富士通は2025年2月4日、システム移行支援サービス「Fujitsu 資産分析・可視化サービス」を同年2月から提供すると発表した。老朽化したメインフレームのアプリケーション資産を分析・可視化し、全体像を把握することで最適なモダナイゼーション/移行計画の策定を支援する。ブラックボックス化しているアプリケーションを可視化し、その構造や特性に合わせて、生成AIを活用して設計書を生成する。
富士通の「Fujitsu 資産分析・可視化サービス」は、長期稼働・運用の過程で老朽化・複雑化したメインフレームシステム(レガシーシステム)のITリソースを分析・可視化し全体像を把握することで、最適なモダナイゼーション/移行計画の策定を支援するITコンサルティング/SIサービスである。
(1)現行システムの全体像を把握する「資産分析・可視化サービス for アプリケーション資産」と、(2)システムから設計書をリバース生成する「設計書リバースサービス for アプリケーション資産」で構成する(図1)。
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「老朽化・複雑化したレガシーシステムの多くは、システム設計を正確に把握できる有識者が不在で、ブラックボックス化している。そのため、現行システムの調査や分析が困難になっている。システム設計書が古かったり欠落していたりするケースも多く、システムの移行を難しくしている」(富士通)
(1)資産分析・可視化サービス for アプリケーション資産
現行システムのアプリケーション構造や仕様を可視化し、移行対象のアプリケーションをスリム化・最適化し、移植性を評価する。
アプリケーション資産を建造物に見立て、全体を地図形式で表現する。また、資産全体をプログラミング言語種別ごとに棚卸しを行い、遊休状態の資産、不足/重複している資産を検出する。移植性の評価では、アプリケーションに必要なメインフレームの機能のうち移行時に障壁となる機能を抽出し、移植の難易度を評価する。
(2)設計書リバースサービス for アプリケーション資産
富士通の生成AIサービス「Fujitsu Kozuchi」の技術を用いて、実装アプリケーション資産からプログラム仕様書やジョブフロー図などの設計書を生成する。ソースコード内にコメントの記載がなくても、資産分析データや既存の設計情報などを利用して、人が理解しやすい設計書を生成する(図1)。
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サービスではまず、残存するシステム設計情報に加えて、既存のプログラム解析ツールやLLMによるソースコードの静的解析結果(構文情報、制御フロー、データフロー、呼出関係など)を入力し、資産ナレッジグラフを作成する。RAG(検索拡張生成)を用いて設計情報生成の対象と関連範囲を検索して関連ナレッジグラフを抽出し、ソースコードと合わせてLLMに入力する。
富士通によると、検索によって得られた関連ナレッジグラフを入力することで、ソースコードのみから設計情報を生成する場合と比べ、約40%の品質改善を確認したという(図2)。
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