セガAIコンピュータ
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メーカー | セガ・エンタープライゼス |
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種別 | CAI用ホームコンピュータ |
発売日 |
1986年 1987年 |
CPU | V20 |
GPU | V9938 |
対応メディア | ICカード型ROM/カセットテープ |
コントローラ入力 | |
次世代ハードウェア | キッズコンピュータ・ピコ |
セガAIコンピュータは、1986年に日本で発売された幼児・児童向けの家庭用知育コンピューターである。当時のいわゆるホビーコンピューターと異なり、3 - 8歳児を対象としたコンピュータ支援教育(CAI)用途に特化している[1]。人工知能言語とも呼ばれたPrologを内蔵し、「人工知能(AI)搭載」をセールスポイントとした。
概要
[編集]1986年、丸紅からソフトウェア知育教材「くもん わんだぁすくーる」とセットで販売された。設計開発はセガ・エンタープライゼス(後のセガ)とCSK総合研究所とで行われ、約10億円の開発費を要したとされる[2]。教材は公文教育研究会が監修した[3]。
当初の一括販売価格は168,990円で、内訳は教材(全18巻)81,490円、本体が87,500円である。この本体価格は当時のパーソナルコンピューターとしてはローエンドの価格帯とされる[1]。
当時のセガで技術開発部門を担当していた佐藤秀樹(元セガ代表取締役社長)の述懐によれば、セガAIコンピュータのプロジェクトは結果として「大失敗」だった。しかしその経験が後のヒット商品であるキッズコンピュータ・ピコに生かされたという[4]。
ハードウェア
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仕様
[編集]仕様を以下に示す(米国Electronics誌の記事[1]および販売パンフレットより)。
- CPU:NEC V20(16bitマイクロプロセッサー V30のデータバス8bit版)
- ROM:128KB(SEGA PROLOG OS 内蔵)
- RAM:128KB
- VDP:ヤマハ V9938
- VRAM:64KB
- サウンドLSI:SN76489(セガの家庭用ゲーム機、いくつかのホビーパソコンに搭載された音源LSI)。外付けのオプションとしてFM音源LSIと増設メモリーを内蔵する「AIサウンドボックス」が設定される。
- 入出力
- JISキーボード:外付け、標準付属。
- タッチタブレット:感圧式、B5サイズ。タブレット上に交換可能な「パターンシート」を敷くことで様々な入力に対応する。同様なシートは後のキッズコンピュータ・ピコにも存在した。
- カーソルコントローラ:円形の方向パッドと、2個の入力ボタンを持つ。
- マイク入力端子
- カセットドライブ:転送速度9600bps。主にデータ用ドライブであるが、音声にも使われる。
- スロット
- ICカードスロット:アプリケーションROMカード(最大128KB)を挿入する。
- 汎用バス端子
ソフトウェア
[編集]基本ソフトウェアとして「SEGA PROLOG」インタープリターを搭載する(「セガ プロログ」とも表記される)。アプリケーションは「コースウェア」と呼ばれ、幼児教育のみでなくホームコンピューターとしての様々な発展がコンセプトとしては存在していた。[3]
SEGA PROLOG
[編集]基本ソフトウェアとして、CSK総合研究所が開発したPrologインタープリター。128KBの内蔵ROMに納めるため、基本的な40のコマンドに限定された仕様となっている。[5]
Prologは1970年代に考案された非手続き型の論理プログラミング言語で、当時コンピューターによる推論機能(人工知能)の実現に有効とみなされていた。1982年に立ち上がった国家プロジェクト「第五世代コンピュータ計画」における開発にも、Prologの派生言語(Prologにオブジェクト指向を取り入れたESPと呼ばれた言語)が用いられた。
セガAIコンピュータは、第五世代コンピュータ計画との直接の関連はないが、当時の報道によれば Prolog(のサブセット)の採用により人工知能の特色的な機能が実現され、児童の学習理解度の把握、入力した文章などの不確かな部分を推測するなど、柔軟な対応が可能であるとされた[6]。販売パンフレットにおいては、機械教育を人工知能で補完する「知的CAI」で「家庭学習(個々のペースによる学習)」「能力別学習(能力に応じた課題の提供)」「対話型学習(自然言語によるインターフェース)」が可能になったと説明されている。
コースウェア
[編集]教材アプリケーションは「コースウェア」と呼ばれ、ICカードで供給される。パンフレットによれば、コンセプトとしては幼児から高校生までの教育支援、健康管理プログラム、ワープロなど、ホームユースのアプリケーションが想定されていたが 、実際に供給されたコースウェアは幼児向け知育プログラム「わんだぁすくーる」シリーズのみであった。以下は販売開始当初のパンフレットに記載された「くもん わんだぁすくーる(全18巻)」のタイトル一覧である[3]。実際に供給された内容とは異なる場合がある。
- アリス・ワールド
- ロビンソン・ランド
- エジソン・ラボ
- シンデレラ・ラビリンス
- ガリバー・ポケット
- モーツァルト・アカデミー
- アンデルセン・ドリーム
- アラビアン・ナイト
- リンカーン・フリーダム
- グリム・ハウス
- ホームズ・ミステリー
- アンネ・ダイアリー
- コロンブス・エッグ
- 宝島・パイレーツ
- スペース・ファンタジー
- サファリ・ファンタジー
- オーシャン・ファンタジー
- マザーズブック
周辺機器
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脚注
[編集]- ^ a b c Charles L Cohen (1986-07-24). “CHILDREN'S COMPUTER BRINGS AI INTO THE HOME”. Electronics (McGraw-Hill社) 59.
- ^ 「丸紅が幼児用学習機(新製品)」『朝日新聞』朝日新聞社、1986年7月10日、東京朝刊、8面。
- ^ a b c セガによる販売パンフレットにおける記載
- ^ 清水洋/金東勲/鴫原盛之/山口翔太郎 (2018年2月1日). “佐藤秀樹第3回インタビュー前半:ゲームにおけるハードとソフト”. 一橋大学イノベーション研究センター. p. 6. 2019年1月31日閲覧。
- ^ “Software that takes games seriously”. New Scientist (Reed Business Information社) 113. (1987-03-26).
- ^ 「家庭教師は電算機 人工知能が個別指導、幼稚園児も操作可能」『朝日新聞』朝日新聞社、1986年3月30日、東京朝刊、1面。
関連項目
[編集]- キッズコンピュータ・ピコ - 幼児向け知育機器としての後継機。
外部リンク
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