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長門勇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ながと いさむ
長門 勇
本名 平賀 湧
生年月日 (1932-01-01) 1932年1月1日
没年月日 (2013-06-04) 2013年6月4日(81歳没)
出生地 日本の旗 日本岡山県倉敷市
ジャンル 映画
テレビドラマ
活動期間 1948年 - 2013年
事務所 伊藤事務所⇒西岡プロ⇒三木プロダクション
主な作品
テレビドラマ
三匹の侍』シリーズ
春の坂道
風と雲と虹と
横溝正史シリーズ
柳生十兵衛あばれ旅
バラエティー番組など
スチャラカ社員
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長門 勇(ながと いさむ、1932年(昭和7年)1月1日 - 2013年(平成25年)6月4日)は、日本俳優声優。本名:平賀 湧(ひらが いさむ)。三木プロダクション所属。岡山県倉敷市出身。

来歴・人物

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岡山県立倉敷商業高等学校を中退後、自動車修理工場などを転々とし、芝居をやりたくて終戦から間もない1948年、旅回り一座の高尾光子劇団に入団する[1]

翌年上京。浅草の浅草小劇場(浅草ショー劇場、後の浅草美人座)を振り出しに、ロック座フランス座などでコメディアンとして活動し、黎明期のテレビ界に進出。浅草フランス座3代目座長を務める[2]1958年にフランス座を退座した後は[3]、伊藤事務所を経て[1]1962年には西岡プロの発足を受けそれに参加[3]

のほほんとした親しみやすいキャラクターが印象的で、軽演劇の舞台で腕を磨いた器用さで時代劇から現代劇までカバーした。特に、ひょうきんで人懐こい、うだつの上がらない人物を装い、いざという時に凄腕を発揮する、といった役どころを得意としていた。

三匹の侍』(フジテレビ系)での桜京十郎役が当たって以降、時代劇ではの使い手を数多く演じた。『スチャラカ社員』(TBS系)では、流行語にもなった「おえりゃあせんのう[4]などの岡山弁のフレーズを用いたキャラクターで人気を得たほか、『横溝正史シリーズ』(TBS系)では、古谷一行演じる金田一耕助とコンビを組む日和警部[5]役でコメディーリリーフぶりを発揮した。

2011年に軽い脳梗塞を患った後も、芸能活動を続けていた。しかし、2013年5月頃体調を崩し、神奈川県内の病院に入院し加療を続けていたが[6]、6月4日、老衰のため死去した[7]。81歳没。かつては妻と一緒に生活していたが、最期は親戚に看取られながら息を引き取ったと報じられた[8]2012年3月16日にゲスト出演したTBSラジオ大沢悠里のゆうゆうワイド』が公への最後の出演となった。

五社英雄に見いだされる

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長門は浅草のロック座でストリップの合間にコントを演じるコメディアンをしながら、役者として下積み生活を送っていた[9]。だが、10年が経ち、30歳になろうとしているのに全く浅草から抜け出せない状況に、心が折れかかっていた[9]。共に下積み暮らしをしていた喜劇人たちは、渥美清のようにスターになっていくか、あるいは挫折して廃業していくかで、気がつけば自分だけが取り残されていた[9]。だからといって、少年時代に家出同然で岡山の実家を飛び出した身には、帰る場所は無かった[9]テレビ局に自分を売り込もうとするも門前払い。このままでは先がないと考え、結婚を機会に一度は浅草を離れようと考えたが、他に仕事は無かった。妻の目をごまかすため、仕事に行くふりをしてパチンコ屋に行くこともあった[9]。あまりの惨めさに、隅田公園にたたずんで途方に暮れる毎日だった[10]

1963年、長門は芸術座公演『見せられい手帖』に客演することになった。ほとんど客の入らない惨憺たる動員に終わったが、その客席にフジテレビディレクター五社英雄がいた[10]。当時、五社は足しげく劇場に通い、新たな才能を探していた[10]。五社は長門の芝居に魅入られる。だが当初は芝居の中身に惹かれたわけではなかった[10]。 不入りが過ぎると気抜けする役者は少なくない。ところが、長門は全く手を抜かずに熱演を続けた[10]。その熱意に惹かれたのだった。五社は劇場に通いつめ、結局同じ芝居を3度観ることになる。そして、気づく。長門が日に日にうまくなっていることに。「こりぁ、たいした役者だ」と感心した五社は、自分が手掛ける『三匹の侍』の三匹目の大役に長門を起用する決心を固めた[11]

