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PPG I

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

PPG I分類体系[1][2] (PPG いち ぶんるいたいけい、PPG I classification)は、現生シダ植物の包括的な分類体系である[3]。現代的で包括的な分類を行うために設立された、シダ植物を専門とする研究者からなる団体であるシダ植物系統グループ[4] (The Pteridophyte Phylogeny Group, PPG)[注釈 1] (2016) によって発表された[3][5]胞子生殖を行う維管束植物はまとめてシダ植物と呼ばれてきたが、現在では2つの明確に異なった単系統群である小葉植物 (lycophytes) と大葉シダ植物 (monilophytes) を含む側系統群であることが分かっている[3]PPG I体系とも呼ばれる[1]

古くから系統学によりシダ植物の分類が行われてきた[6]。近年では進化系統樹を推定する能力が向上し、より自然分類に近づいてきた[6]被子植物では古く1998年から包括的な分類体系を築く試みがなされており[注釈 2]、本分類体系はそれを大まかに踏襲したものとなっている[3]被子植物ではの形質が主要なを分類する根拠となっているが、シダ植物ではどの形態形質が分類上最も重要であるか合意が得られていないため、科や属の分類は大きく変化してきた[7]

PPG I (2016) では、小葉植物および大葉シダ植物について、研究者コミュニティに基づく (community-based) アプローチを用いて、レベルまでの最新の包括的な分類体系を構築した[6]単系統性を第一の基準として分類を行うが、シダ植物の系統の理解のため広く受けられている既存の分類を保存することも目的としている[6]。この分類体系では、小葉植物および大葉シダ植物を合わせて2、14、51、337、11,916に分類した[6]。まだシダ植物の系統において未解明な点もあり、今後もさらなる改善が行われる[6]

理念

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生物の分類において、学名の安定性は非常に重要であり、分類と階級を決定する際には、既存の分類を考慮することが重要である[3]。かつ、自然分類群に基づくことも同様に重要で、進化を反映し結果的に安定性が増すことになる[3]側系統群を維持することも有用ではあるが、属レベル以上では単系統のみからなる分類体系を構築することを目指した[3]。種レベルでは単系統群のみで分類を行うのは難しく、特にシダ植物では倍数体形成による種分化 (polyploid speciation) が多く行われ、3分の1近くが倍数体の増加によると推定されている[3][8][9]

進化系統樹をリンネ式階層分類に反映させることは困難であるものの、歴史的にそうした分類は長く行われ、現在も広く使われている[3]。そのため PhyloCode で推奨されているようなアプローチは安定性の観点から破壊的であるため行わない[3]。また、化石分類群を組み込むのにも多くの課題があるため、現生の小葉植物および大葉シダ植物のみ取り扱う[3]。一部の化石植物は容易に組み込むことができるが、ほとんどの絶滅植物の系統関係はかなり不明確である[3]。多くの化石分類群は明確な進化的系統を表しており、それらを本分類体系に含めるには、範囲の修正に加え、ほぼ確実に新科、新目、新綱を認める必要が生じる[3]。一般に本分類体系では、広く受け入れられている既存の分類と、小葉植物と大葉シダ植物の系統に関する理解と矛盾しないような分類を維持している[3]。単系統であることが分類群を認識する第一基準であるが、安定した単系統と判断されるグループの範囲を定義するデータが不十分な場合は、名前の変更を最小限にとどめる保守的なアプローチを採用している[3]。つまり現在認められている分類群の中には最終的に非単系統であることが明らかになるもの含まれている[3]。第二基準として形態学的な判別の可能性と相同性、年代と多様性の両方における階層的な同等性を考慮し、決定している[3]

この分類体系は完成したものではなく、現在までに分かった最良のデータから導き出され、その分類群に最も精通している人々によって形成された仮のものである[3]PPG I (2016) はシダ植物とその系統分類に関する最近の文献を参照するための資料として、また将来の研究の指針となる枠組みとして、さらに議論を深める助けとなることをその理念とする[3]

分類体系構築の方法

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PPG の設立は、2015年次世代シダ植物学会議 (2015 Next Generation Pteridology conference) を含む国際会議でのコンセプトの宣伝、アメリカシダ学会(American Fern Society; AFS)や国際シダ植物学会(International Association of Pteridologists; IAP)を含む学会ウェブサイトやメーリングリストへの投稿を通じて始まった[10]。初期参加者の間で非公式な議論が繰り返された後、コミュニティの関与を強化し、議論を促進するためにメーリングリストが作られた。プロジェクトが進行するにつれコミュニティは拡大し、2016年には PPG は94名のシダ植物学者からなる国際的なコミュニティとなった[10]。本分類体系は、コミュニティ主導型 (community-derived) で、過半数の支持を得たものである[10]

