読んだ本

本しゃぶりで繰り返し紹介しているオススメの本。著者はバートン・マルキールとチャールズ・エリス、つまり『ウォール街のランダム・ウォーカー』『敗者のゲーム』の二人によって書かれた本というわけだ。「はじめに」曰く、本書は2人合わせて100年を超える研究と経験の結晶である。長期投資を続ける上で、これほど心強い本があるか?

本書の内容は一般人向けに「資産運用でやるべきことだけ」が書いてある。そのため表紙から受ける威圧的な印象とは違って、すぐに読み終える。要約すれば「年齢と許容リスクに合わせて、全世界株式市場対象のインデックスファンドと全債券市場対象のファンドを組み合わせろ」だ。本書を読んでから俺も全世界を選ぶことにした。

2021年

特に目新しいことはしていない。ひたすら積立を続けている。

読んだ本

インデックス投資を商品化したバンガードの設立者によるインデックス投資の勧め。つまり圧倒的なまでのポジショントークであり、自社製品の宣伝でもあるわけだが、言っていることは間違っていないと思う。 つまり『 ウォール街のランダム・ウォーカー』や『敗者のゲーム』を読んでいるなら、本書は読まなくていいということだ。

タイトルは、インデックス投資は生み出される富を皆で分かち合うプラスサムゲームであるので、皆が勝者になるという意味である*4。ついでにチャールズ・エリスの「敗者のゲーム」とは、勝敗の要因が敗者にあることから名付けられている。余計なことをしなければ儲けられるのに、市場平均に勝とうと頑張るがゆえに敗ける。だから「敗者のゲーム」なのだ。

2022年

現金はこれ以上持つ必要はないと判断したので、また積立額を増やす。

マネックス証券に口座を開設

クレカで積立できるようになったので口座を開設した。全世界株式を積み立てる。

auカブコムに口座を開設

クレカで積立できるようになったので口座を開設した。全世界株式を積み立てる。

楽天キャッシュで積立を開始

楽天キャッシュで積立できるようになったので開始。全世界株式を積み立てる。近所にあるのがセブンイレブンなので、「クレカ → au PAY → (Apple Pay経由) → nanaco → 楽天キャッシュ → 投資信託」という流れで購入している。これで普通に楽天カードからチャージするよりもポイントが1%以上入る*5

これにより、楽天カードでの積立は止めた。しばらく続けていたが、ポイントが改悪されたし現金も減ってきたので。

現在の方針

ということで、現在はひたすらポイント回収する形で積立投資を行っている。このペースだと現金が減っていく一方なので、現金残高が一定値を下回ったら優先順位の低いやつから積立を止める。優先順位は以下の通りで、カッコ内は得られるポイント*6

  • 楽天キャッシュ (2.5%)*7
  • マネックス証券 (1.1%)
  • SBI証券 (1.0%)
  • auカブコム (1.0%)

ポイ活界隈を見ていると、価格変動が小さいノーロードのファンドをクレカで購入し、翌日に売却することでポイントだけもらっている人もいる。さすがにこれは面倒なので俺は保持するし、現金が減ってきたら前述の通り積立を停止する。

現在、俺の資産配分は株式のインデックスファンドが一番多い。俺はまだ若いし、現金も数年の生活費分くらいは確保してあるので*8、これで問題ないと考えている。まだ所有している投資信託が30%を超える下落を経験したことはないが、持ち続けられる自信はある。現時点ではそうとしか言えない。

終わりに

このように、今でこそ俺はがっつり長期投資をやっているが、なかなか投資をしようとはしなかった*9。なにせ証券口座を開いてから実際に投資するまでは3年もかかっている。しかもそれが友人きっかけであるわけで、偶然の結果と言っていいだろう。

そして自分の金で投資を始めてからも、制度を調べたり本を読むまでに追加で年単位の時間がかかっている。それを踏まえると、投資の情報に触れるのがネットだけの人が投資を始めないのも理解できる。俺自身がそうだったのだから。

投資に興味があるけど、よく分からなくて手を出せていない人はどうすればいいのか。俺に倣うなら、信頼できる相手の真似をするところから始めることだろう。当然のことながら「この人に従って間違えるなら仕方ない」と言い切れる必要があるが。

周囲に投資をやっている人がおらず、もし真似する相手として俺を選ぼうと考えているならば、このことは知っておいてほしい。本記事の情報については細心の注意を払っておりますが、正確性および完全性等について一切保証するものではありません。個別商品の詳細情報については、銀行や証券会社などに直接お問い合わせください。また、本記事の情報を利用して何らかの損害を被ったとしても、著者は責任を負いかねますので、投資にあたっての最終判断はご自身でお願いいたします。

投資関係の記事

*1:株価の下落がタイムセール祭りに見えるとか新生活に向けて読みたい資産形成の本3冊とか。

*2:そもそも余剰資金が無い人や、資産を増やす必要がない人はやらなくて当然だし。

*3:投資をやっていないならともかく、俺の場合は既にNISAで扱っている投資信託を購入していたわけなので。

*4:俺はこの理由から長期のインデックス投資はギャンブルではないと考えている。ギャンブルに不確定要素やリスクはつきものだが、それらがあることはギャンブルであることを意味しない。

*5:楽天カードから楽天キャッシュへのチャージだと0.5%である。

*6:ポイントは使うクレカやキャンペーンによって変動する。あくまでも2022/08/28時点での俺の場合。

*7:三井住友CGNLの0.5+1.0%、au PAYの0.5%、楽天キャッシュの0.5%で合計2.5%となる。三井住友CGNLの+1.0%は年間100万円使った年だけであり、楽天キャッシュの0.5%は2022年12月買付分までなので、将来的には1.5~2.0%の見込みとなる。もちろんルートが塞がれたらもっと減る。

*8:2015年に投資を始めるまで、ひたすら現金で貯めていたので。

*9:会社から金が出る確定拠出年金は除く。