親族

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妻は元舞台女優の麻耶あけみ[1]。俳優の須藤健は妻の伯父[1][3]。妻との出会いはロック座の仲間であったことだが、麻耶が花嫁修業のために退団したことで交友は途絶えたものの、フランス座に移籍して1年ほどたった頃に、麻耶が芝居の世界に戻り、フランス座に入ったことで交際にいたり、1957年に結婚した[1][3]

主な出演

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テレビドラマ

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映画

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  • 太陽、海を染めるとき(1961年) - ライス 役
  • 東京パトロール 終列車の少年(1961年) - 根岸巡査 役
  • 大森林に向かって立つ(1961年) - 坂主 役
  • 大学かぞえうた 先輩・後輩(1962年) - 佐々進 役
  • サラリーマン物語 新入社員第一課(1962年) - 高山秘書課長 役
  • メキシコ無宿(1962年) - あんこう 役
  • 男と男の生きる街(1962年) - 神津 役
  • 東京オリンピック音頭 恋愛特ダネ合戦(1963年) - 弁藤 役
  • あの人はいま(1963年) - 大橋 役
  • 歌くらべ満月城(1963年) - タヌ吉 役
  • 虹をつかむ踊子(1963年) - 司会者 役
  • 続・ニッポン珍商売(1963年) - 税務署長 役
  • 腰抜けガン・ファイター(1963年) - 徳 役
  • 続道場破り 問答無用(1964年) - 田宮大炊介高央 役
  • こちら婦人科(1964年) - 赤金金次郎 役
  • 道場破り(1964年) - 三沢伊兵衛 役
  • 忍法破り 必殺(1964年) - 斎藤孫兵衛 役
  • 駆逐艦雪風(1964年) - 木田勇太郎 役
  • おかあさんのばか(1964年) - 長田先生 役
  • 三匹の侍(1964年) - 桜京十郎 役
  • モンローのような女(1964年) - 新庄 役
  • いも侍・蟹右衛門(1964年) - 淡島蟹右衛門 役 
  • 馬鹿まるだし(1964年) - 日之出巡査 役
  • にっぽんぱらだいす(1964年)
  • あんま太平記(1965年) - 大和進 役
  • いも侍・抜打ち御免(1965年) - 淡島蟹右衛門 役
  • 殴り込み侍(1965年) - 淡島蟹右衛門 役
  • 昨日のあいつ今日のおれ(1965年) - 山田 役
  • 喜劇 大親分(1965年) - 花島一平 役
  • おゝ猛妻(1965年) - 貝塚勇太 役
  • 侠勇の花道 ドス(1966年) - 梅林哲郎 役
  • スチャラカ社員(1966年) - 都田物産部長 役
  • 涙の連絡船(1966年) - 後藤勇治 役
  • そっくり大逆転(1967年) - 岡部庄助 役
  • 佐々木小次郎(1967年) - 盗賊島兵衛 役
  • 悪名一代(1967年) - 二代目シルクハット 役
  • 若親分千両肌(1967年) - 弁天斎辰丸 役
  • 若社長大奮戦(1967年) - 玄海和尚 役
  • わが闘争(1968年) - 年寄りの運転手 役
  • 裏切りの暗黒街(1968年) - 内川 役
  • ひとり狼(1968年) - 上松の孫八 役
  • 女賭博師みだれ壷(1968年) - 友造 役
  • 喜劇 競馬必勝法 大穴勝負(1968年) - 大和田泰造 役
  • 二匹の用心棒(1968年) - 箱田の森介 役
  • めくらのお市物語 真赤な流れ鳥(1969年) - 浮田重兵衛 役
  • 必殺 博奕打ち(1969年) - 井手庄七 役
  • 用人棒兇状旅(1969年) - 白根の庄八 役
  • 傷害恐喝 前科十三犯(1969年) - 北川哲 役
  • 女左膳 濡れ燕片手斬り(1969年) - 蒲生泰軒 役
  • 喧嘩博徒 地獄の花道(1969年) - 山高帽の辰 役
  • 与太郎戦記 女は幾万ありとても(1970年) - 浅井班長 役
  • 血染の代紋(1970年) - 大将 役
  • 縁結び旅行(1970年) - 井上 役
  • 関東テキヤ一家 喧嘩仁義(1970年) - 花井清蔵 役
  • 関東幹部会(1971年) - 神尾周三 役
  • 藤圭子 わが歌のある限り(1971年) - 松平国二郎 役
  • 喜劇 おめでたい奴(1971年) - 先輩 役
  • 冒険者たち(1975年) - ケンの父 役
  • 三億円をつかまえろ(1975年) - 野島 役
  • 夜明けの旗 松本治一郎伝(1976年) - 下田半三郎 役
  • トラック野郎・男一匹桃次郎(1977年、東映) - 教官・鬼塚 役
  • 白昼の死角(1979年) - 稲垣専務 役
  • 戒厳令の夜(1980年) - 谷沢康キチ 役
  • 悪女かまきり(1983年、東映) - 小林六助 役 
  • いとしのラハイナ(1983年) - チンさん 役
  • せんせい(1983年) - 田島勇作 役
  • 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎(1983年) - 大阪屋 役
  • トロピカルミステリー 青春共和国(1984年) - 三神信夫 役
  • 刑事物語 くろしおの詩(1985年) - 獣医 役
  • ビッグマグナム 黒岩先生(1985年) - 堤省吾 役
  • 塀の中のプレイ・ボール(1987年) - 大野浩 役
  • 勝利者たち(1992年) - 草壁甚平 役
  • ソクラテス(1996年) - 玄 役
  • かっ鳶五郎(1997年) - 三吉 役
  • 死に花(2004年) - 先山六兵衛 役
  • サンクチュアリ(2006年)

