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1971年のメジャーリーグベースボール

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以下は、メジャーリーグベースボール(MLB)における1971年のできごとを記す。

1971年4月5日に開幕し10月17日に全日程を終え、ナショナルリーグピッツバーグ・パイレーツ(東地区優勝)が11年ぶり8度目のリーグ優勝で、アメリカンリーグボルチモア・オリオールズ(東地区優勝)が3年連続5度目のリ-グ優勝であった。ワールドシリーズはピッツバーグ・パイレーツが4勝3敗でボルチモア・オリオールズを破り、11年ぶり4度目のシリーズ制覇となった。

できごと

アメリカンリーグ

  • 東地区は、オリオールズがマイク・クェイヤー (21勝)、 デーブ・マクナリー (20勝)、ジム・パーマー (20勝)、パット・ドブソン(20勝)の4人が20勝を達成して「20勝投手カルテット」を形成し、主軸のブルックス・ロビンソン(打率.272・本塁打20本・打点92)、フランク・ロビンソン(打率281・本塁打28本・打点99)、ブーグ・パウエル(打率.256・本塁打22本・打点92)が健在で、101勝で地区3連覇・リーグ3連覇となった。3年連続100勝以上したチームはアメリカンリーグでは1929~1931年までのアスレチックス以来で常勝軍団時代のヤンキースでもなかった記録である。しかし主軸打者3人とも峠を越えてフランク・ロビンソンはシーズン終了後ドジャースへ放出し、やがて地区優勝してもアスレチックスには勝てず、パウエルも4年後インディアンスに移籍した。西地区はアスレチックスが前年18勝し頭角を現してきたキャットフィッシュ・ハンター(21勝)、21歳の新人ヴァイダ・ブルー(21勝)、そして打撃ではレジー・ジャクソン(打率.277・本塁打32本・打点80)、サル・バンドー(打点94)らが打ち、投打が絡み合って地区優勝した。リーグチャンピオンシリーズは地力で勝るオリオールズが勝った。しかし翌年から有力な人材が投打に揃ったアスレチックスの黄金時代が到来する。
  • 個人タイトルは、ツインズのトニー・オリバ (打率 .337・安打164本)が首位打者で3度目の獲得だが途中右ヒザの故障で欠場し最多安打にはなれなかった。またこの年のケガが翌年まで尾を引き、翌1972年はわずか10試合出場したのみであった。オリバはこれが最後のタイトルとなった。同じツインズのハーモン・キルブルー (本塁打28本・打点119)も打点王を獲得したがこれが最後のタイトルとなった。通算500本台に乗せたが、1969年には本塁打49本そして前年41本だったのがこの年から本塁打が減った。ホワイトソックスのビル・メルトン(本塁打 33本)が本塁打王でレジー・ジャクソンは1本差の32本で惜しくもタイトルを逃した。ジャクソンは2年前に47本打ったがキルブルーの49本に届かなかった。創設3年目のロイヤルズのエイモス・オーティス(打率.301・打点79・盗塁52)が初の盗塁王となった。オーティスはその後もロイヤルズの主軸として活躍し1980年にはリーグ優勝してワールドシリーズで活躍した。なお優勝したオリオールズから得点王となったドン・ビュフォード (得点99)は2年後の1973年に日本の太平洋クラブライオンズに入団している。タイガースのミッキー・ロリッチ (25勝・奪三振308)が最多勝・最多奪三振で、3年前の1968年ワールドシリーズ第7戦でボブ・ギブソンと投げ合い勝ってシリーズMVPとなったが、ペナントレースではこの1971年のタイトルが唯一となった。またアスレチックスのヴァイダ・ブルー(防御率1.08)が最優秀防御率となり、この他にリーグMVPとサイ・ヤング賞にも選ばれた。しかしデビュー3年目で大きなタイトルを取ったが、通算209勝して1986年に引退するまでタイトルはこの1971年だけであった。

ナショナルリーグ

ワールドシリーズ

最終成績

レギュラーシーズン

アメリカンリーグ

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
東地区
1 ボルチモア・オリオールズ 101 57 .639
2 デトロイト・タイガース 91 71 .562 12.0
3 ボストン・レッドソックス 85 77 .525 18.0
4 ニューヨーク・ヤンキース 82 80 .506 21.0
5 ワシントン・セネタース 63 96 .396 38.5
6 クリーブランド・インディアンス 60 102 .370 43.0
西地区
1 オークランド・アスレチックス 101 60 .627
2 カンザスシティ・ロイヤルズ 85 76 .528 16.0
3 シカゴ・ホワイトソックス 79 83 .488 22.5
4 カリフォルニア・エンゼルス 76 86 .469 25.5
5 ミネソタ・ツインズ 74 86 .463 26.5
6 ミルウォーキー・ブルワーズ 69 92 .429 32.0

ナショナルリーグ

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
東地区
1 ピッツバーグ・パイレーツ 97 65 .599
2 セントルイス・カージナルス 90 72 .556 7.0
3 シカゴ・カブス 83 79 .512 14.0
4 ニューヨーク・メッツ 83 79 .512 14.0
5 モントリオール・エクスポズ 71 90 .441 25.5
6 フィラデルフィア・フィリーズ 67 95 .414 30.0
西地区
1 サンフランシスコ・ジャイアンツ 90 72 .556
2 ロサンゼルス・ドジャース 89 73 .549 1.0
3 アトランタ・ブレーブス 82 80 .506 8.0
4 シンシナティ・レッズ 79 83 .488 11.0
5 ヒューストン・アストロズ 79 83 .488 11.0
6 サンディエゴ・パドレス 61 100 .379 28.5

