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ミルセン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミルセン[1]
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識別情報
CAS登録番号 123-35-3 チェック
PubChem 31253
ChemSpider 28993 チェック
UNII 3M39CZS25B チェック
KEGG C06074 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL455491 チェック
特性
化学式 C10H16
モル質量 136.23 g mol−1
密度 0.794 g/cm3
融点

50 °C

沸点

166~168 °C [2]

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ミルセン (myrcene) は天然に存在する有機化合物で、モノテルペンに属するオレフィンの一種である。α-ミルセンとβ-ミルセンの2種の異性体があるが、単にミルセンといった場合、後者のことを指すことが多い。α-ミルセンは天然には存在しない。IUPAC系統名では、α-ミルセンは2-メチル-6-メチレンオクタ-1,7-ジエン 2-methyl-6-methyleneocta-1,7-diene、β-ミルセンは7-メチル-3-メチレンオクタ-1,6-ジエン 7-methyl-3-methyleneocta-1,6-diene と呼ばれる。

β-ミルセンは芳香を持つ無色の液体で、室温では徐々に重合する。消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する[3]

存在

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ローリエ月桂樹の葉)やバーベナキャラウェイフェンネルタラゴンイノンドオウシュウヨモギセイヨウトウキなど、およびミルキア属 (Myrcia)、マツ属Amomum 属、ハッカ属アキギリ属カラハナソウ属アサ属の植物などに含まれる。

ミルセンはキクイムシフェロモンでもあり、ベルベノールと同じく誘引物質として作用する。キクイムシの忌避剤としてベルベノンが知られる。

利用

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ピネン熱分解によって製造され、香料工業において広く利用される。こころよい芳香を持つため、ミルセンそのものが添加されることもあるが、他の香料、例えばメントールシトラールシトロネロールシトロネラールゲラニオールネロールリナロールを製造する際の原料として使われる。樹脂の製造にも用いられる[2]

参考文献

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  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 6243
  2. ^ a b Eggersdorfer, M. (2003). "Terpenes" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Wiley: Weinheim, p. 657.
  3. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)