この記事はShiftallのプロジェクトに関わるメンバーが日替わりでブログを更新していくアドベントカレンダー企画の17日目です。その他の記事はこちらのリンクからご覧下さい。
アドベントカレンダー2018
https://blog.shiftall.net/ja/archives/tag/adventcalendar2018/
こんにちは、8番です。
弊社には試作品づくりのために色んな機材がありますが、その中でも板材をカットするのに必要なレーザー加工機(レーザーカッター)は業務で非常に役立っています。こちらが我が社のレーザー加工機です。
主なスペックは以下の通りです。
出力 | CO2レーザー50W |
加工エリア | 600×900mm |
電源 | 220V |
みなさん大好きAliExpressで購入し中国から輸入しました。
Alibaba グループ | AliExpress.com 50ワット/ 60ワット/ 80ワット密閉CO2ガラス管レーザー彫刻機Ruida 4060 DIYレーザーカッターマーキングマシンカービングマシーン
https://ja.aliexpress.com/item/Co2-Laser-Cutting-6090-100w-Ruida-6442S-Support-Russia-English-Spanish-Language-Offline-110V-220V-Laser/32824445460.html
関税(といっても消費税分だけ)を払ったり、船便で秋田に届くかもしれず、その時どうやって東京まで運ぶんだとか色々問題もありましたが、なんとか日本橋馬喰町のオフィスまで運ぶことができました。
かかった送料は約6万円とサイズにしては格安。
オフィスには木箱で届きました。バールでこじ開けて本体をエレベーターに載せてなんとか運んだのですが、結構大変だった気がします。
このレーザー加工機は、主にアクリル板加工に利用しています。他には木材、紙、両面テープなどにも使います。アルミ板にマーキングすることもできました。塩ビ(PVC)は人体、加工機に良くないガスが出るらしいのでダメです。
この中国製のレーザーで苦労したことや気づいたことを書きますので、購入を検討している方々の参考になればと思います。
良い点
- 安い(ものにもよりますが、このサイズだとメジャーブランドの1/5以下の価格)
- 大物加工ができる
悪い点
- メーカーサポートは期待できない(なので何かあっても自分で解決する)
- レールなどのメカ部品の精度が信用ならない
- そもそも部品の取付方があまりきれいでない
- Z軸が数値管理できない
- 脚がしっかりしていないグラグラする
- 扉(フタ)が重くて途中で手を離すと大きな音がする
購入後、準備したもの
- 専用PC
- 冷却水を入れるバケツ
- 消臭装置にかかわるもの(板材、金網、フィルター、活性炭とスコップ、電動送風機)
- 保護メガネ(これもAliExpress!)レーザー遮光パネル
レーザー加工方法
レーザー加工機には冷却水を送るポンプ、レーザー照射口に空気を送り込むコンプレッサーが付属しています。加工データを送るPCと加工で出る匂いを処理する消臭装置は後から準備して取り付けています。
使い方を大雑把に書きます。
まずイラストレーターまたはCAD等で加工データを作る(JPEGなどの画像ファイルも加工できます)。今回はイラストレーターのデータにします。
レーザー加工機につないでいるPCで、RDworkというソフトで加工データを読み込みます。
レーザー加工機のなかに材料を入れます。
ヘッドの高さを合わせます。
材料に合わせて各パラメーター(ヘッドの移動速度やレーザー出力の強さ)を決定します。
加工スタート!
こうして初めての加工は案外簡単にできました。
メンテナンスは苦労の連続
しかし、使っていくうちに加工エリア内でもカット出来ない箇所があること、カット断面が傾いていることに気づき修正することにしました。
まずは部品の取付がきれいでない個所をできるだけ直す事で加工精度の向上を目指します。
テーブル
ここのスイッチを回すことで上下してヘッドと材料との間隔を調整し、焦点距離をあわせます。
場所によってヘッドとテーブルの間隔が狭くなったり広くなったりしているのでテーブルが傾いているのだと予想しました。
中を覗くとDCモーターとチェーンで送りネジを回すという簡単な仕掛けでしたので少し分解して調整します。因みに高さの調節はスイッチのオンオフのみで行う為、手動で目視で設定します。
モーターの固定を外してチェーンをギアから外した状態で手で送りネジを回して傾きを直しました。
ヘッド
ヘッドの固定に使っているL字の金具が90度ではないらしく、加工面に対して傾いていました。ここは板材を挟み込んで調整。
リミットスイッチ
横軸の最小点を検出するスイッチがギリギリすぎたので毎度ゼロ点に戻る時に本体にヘッドがぶつかっていました。少し手前で止まるように突起を付けておきました。
レーザーの光軸調整
レーザー加工機の仕組みは加工機の後ろ側にあるガラス管から出てくるレーザーを3つの鏡で90度ずつ曲げて材料表面まで届けています。
鏡が正しい向きになっていないとレーザーが材料まできちんと届く個所と届かない個所ができてしまいます。マニュアルにも最初に鏡の調整をするように書いてあります。
この鏡を3つのネジを締めたり緩めたりして調整します。
鏡の手前の丸い穴にマスキングテープを貼り付けて操作パネルのPULSEボタンを押すとちょっとだけレーザーが出力され、テープに穴が開きます。縦軸横軸それぞれ最小点から最大点のどこにあっても全ての穴の中心をレーザーが通るように調整します。
縦軸の奥側でプシュっと穴開けて次に手前に移動してプシュっと穴開けて、ズレていたら鏡を動かしてまたプシュっとやって、縦軸出来たら横軸に移って穴開けて…という作業を繰り返します。
この加工機はレーザーの出口から加工面まで1.5m以上ありますので一番目の鏡をほんの少し動かすだけで軌道は大きく傾きます。やっている内に調整すべきは鏡の向きだけでなく高さも関係していることにも気づきます。(3つのネジを同じ方向に回すと鏡の高さが変わる)
……数時間過ぎた頃にこれでは無理だと判断しました。
やり方を変更し、レーザーポインター用のレーザーモジュールを使うことにしました。これで常にレーザーの通る位置がわかるようになりました。
最後の縦方向は鏡を置いて確認します。
思いの外あっさり調整完了できたと思いましたが、加工用のレーザーを出力してみても全く加工されないという結果でした。
モジュールを平面に置いてレーザーを壁に照射しながら転がすと大きな円を描いてポイントが移動していました。円柱状のモジュール筐体に対して平行にレーザーが出ていないことが原因でした。
いくつかモジュールを買い足し、一番ブレの少ないモジュールを選定する事で光軸調整は成功しました。(加工面に小さな点が付く)
店頭でレーザーの平行度確認できないので数買って比べるという運任せで乗り切りました。これでダメならもう一つ作戦を考えていましたが、実行はしていないのでここではやめておきます。
まとめ
と……以上のことをやって今は問題ない程度使えるようになっています。加工機調整の専門家では無いので最適な状態になっているかどうかは疑問です。
特に光軸調整は始めると調整が完了するまで加工機は全く使えないし、この大きさだとかなり大変だと感じましたので当分はやりたくありません。
しかし、レーザー加工機があると業務上大変助かりますし、20万円程(送料含めても26万円ほど)でこれだけの加工範囲、出力のレーザー加工機が手に入るのは大きな魅力だと思います。
注)レーザー加工機は取り扱いに注意しないとケガや火災の原因となる可能性があります。ご注意ください。