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菅野完

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すがの たもつ

菅野 完
生誕 1974年11月(49歳)
日本の旗 日本 奈良県天理市
住居 日本の旗 日本 東京都港区[1]
別名 noiehoie、のいえほいえ、ノイホイ
出身校 テキサス大学オースティン校
職業 著述家
団体 部落解放同盟(離脱)
レイシストをしばき隊(離脱)
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菅野 完(すがの たもつ[2]1974年11月11日[3] - )は日本著述家。別名は、noiehoieノイエホイエ、略称:ノイホイ)、のいえほいえ[1]。noiehoie名義では、自身を「右翼」「保守主義者」と称し、「反原発」「反差別」「反貧困」の活動を続けているとしている[4]レイシストをしばき隊で活動していた[5]

経歴

1974年奈良県天理市櫟本町の生まれ[6][7]。父親は土建屋出身の地方政治家であった[8][9][10]。「両方の祖父の代で金掴んだ家で親父が土建屋してて金は唸るほどあった」と回想している[11]

被差別部落出身であることを公言し[12][13]、極左の立場から部落解放同盟で活動していたが高校時代の終わりに思想的転向を迎えて離脱[14][15]。その理由は「いろんな理由あるけど、一言で言えば「解同が軟弱になったから」なのかな」という[16]。また「僕が部落解放同盟と距離をおこうと決心したのは、解放同盟の運動を研究してた社会学の研究者に、「お前は部落民でもないのに、研究するな!」という内部からの声を何度も聞いてしまったから」とも発言している[17]

明星学園高等学校を経て、1994年アメリカ合衆国の大学に入学[18]テキサス大学オースティン校[19]政治学を専攻し卒業[20][21]。一方、「二十代中頃にホームレスをしていた」、「新宿の伊勢丹近辺を彷徨していたとき、『悪臭をまき散らすホームレス』として警察に排除されたことがあります」とも発言している[22]

2007年12月にツイッターで@noiehoie名義のアカウントを取得。「保守/右翼であるからこそ、排外主義と戦わなければいけない」という持論を掲げてTwitterやブログを中心に言論活動を行い[23]2013年に初の著書を出版する[4]2012年に、河本準一の母親による生活保護受給騒動の件で、片山さつきに対し、「片山先生、貴方は間違っています」「河本さんは悪くない」などとツイートで批判し、「制度改正のために、個人を批判する必要はありません」などとする意見広告を新聞に掲載する資金集めを目的とした募金活動を行う[24]

レイシストをしばき隊で活動していたが[5]、2013年9月以降に離脱。同志だった木野トシキは「菅野氏 @noiehoie は昨年9月よりツイッターでの発言をほぼ休止していましたが、私たちが行ってきたレイシズム反対の抗議行動の中で、深刻なトラブルを起こしたのがその理由です。彼はもう仲間ではありません。今後行動をともにすることは、もうありません」と発言している[25]野間易通は「菅野完は度重なる女性トラブルと金銭トラブルで社会運動をパージされた人です」と述べている[26]

2015年から菅野完名義で、Webで日本会議に関して1年程度連載し、2016年4月にそれをまとめて『日本会議の研究』として出版、同書は2016年5月時点で初版8000部と発売前の増刷分3000部を出荷した[27][28]

不祥事

2016年7月、『週刊金曜日』が2015年12月に女性に対する性的暴行により民事訴訟を提起され、200万円の損害賠償を請求されて現在係争中であること、2016年6月30日には警察に被害届が出されたことを報じた[29]。同記事によると、被害女性はPTSD心療内科に通院中であり、「事件」直後に菅野が属する運動体の人に被害の周知を頼んだが「運動を潰すわけにはいかない」と断られたこと、「他にも複数の被害者が存在する」との証言が紹介されている。菅野も週刊金曜日の取材に対し、係争の事実を認めている。

出版停止要求

2016年4月28日に、菅野完名義の初の著書『日本会議の研究』を出版した扶桑社宛に、日本会議事務総長椛島有三から、「日本会議について裏付けの取れない証言を並べ、活動を貶める目的で編集されており、団体・個人の名誉を傷つける。」として、出版停止を要求する申し入れがなされた[30][31]。とくに、「日本会議が、宗教的背景を持つ特定の人物」に関連づけられた結論については、「全く事実に反している」と抗議されている[30]。また、上記申し入れとは別に、『日本会議の研究』に記載がある人物の代理人からも、出版差し止めの申し入れを求める法的文書が送付されていることを、BuzzFeed Newsの取材に対し複数の関係者が認めているという[30]。また、扶桑社には抗議の電話が何本か寄せられた[27]。菅野が、Twitterで日本会議の出版停止要求に抗議したところ、かえって話題を呼び、著書の売れ行きが好調となったとされる[27][28][5]

