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ローレル賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ローレル賞
記念プレート(1973年選定 小田急9000形)
記念プレート(1973年選定 小田急9000形
受賞対象前年に新しく登場した、製作意図・技術・デザインなどの点で優れた特徴ある車両
日本の旗 日本
主催鉄道友の会
初回1961年
最新回2024年
最新受賞者宇都宮ライトレールHU300形電車
大阪市高速電気軌道400系電車
公式サイトhttps://www.jrc.gr.jp/award/bl

ローレル賞(ローレルしょう)は、鉄道友の会1961年2月18日に制定した日本鉄道車両に与えられるである。

概要

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鉄道友の会は、1958年ブルーリボン賞を制定し、翌1959年より会員による投票で同賞を選定していたが、華やかな特急用車両が選定されやすい傾向があった。

そこで、1961年2月、ブルーリボン賞に選定され難い通勤形車両および近郊形車両を選定対象として、主に技術面で優秀な車両を評価するローレル賞が制定された。ローレルとは月桂樹のことであり、後述の記念プレートに描かれる月桂冠は栄誉を意味する。第1回から14回まではブルーリボン賞と同じく会員の投票によって賞の選定を行っていたが、賞の選定においては選考委員の裁量が働き、技術的に長けていた得票数2位の車両が選ばれることがあった。

しかし、1970年代初頭より本来は特急用車両であるものが「通勤特急」と称して通勤列車に投入されるようになり、通勤車両の定義が曖昧になってきた。そこで、第15回ローレル賞からは対象を通勤形・近郊形車両に限定せず、ブルーリボン賞の選定候補車両でブルーリボン賞に選ばれなかった車両から、得票数に関わらずブルーリボン賞選考委員会が選定することとなった(なお、選定前年の第14回ローレル賞は特急形車両の西鉄2000形電車が受賞している)。近年では初期の通り技術面や先進性に優れた車両が選定される傾向にあり、貨物用車両や路面電車、中小私鉄の受賞車が多く見られる。

なお、ブルーリボン賞は年1形式のみの選定となっているが、ローレル賞については1形式のみという規定がないため、一度に複数形式が選定されることがある(現時点では第46回2006年)の4形式が最多)。

選定までの流れ

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ローレル賞は、ブルーリボン賞選考委員会によって選出される。 ローレル賞選定までの流れについては、ブルーリボン賞の稿を参照。

ブルーリボン賞と異なり、ローレル賞はブルーリボン賞の投票結果はあまり考慮せず(ただし、候補車両の選定の際に多少考慮される場合がある)、前年に新しく製造された鉄道車両の中から製作意図・技術・デザインなどが優れた特徴ある車両が選定される。また、ブルーリボン賞同様、贈呈式や選定車両への記念プレート貼り付けが行われる。

ローレル賞の記念プレートは右上にあるような丸型のものが代々取り付けられている(他の銘板を組み合わせてデザインされる場合もある)。なお、第49回受賞の京阪2代目3000系ではグッドデザイン賞受賞記念プレートにあわせ、従来のものとは違うものが設置されている。

選定車両一覧

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※鉄道事業者名は、選定当時の呼称。なお、各鉄道事業者のWikipediaページへのリンクは最初の1回(その事業者の初受賞)のみとする。

第1回-第30回

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回(選定年) 鉄道事業者 選定車両 愛称 備考
第1回(1961年 京阪神急行電鉄 2000系電車
2300系電車
「オートカー」「人工頭脳電車」 得票数1位は小田急2400系電車[1]
第2回(1962年 日本国有鉄道 401系電車
421系電車
第3回(1963年 京王帝都電鉄 3000系電車 得票数1位は国鉄111系電車[1]
第4回(1964年 京王帝都電鉄 5000系電車(初代) ブルーリボン賞を含めて同一鉄道事業者が複数年連続で受賞した最初の事例
第5回(1965年 山陽電気鉄道 3000系電車 第1次車(アルミカー)が選定 得票数1位は国鉄103系電車[1]
第6回(1966年 札幌市交通局 A830形電車
第7回(1967年 長野電鉄 0系電車 「OSカー」
第8回(1968年 該当車なし
第9回(1969年 東京都交通局 6000形電車
第10回(1970年 大阪市交通局 60系電車
第11回(1971年 名古屋鉄道 モ600形電車 通常投票では東急8000系電車との得票数がほぼ同じで選考委員でも甲乙つけ難いことから決戦投票が行われて選定された。[1]
第12回(1972年 帝都高速度交通営団 6000系電車
第13回(1973年 小田急電鉄 9000形電車
第14回(1974年 西日本鉄道 2000形電車 特急形車両では初の受賞車両
第15回1975年 日本国有鉄道 24系25形客車 「ブルートレイン」
黒部峡谷鉄道 EH形電気機関車 現在の形式は「EHR形」
機関車では初の受賞車両
第16回1976年 日本国有鉄道 キハ66系気動車
東京急行電鉄 8500系電車
富士急行 5000形電車
第17回1977年 上信電鉄 1000形電車
札幌市交通局 6000形電車
第18回1978年 東京都交通局 新7000形電車
神戸市交通局 1000形電車
第19回1979年 京浜急行電鉄 800形電車
日本国有鉄道 50系客車 「レッドトレイン」
第20回1980年 名古屋鉄道 100系電車
北総開発鉄道 7000系電車
富山地方鉄道 14760形電車
第21回1981年 日本国有鉄道 117系電車 「シティライナー」
長崎電気軌道 2000形電車
第22回1982年 福岡市交通局 1000系電車
第23回1983年 日本国有鉄道 200系新幹線電車 「緑の疾風」 この愛称はすぐに使用されなくなった
熊本市交通局 8200形電車
第24回1984年 京阪電気鉄道 6000系電車
第25回1985年 帝都高速度交通営団 01系電車
樽見鉄道 ハイモ180形気動車
第26回1986年 南海電気鉄道 10000系電車 「サザン」
日本国有鉄道 100系新幹線電車 「ニュー新幹線」
第27回1987年 北大阪急行電鉄 8000形電車 「ポールスター」
近畿日本鉄道 7000系電車 「スーパー・エレクトロニック・コミューター」 この愛称はすぐに使用されなくなった
四国旅客鉄道 キハ185系気動車 営業運転開始当時の事業者は日本国有鉄道
第28回1988年 仙台市交通局 1000系電車
第29回1989年 九州旅客鉄道 783系電車 「ハイパーサルーン」
第30回1990年 西日本旅客鉄道 221系電車 「アメニティライナー」 この愛称はすぐに使用されなくなった
四国旅客鉄道 2000系気動車 「TSE」 試作車が選定(愛称も試作車のみ)

