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e:HEV

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

e:HEV(イー エイチイーブイ)は、本田技研工業が開発したストロングハイブリッドシステムであり、同社のプラグイン・ハイブリッド車の基幹システムとしても用いられている。本項では旧称の「SPORT HYBRID i-MMD(スポーツ・ハイブリッド・アイエムエムディー)[注釈 1]」についても説明する。

概要

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2013年1月、これまで使われていたHonda IMAシステムを代替する3つのハイブリッドシステム[1]の1つとして、アメリカにて9代目アコードを基にした2代目アコードハイブリッドに搭載された。2基のモーターを組み合わせ高いエネルギー効率を目指し、主にミドルクラスの車両に搭載された。将来的には下位クラスへの導入も示唆されていたが、2020年に4代目フィット、2021年4月に2代目ヴェゼルへの搭載が実現している。

2020年より本方式をグローバル名称の「e:HEV(イーエイチイーブイ)」に改めることとなり、1月に5代目ステップワゴン、5月に3代目インサイト、6月に5代目CR-V、11月に5代目オデッセイが順次「e:HEV」に名称変更、2020年2月にフルモデルチェンジされた4代目フィットや10代目アコードでは「e:HEV」として搭載された。また、これに合わせてプラグインハイブリッドカーは「e:PHEV」、水素燃料電池自動車は「e:FCEV」と名称を統一している。

特色

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先代のハイブリッドシステムのIMA、1モーターのハイブリッドシステム・SPORT HYBRID i-DCDやその上位版ともいえる3モーターハイブリッドシステム・SPORT HYBRID SH-AWDなどモーターがエンジンの支援に回っているのとは異なり、エンジンでの駆動を高速巡航時などに限定することで、複雑な多段トランスミッションを不要にした。シリーズ型[注釈 2]とパラレル型[注釈 3]の良い所を兼ね備えた低燃費ハイブリッドシステムとなっている。

システムは、直列4気筒アトキンソンサイクルエンジンに2モーター内蔵電気式無段変速機(発電用・走行用モーター2基と、エンジン直結クラッチ搭載)を組み合わされ、通常 車輪の駆動はモーターのみで行い、エンジンは発電を担当する。高速巡航時などではエンジンを直接クラッチで駆動軸につないで走行する[2]。走行状況に応じて走行モード自動で切り替えて走行できるというのも特徴とされている。

  • EVモード:文字通りバッテリーの電気のみで走る「電気自動車」モード。バッテリーの電気で走行用モーターを作動させ、その力で走行する。
  • ハイブリッドモード:バッテリーの電気だけでは力不足になる際 エンジンを併用するモード。エンジンは直接車を動かさずに発電用モーターを回し、発電した電気で走行用モーターを動かし、EVモードと同様に走行する。なお、余った電気はバッテリーに蓄電される。
  • エンジンモード:エンジンの力で直接タイヤを回すことは通常の車と同じだが、高速走行(70km/h以上)時のみ使用されるため、変速機構は持たない。加速時などで駆動力が不足する場合に、走行モーターが駆動力を補う「アシスト機能」が作動する。

2023年に発売された11代目アコードでは、従来同軸に配置されていたエンジンと走行用モーターを異なる軸に配置することで、モーター走行での最高速度の向上とエンジン走行時の低回転化が図れるよう改良された[3]

搭載車種

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搭載車種によってエンジン排気量が2Lと1.5Lで分かれており、太字表記が2L、斜体表記が1.5Lとする。※の付与される車種は「e:PHEV」の設定車種。

注釈

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  1. ^ i-MMDはIntelligent Multi Mode Drive(インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ)の略。
  2. ^ エンジンの動力による直接駆動が出来ないため、長い登板や高速巡航が主体の場合は効率が上げにくい。
  3. ^ モーター1基でも成立可能だが、多段変速機が必須な事とモーターの効率的運用がしづらい。

出典

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  1. ^ 軽量コンパクトハイブリッドシステム「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」を開発
  2. ^ Honda e:HEV”. Honda e:HEV | Honda. 2022年12月26日閲覧。
  3. ^ 2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジン+平行軸配置2モーター内蔵電気式CVT搭載のe:HEV

関連項目

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外部リンク

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