舞台

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  • 極楽島物語

テレビアニメ

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バラエティー番組

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ラジオ

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CM

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  • 川口技研 - 商品パッケージに長門のイラストが使用されている。
    • 敷居スベリ、スベラーズ
    • OKアミド
    • マドミラン
  • 辻本店
    • 御前酒 - ※昭和40年代後半のローカルCM。山陽放送のみのO.Aだが、「『御前酒』飲まにゃあ、ええ酒じゃ」のフレーズが知られている。
  • いのうえエヴァホール - ※1990年代から2000年代中期頃まで流されていたローカルCM。岡山県南部エリアで展開する綜合葬祭式場。「愛すればこの街この人いのうえエヴァホール」がフレーズ。
  • 東洋水産
    • マルちゃんラーメン
  • 生研
    • 薬用ラジホープ(「我が家のホープ ラジホープ」)

脚注

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  1. ^ a b c d e 長門勇「妻と築いた泣き笑い人生」『婦人生活』5月号、婦人生活社、1971年5月、214 - 217頁。 
  2. ^ 「八波むと志」「長門勇」対照的な初期の2大スター<第4回>浅草六区芸能伝|月刊浅草ウェブ”. 月刊浅草ウェブ【毎日10時更新!】伝統と革新の交差点「浅草」の魅力を配信. 2021年6月27日閲覧。
  3. ^ a b c d 長門勇「妻と築いた泣き笑い人生」『婦人生活』3月号、婦人生活社、1964年3月、182 - 184頁。 
  4. ^ 「駄目だなぁ」の意。
  5. ^ ドラマ内のオリジナル・キャラクター。原作には登場しない。
  6. ^ 長門勇さん死去 81歳「三匹の侍」などに出演の名脇役 スポーツニッポン 2013年6月4日閲覧
  7. ^ “金田一シリーズで警部役、長門勇さん死去”. 日刊スポーツ. (2013年6月6日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20130606-1138469.html 2024年8月31日閲覧。 
  8. ^ “「おぬしやるのう」俳優・長門勇さん死去 2/3ページ”. SANSPO.COM(サンケイスポーツ. (2013年6月5日). http://www.sanspo.com/geino/news/20130606/oth13060605070015-n2.html 2013年6月6日閲覧。 
  9. ^ a b c d e 春日 2016, p. 56.
  10. ^ a b c d e 春日 2016, p. 57.
  11. ^ 春日 2016, p. 54 - 57.

参考文献

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  • 春日太一『鬼才 五社英雄の生涯』文藝春秋文春新書〉、2016年8月。ISBN 978-4166610877 

外部リンク

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