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日清製粉ウェルナ、冷凍食品の需給管理をAIで自動化するシステムが稼働

2025年2月5日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三

日清製粉グループの日清製粉ウェルナ(本社:東京都千代田区)は2025年2月4日、冷凍食品の需給管理をAIで自動化するシステムをSIベンダーのグリッドと共同で開発し、2024年10月から運用していると発表した。同システムにより、各計画の策定時間を短縮したほか、緊急対応時にも安定して製品を供給できるようになったという。

 日清製粉ウェルナは、「マ・マー」ブランドの常温・冷凍のパスタ/パスタソースやプレミックス粉などの製造・販売を行う、日清製粉グループの食品メーカーである。2022年1月に日清フーズから現在の商号に変更し、コーポレートブランディングを刷新している。

 同社の工場では、受注や出荷、在庫など各種の情報を基に、冷凍食品を計画的に生産している。完成品は各地の倉庫を経由して店舗に納品するが、需要や各倉庫の在庫の状況に応じ、ある倉庫から別の倉庫に製品を「転送」することで安定的に製品を供給している。

図1:日清製粉ウェルナが構築した、需給計画を自動化するシステムの概要(出典:日清製粉ウェルナ)
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 これまで同社は、冷凍食品の需給管理と、配送に関する各計画の立案を専門の担当者が担っていた。しかし、これらの計画予測の組み合わせは約1800パターンにも上り、担当者に大きな負担がかかっていたという。

 負荷軽減のために業務の自動化を図るべく、同社は需給管理をAIで自動化するシステムをSIベンダーのグリッドと共同で開発。需給計画(製造計画)および在庫転送計画を自動で策定できるようになった(図1)。

 最初に過去の出荷/受注実績から、月次販売数量の着地見込表を作成する。この見込表と現在の在庫数・工場の稼働スケジュールに従って、需給計画を策定する。次に、各倉庫への配車依頼台数を決定する配車計画と倉庫間の在庫移動数を決定する在庫転送計画を策定する。必要な配車台数は在庫状況に応じて随時更新する。「どの製品を、どの倉庫からどの倉庫へ、何ケース送るか」をシステムが自動で計算する(図2)。

図2:需給計画と在庫転送計画を自動で策定するプロセスのイメージ(出典:日清製粉ウェルナ)
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 従来、これらの計画策定に3日程度を要していたが、システムの導入により、1日程度で完了するようになった。日々の在庫転送明細を作成する時間は約2時間から約45分に短縮され、合計で月間50時間程度の業務時間削減を図っている。

 「担当者が従来行っていた実際の作業工程をAIシステムに落とし込んでいる。立案した計画は担当者が使い慣れた形式で出力され、日々の状況変化に応じて担当者自身による修正ができる。システムが完全自動だと突発的事象への対応が困難になる場合があるが、人間の介在余地を意図的に残したことで、急な需要の変動といったイレギュラーな事象にも柔軟に対応できる」(日清製粉ウェルナ)

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