日本会議に関する主張

日本会議について、「これまで我々が抱きがちな「政権に影響力を与える取り巻き」というイメージをことごとく覆す存在」とし、「左翼が嫌い」というメンタリティで繋がっているとしている[27]。また、日本会議を「宗教的な情熱が彼らのエネルギーやモチベーションになっている」と分析することは間違いであり、「自分の宗教の信者を増やしたい」とか「お布施が欲しい」という思想はみられないと主張し、日本会議は男女平等な組織だが全ての運動は、「ミソジニー(女性蔑視)が動かす社会運動である」と述べている[27]

菅野は、日本のリベラル勢力が「傲慢で怠慢」だったために、「勝手に自壊」したとした上で、日本会議は「リベラル勢力から、運動の仕方から使う言葉からデモのやり方まで学んで真似」たとし、「68年の反乱」以降、「飽きることなく地道にそれをやり続けた」と述べている[27]。日本会議を詳細に記した初の著書となった経緯については、「みんな馬鹿にしてたんでしょう。過去の政権でも為政者には常に取り巻きはいたわけで、そうした取り巻きの一つといったイメージだったんでしょうね。」としている[27]。日本のメディアが日本会議を報じていないことについて、「真正面から政治家や政治勢力の言説と戦うことを、過去40年間やらな過ぎたことに問題がある」と批判している[32]

日本会議の反論

事務局の調査では、『日本会議の研究』には、団体・個人について「虚実、装飾、誹謗中傷、事実誤認、印象操作、 著作権侵害、肖像権侵害、プライバシー侵害など」が150箇所以上存在するとしている[33]。本文中で引用している魚住昭『証言 村上正邦』にも事実ではない記述が書かれているとしている[34]

著作

単著

共著

脚注

  1. ^ a b 『日本会議の研究』著者紹介
  2. ^ 扶桑社新書 日本会議の研究 書籍情報”. 紀伊國屋書店. 2016年5月25日閲覧。
  3. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/664611524074323968
  4. ^ a b 『保守の本分』、扶桑社新書
  5. ^ a b c 元しばき隊メンバー著『日本会議の研究』がベストセラーに、朝鮮日報日本語版、2016年6月28日、2016年6月29日閲覧。
  6. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/720194918056992768
  7. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/329223284405198848
  8. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/19496095568
  9. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/128466823988514816
  10. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/25002282607
  11. ^ http://archive.is/wGaLR
  12. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/446890983012462592
  13. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/518728820937854979
  14. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/147328211443924993
  15. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/225436568658247680
  16. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/45106910336258049
  17. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/306974157302816768
  18. ^ http://archive.is/3PyU8
  19. ^ http://archive.is/XNSGJ
  20. ^ https://twitter.com/noiehoie/status/481329712711483392
  21. ^ http://hbol.jp/26283/wul77s8z
  22. ^ http://www.sugano.ne.jp/2008/09/01/post-0-58/
  23. ^ 今なぜ右からの脱原発運動が必要なのか?、日刊SPA!、2011年10月4日、2016年5月26日閲覧。
  24. ^ 「片山批判」意見広告プロジェクトの主催者を直撃した!、日刊SPA!、2012年5月30日、2016年5月26日閲覧。
  25. ^ 2014年03月05日(水)19:42:43の@Kino_Toshikiのツイート
  26. ^ http://archive.is/cORZv
  27. ^ a b c d e f g 安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理(上)”. ダイヤモンド・オンライン編集部 (2016年5月20日). 2016年7月4日閲覧。
  28. ^ a b 出版停止申し入れの『日本会議の研究』 異常ペースで売れた(2016年5月16日)、NEWSポストセブン、2016年7月4日閲覧。
  29. ^ 『週刊金曜日』2016年7月15日号「ベストセラー『日本会議の研究』で話題の菅野完氏が 性的「暴行」で訴えられていた」
  30. ^ a b c 石戸諭 (2016年5月4日). “政権に近い保守団体が出版停止を要求 話題の本「日本会議の研究」”. BuzzFeed. https://www.buzzfeed.com/satoruishido/nipponkaigi?utm_term=.vnJP7W4D#.jukPYr02 2016年5月25日閲覧。 
  31. ^ “日本会議、出版停止申し入れ”. 朝日新聞. (2016年5月12日). http://www.asahi.com/articles/DA3S12352007.html 2016年5月25日閲覧。 
  32. ^ 安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理(下)”. ダイヤモンド・オンライン編集部 (2016年5月20日). 2016年5月25日閲覧。
  33. ^ 田久保忠衛 2016, pp. 38–39.
  34. ^ 田久保忠衛 2016, pp. 39.

参考文献

外部リンク