第31回-第60回

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回(選定年) 鉄道事業者 選定車両 愛称 備考
第31回1991年 東日本旅客鉄道 251系電車 「スーパービュー踊り子」
大阪市交通局 70系電車
第32回1992年 東日本旅客鉄道 253系電車 「成田エクスプレス」
九州旅客鉄道 キハ200系気動車 「赤い快速」
第33回1993年 東海旅客鉄道 300系新幹線電車
日本貨物鉄道 EF200形電気機関車 「INVERTER HI-TECH LOCO」
第34回1994年 日本貨物鉄道 DF200形ディーゼル機関車 「Eco-Power RED BEAR」
第35回1995年 北海道旅客鉄道 キハ281系気動車 「HEAT 281」 現在の愛称は「FURICO 281」
第36回1996年 東海旅客鉄道 383系電車
日本貨物鉄道 コキ71形貨車 「カーラックシステム」
第37回1997年 北海道旅客鉄道 731系電車
第38回1998年 熊本市交通局 9700形電車
叡山電鉄 900系電車 「きらら」
近畿日本鉄道 5800系電車 「L/Cカー」
第39回1999年 スカイレールサービス 200形電車
第40回2000年 広島電鉄 5000形電車 「GREEN MOVER」
東海旅客鉄道 700系新幹線電車 西日本旅客鉄道との共同開発
東日本旅客鉄道 209系950番台(E231系900番台)電車
第41回2001年 名古屋鉄道 モ800形電車
近畿日本鉄道 3220系電車
5820系電車
9020系電車
シリーズ21
第42回2002年 西日本旅客鉄道 キハ187系気動車
第43回2003年 岡山電気軌道 9200形電車 「MOMO」
鹿児島市交通局 1000形電車 「ユートラム」
第44回2004年 該当車なし
第45回2005年 九州旅客鉄道 800系新幹線電車
長崎電気軌道 3000形電車
第46回2006年 名古屋鉄道 2000系電車 「ミュースカイ」
愛知高速交通 100形電車 「リニモ」
広島電鉄 5100形電車 「Green mover max」
福岡市交通局 3000系電車
第47回2007年 東日本旅客鉄道 E233系電車
西日本鉄道 3000形電車
第48回2008年 東日本旅客鉄道
仙台空港鉄道
E721系電車
SAT721系電車
共通設計の同型車両
E721系は0番台と500番台が選定
東日本旅客鉄道 キハE200形気動車 「こうみ」
第49回2009年 豊橋鉄道 T1000形電車 「ほっトラム」
京阪電気鉄道 3000系電車(2代目) 「コンフォート・サルーン」
第50回2010年 近畿日本鉄道 22600系電車 「Ace」
第51回2011年 東京地下鉄 16000系電車
第52回2012年 日本貨物鉄道 HD300形ハイブリッド機関車 試作機の900番台が選定
第53回2013年 該当車なし
第54回2014年 福井鉄道 F1000形電車 「FUKURAM」
東日本旅客鉄道 E6系新幹線電車
第55回2015年 東日本旅客鉄道 EV-E301系電車 「ACCUM」
箱根登山鉄道 3000形電車 「アレグラ」
第56回2016年 東日本旅客鉄道 HB-E210系気動車
四日市あすなろう鉄道 新260系電車 車体更新、中間車新造編成が選定
第57回2017年 東日本旅客鉄道 E235系電車
えちごトキめき鉄道 ET122形1000番台気動車 えちごトキめきリゾート雪月花
静岡鉄道 A3000形電車
第58回2018年 東日本旅客鉄道 E353系電車
東武鉄道 500系電車 「リバティ」
鹿児島市交通局 7500形電車 「ユートラムIII」
第59回2019年 相模鉄道 20000系電車
叡山電鉄 デオ730形電車 ひえい
第60回2020年 四国旅客鉄道 2700系気動車

第61回-

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回(選定年) 鉄道事業者 選定車両 愛称 備考
第61回2021年 東日本旅客鉄道 E261系電車 「サフィール踊り子」
東海旅客鉄道 N700S系新幹線電車
第62回2022年 東京地下鉄 17000系電車
18000系電車
限りなく共通性のある設計のため同時受賞
京阪電気鉄道 3850形電車 「プレミアムカー」 3000系電車(2代目・第49回選定)の新造中間車(有料座席指定特別車両)が選定
第63回2023年 京都市交通局 20系電車
第64回2024年 宇都宮ライトレール HU300形電車 「ライトライン」
大阪市高速電気軌道 400系電車

受賞車両の写真

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出典

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参考文献

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  • 鉄道友の会 編『ローレル賞の車両'88』保育社、1988年。ISBN 4-586-50762-4 

関連項目

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外部リンク

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