手回り品切符
手回り品切符(てまわりひんきっぷ)とは、日本の鉄道事業者などで採用されている切符の一種で、旅客みずからが車船(客席・客室)内に手回り品を持ち込む時に必要な切符である。普通手回り切符や定期手回り切符などがある。
日本国有鉄道(旧国鉄)においては、旅客運送に付随する物品運送である手回り品等を適切にコントロールするため有料の切符として導入された[1]。
JRの手回り品について
[編集]手回り品切符が必要な手回り品(有料手回り品)
[編集]自転車を解体して専用の袋に収納した場合や、折りたたみ式自転車で折りたたんで専用の袋に収納した場合は、無料手回り品となる[3]。 従来、競輪用自転車(トラックレーサー)の入った袋(輪行袋)は有料手回り品であったが、2011年(平成23年)10月1日の旅客営業規則改正により無料手回り品となった。
車椅子のうち、長さ・高さが120センチメートル以内、幅70センチメートル以内のものは無料手回り品。それ以外は鉄道会社ごとに対処が分かれる。
なお、宇高連絡船のホーバー便は有料手回り品の持ち込みが禁じられていた。
持ち込みが原則禁じられているもの
[編集]手回り品は原則として、縦・横・高さの合計で250センチメートル、長さ2メートル、重さ30キログラム以内のものを最大2つまで持ち込むことができるが、次のものは原則として持ち込みが禁止されている[4]。
- 「危険品」[5]、またはほかの旅客に危害を及ぼす可能性があるもの。
- 暖炉・コンロ(ただし乗車中に使用する恐れがないと認められるものとカイロは除く)
- 人間の死体
- 動物(ただし少数の小鳥・小虫類・初生ひな及び魚介類で容器に入れたもの、並びに介助犬=盲導犬・聴導犬など、第309条第1項により持ち込みの許可を得た動物は除く)
- 不潔、ないしは臭気により他の旅客に迷惑の及ぶ恐れがあるもの
- 車内を破損する恐れのあるもの(刃物(銃刀法違反)やバール(ピッキング防止法第4条に違反する特殊開錠用具)など)
効力・値段
[編集]旅客の1回の乗車船ごと(改札から改札まで)に、1個について290円[2]。途中下車の取扱はないので改札ごとに手回り料金が必要となる。手回り品切符を発売していない駅から乗車する際は、車内または降りる駅で290円を支払う。使用後は、手回り品切符を降りる駅の駅係員、または列車の乗務員に手渡して回収してもらう。
鉄道会社の責任
[編集]小犬・猫・ハト又はこれらに類する小動物の入った容器一つにつき2,000円以内の賠償責任。
JR以外の鉄道事業者の手回り品について
[編集]各事業者の運送約款(旅客営業規則など)により定められている。JRと同様、有料手回り品の制度を有する事業者[7]がある一方、ない事業者[8]もある。また、東急電鉄においては、2000年3月1日から手回り品料金を無料化した[9]。
脚注
[編集]- ^ 日本国有鉄道総裁室修史課『日本国有鉄道百年史 第13巻』1974年、163頁
- ^ a b c 土屋武之『新きっぷのルールハンドブック』実業之日本社、2017年、187-188頁頁。ISBN 978-4-408-45646-1。
- ^ 旅客営業規則308条、309条
- ^ ■第2編 旅客営業 -第10章 手回り品 第10章・手回り品(JR東日本)
- ^ ■別表第4号 危険品(JR東日本)
- ^ ガソリンなど鉄道車内への持ち込み禁止へ…『のぞみ』放火事件受け(レスポンス2016年3月31日 2017年2月25日閲覧)
- ^ 例:京阪電気鉄道 - “旅客営業規則・第9章 手回り品” (pdf). 京阪電気鉄道. 2020年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月30日閲覧。
- ^ 例:大阪市高速電気軌道(Osaka Metro) - “旅客営業規則” (pdf). 大阪市高速電気軌道. p. 6 (2021年9月15日). 2021年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月30日閲覧。 - 第7 - 8条など、有料手回り品の記載はない。
- ^ “HOT ほっと TOKYU” (pdf). 東京急行電鉄 (2000年3月1日). 2015年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月30日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- きっぷに関するご案内 手回り品 - JR東日本