消毒液スタンド
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消毒液スタンド(しょうどくえきスタンド)とは、消毒用アルコールなどの手指消毒剤を便利かつ安全に利用するために用いられる台である。消毒スタンド(しょうどくスタンド)などとも表記される[1]。
概要
[編集]ボトル(ディスペンサー)に入った消毒用アルコールなどを人の手の高さに設置するものである。車椅子利用者[2]や子供・幼児[3][4]のために高さを低くしたもの(あるいは高さを調節できるもの)もある。
消毒液のノズル・ポンプ部分を手で触れずに済ませるため、ペダルを設けて足踏み式にしたものや、センサーを搭載したものもある。
少なくとも2010年頃にはすでに防災・感染症対策用品として販売されていた[3]が、2020年に新型コロナウイルス感染症の流行が始まって以降、需要が急速に拡大したことにより、様々なメーカーから製造・販売されるようになった[1][4][5][6]。
種類
[編集]特色あるもの
[編集]- マツイシ楽器店やパール楽器製造など、ドラムを取り扱う楽器店・楽器メーカーがハイハットを応用した消毒液スタンドを発売した[6][5]。
- ヤマハはピアノ風の消毒液スタンドを本社図書コーナーで試作し、見学施設や本社などに設置した。電子楽器の鍵盤とペダルを流用し、拳や肘で押し下げたり、ペダルを踏んで利用できるようにした。一般的な足踏み式のスタンドは手前が固定され奥を踏み込む方式が多いが、立った時の利便性を考慮して奥が固定され手前を踏み込む方式とした[7]。
- トヨタ自動車は「カイゼン」の手法を用いて足踏み式消毒液スタンドを製造・発売した[1][8]。発売から2か月で1.2万台を売り上げ、協力会社にも支援を要請して800台/日のペースで製造されている[8]。
- 宇都宮市立晃陽中学校の特別支援学級は、2020年7月より自立活動の一環で木製の足踏み式消毒液スタンドを手作りしている[9]。2021年1月までに50台以上を作り、市内の公共施設などに寄贈した[9]。
事故
[編集]消毒液スタンドの噴き出し口の高さは、4歳前後の幼児の身長と同じ約1メートル程度のものが多い。そのため、子供の目に誤って消毒液が入り、角膜炎などを引き起こす事故が増加していることが、フランスなどの研究チームによって示された。アルコール消毒液は粘膜への刺激が強いため、目に入った場合はただちに水やぬるま湯で洗い流す必要がある[10]。
脚注
[編集]- ^ a b c “トヨタの足踏み式消毒スタンド「しょうどく大使」 感染対策として工場従業員が自発的に開発”. Car Watch (インプレス). (2020年11月25日) 2021年6月30日閲覧。
- ^ “コロナ対策 - 山小電機製作所”. 山小電機製作所. 2021年2月20日閲覧。
- ^ a b “ボトルに触らず消毒――コクヨから足踏式の消毒液スタンド”. ITmedia エンタープライズ (2009年12月8日). 2021年2月20日閲覧。
- ^ a b “鈴鹿 子ども用の足踏式消毒液 辻プロテック工業が市に寄贈 三重”. 伊勢新聞社 (2021年2月5日). 2021年2月20日閲覧。
- ^ a b “ドラムメーカーが非接触支援 ハイハット応用し消毒”. テレ朝ニュース (2020年8月5日). 2021年2月20日閲覧。
- ^ a b “マツイシ楽器店 ペダル踏むだけ手指消毒 楽器スタンド活用、限定発売”. 中部経済新聞 (2020年6月30日). 2021年2月20日閲覧。
- ^ “ピアノ風の消毒液スタンド設置 ヤマハ本社”. 中日新聞. 中日新聞社 (2021年8月27日). 2022年10月26日閲覧。
- ^ a b “「しょうどく大使」1・3万台 トヨタの足踏み式スタンド発売2カ月”. 中日新聞 (2021年2月9日). 2021年2月27日閲覧。
- ^ a b “自作の消毒スタンド寄贈 宇都宮・晃陽中の特別支援学級生が製作”. 下野新聞 (2021年1月9日). 2022年2月1日閲覧。
- ^ “アルコール消毒液が子供の目に…角膜炎の報告も コロナ禍に伴うスタンド設置で事故”. 福井新聞オンライン (2021年2月10日). 2021年2月20日閲覧。