オールスターゲーム

  • ナショナルリーグ 4 - 6 アメリカンリーグ
MVP:フランク・ロビンソン (BAL)

ポストシーズン

リーグチャンピオンシップシリーズ ワールドシリーズ
           
アメリカンリーグ    
  ボルチモア・オリオールズ 3
  オークランド・アスレチックス 0  
 
  ボルチモア・オリオールズ 3
    ピッツバーグ・パイレーツ 4
ナショナルリーグ  
  ピッツバーグ・パイレーツ 3
  サンフランシスコ・ジャイアンツ 1  

リーグチャンピオンシップシリーズ

アメリカンリーグ
  • オリオールズ 3 - 0 アスレチックス
10/3 – アスレチックス 3 - 5 オリオールズ
10/4 – アスレチックス 1 - 5 オリオールズ
10/5 – オリオールズ 5 - 3 アスレチックス
ナショナルリーグ
  • ジャイアンツ 1 - 3 パイレーツ
10/2 – パイレーツ 4 - 5 ジャイアンツ
10/3 – パイレーツ 9 - 4 ジャイアンツ
10/5 – ジャイアンツ 1 - 2 パイレーツ
10/6 – ジャイアンツ 5 - 9 パイレーツ

ワールドシリーズ

  • オリオールズ 1 - 4 パイレーツ
10/9 – パイレーツ 3 - 5 オリオールズ
10/11 – パイレーツ 3 - 11 オリオールズ
10/12 – オリオールズ 1 - 5 パイレーツ
10/13 – オリオールズ 3 - 4 パイレーツ
10/14 – オリオールズ 0 - 4 パイレーツ
10/16 – パイレーツ 2 - 3 オリオールズ
10/17 – パイレーツ 2 - 1 オリオールズ
MVP:ロベルト・クレメンテ (PIT)

個人タイトル

アメリカンリーグ

打者成績

項目 選手 記録
打率 トニー・オリバ (MIN) .337
本塁打 ビル・メルトン (CWS) 33
打点 ハーモン・キルブルー (MIN) 119
得点 ドン・ビュフォード (BAL) 99
安打 シーザー・トーバー (MIN) 204
盗塁 エイモス・オーティス (KC) 52

投手成績

項目 選手 記録
勝利 ミッキー・ロリッチ (DET) 25
敗戦 デニー・マクレイン (WS2) 22
防御率 ヴァイダ・ブルー (OAK) 1.82
奪三振 ミッキー・ロリッチ (DET) 308
投球回 ミッキー・ロリッチ (DET) 376
セーブ ケン・サンダース (MIL) 31

ナショナルリーグ

打者成績

項目 選手 記録
打率 ジョー・トーリ (STL) .363
本塁打 ウィリー・スタージェル (PIT) 48
打点 ジョー・トーリ (STL) 137
得点 ルー・ブロック (STL) 126
安打 ジョー・トーリ (STL) 230
盗塁 ルー・ブロック (STL) 64

投手成績

項目 選手 記録
勝利 ファーガソン・ジェンキンス (CHC) 24
敗戦 スティーブ・アーリン (SD) 19
防御率 トム・シーバー (NYM) 1.76
奪三振 トム・シーバー (NYM) 289
投球回 ファーガソン・ジェンキンス (CHC) 325
セーブ デーブ・ジュスティ (PIT) 30

表彰

全米野球記者協会(BBWAA)表彰

表彰 アメリカンリーグ ナショナルリーグ
MVP ヴァイダ・ブルー (OAK) ジョー・トーリ (STL)
サイヤング賞 ヴァイダ・ブルー (OAK) ファーガソン・ジェンキンス (CHC)
最優秀新人賞 クリス・チャンブリス (CLE) アール・ウィリアムズ (ATL)
守備位置 アメリカンリーグ ナショナルリーグ
投手 ジム・カート (MIN) ボブ・ギブソン (STL)
捕手 レイ・フォッシー (CLE) ジョニー・ベンチ (CIN)
一塁手 ジョージ・スコット (BOS) ウェス・パーカー (LAD)
二塁手 デーブ・ジョンソン (BAL) トミー・ヘルムズ (CIN)
三塁手 ブルックス・ロビンソン (BAL) ダグ・レイダー (HOU)
遊撃手 マーク・ベランジャー (BAL) バット・ハレルソン (NYM)
外野手 カール・ヤストレムスキー (BOS) ボビー・ボンズ (SF)
ポール・ブレアー (BAL) ロベルト・クレメンテ (PIT)
エイモス・オーティス (KC) ウィリー・デービス (LAD)

その他表彰

表彰 アメリカンリーグ ナショナルリーグ
カムバック賞 ノーム・キャッシュ (DET) アル・ダウニング (LAD)
最優秀救援投手賞 ケン・サンダース (MIL) デーブ・ジュスティ (PIT)
コミッショナー賞 - ウィリー・メイズ (SF)
ハッチ賞 - ジョー・トーリ (STL)
ルー・ゲーリッグ賞 ハーモン・キルブルー (MIN) -
ベーブ・ルース賞 - ロベルト・クレメンテ (PIT)

ベテランズ委員会選出

ニグロリーグ委員会選出

出典

  • 『米大リーグ 輝ける1世紀~その歴史とスター選手~』≪1971年≫ 126P参照 週刊ベースボール 1978年6月25日増刊号 ベースボールマガジン社
  • 『メジャーリーグ ワールドシリーズ伝説』 1905-2000(1971年) 111P参照 上田龍 著 2001年10月発行 ベースボールマガジン社

関連項目

外部リンク