議論に参加する意思のある専門家からなる小委員会 (subcommittee) のメンバーによる最初の話し合い、小委員会による草案の作成、PPG コミュニティの全メンバーによる草案の議論、修正案の作成、そして正式投票 (formal vote) または賛成 (simple acclamation) による修正案の承認、という手順で行われた[10]。最高次の分類群については、PPG 全体で対話が開始され、様々な選択肢の長短について議論した結果、と亜綱を用いる体系が認められることとなった[10]。後に、主要な単系統群に適用される通俗名の決定も同様の手法で行われた[10]

、亜目、の決定について、初めに組織小委員会が最初の提案を作成した[10]。この提案は、電子的にすべてのメンバーと共有され、アンケートを実施することで、その妥当性を評価し、さらなる議論が必要な分野を明らかにした[10]。その結果を受けて、メンバー全員で議論を行い、その後意見が一致しない部分について代替案を提示した修正投票が作成され、全ての目、亜目、科で過半数の支持が得られた[10]。上位分類が決まった後、PPG のメンバーに特定の単系統群のの分類の検討が必要かをオンライン調査し、全会一致の合意が存在する場合、属の分類を検討した[10]。注意を要すると判断されたクレードについては、その系統の専門家によって構成される小委員会が設置され、小委員会長のもと代替となる属の分類について議論し、合意を得て、PPG全体による承認を得るための提案を行った[10]。綱、亜綱、目、亜目、科、属の体系が決まったのち、小委員会長は、各分類群について、以下の内容をまとめた[10]

既存の分類体系との比較

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本分類体系は分子系統解析以前の分類体系におけるの連続性を可能な限り維持している[11]。これは分子系統解析を反映したPPG I 以前の Smith et al. (2006)Christenhusz et al. (2011)Rothfels et al. (2012) などを引き継いでいるのに対し、Christenhusz & Chase (2014) などの認める分類群を減らした分類体系とは異なっている[11]Christenhusz & Chase (2014) では、属間雑種を回避するために、差異より類似性に注目し、姉妹群となっている属をより広い属に吸収して分類していた[5]

また、最上位の階級に関して、Ruggiero et al. (2015) では小葉植物大葉シダ植物をそれぞれ亜門Lycopodiphytina, Polipodiophytina)として扱い、その下にそれぞれ単一の綱(Lycopodipsida, Polipodiopsida)を置いた[11][12]。本分類体系では最上位を綱とし、それより上位の階級を置くことを推薦していない[11]。また、Ruggiero et al. (2015) と本研究は大葉シダ綱 Polipodiopsida の下位に4つの亜綱を置くことで一致している[11]。これは Smith et al. (2006) や Chase & Reveal (2009) のようなそれぞれを綱とした分類体系と異なっており、逆に Tree of Life Web Project (Pryer et al., 2009) を踏襲している[11]。分子系統解析からも、形態における解析においても大葉シダ植物が単系統群であることは確実であり、これを1つの綱とすることで問題はないという立場をとっている[11]

概要

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シダ植物に2つのヒカゲノカズラ綱 Lycopodiopsida大葉シダ綱 Polypodiopsida を認める[10]。後者は現生種子植物姉妹群となる[10]

ヒカゲノカズラ綱には3つのヒカゲノカズラ目 Lycopodialesミズニラ目 Isoëtalesイワヒバ目 Selaginellales を認めている[10]。ヒカゲノカズラ目には1科16属が含まれ、ミズニラ目とイワヒバ目はそれぞれ1科1属である[10]

大葉シダ綱には4亜綱トクサ亜綱 Equisetidaeハナヤスリ亜綱 Ophioglossidaeリュウビンタイ亜綱 Marattiidae薄嚢シダ亜綱 Polypodiidae が含められる[10]。現生のトクサ亜綱は1目1科1属(トクサ属 Equisetum L.)である[10]。ハナヤスリ亜綱は2目2科12属、リュウビンタイ亜綱は1目1科6属からなる[10]

薄嚢シダ亜綱は現存するシダ類の大多数を占め、ゼンマイ目 Osmundalesコケシノブ目 Hymenophyllalesウラジロ目 Gleichenialesフサシダ目 Schizaealesサンショウモ目 Salvinialesヘゴ目 Cyathealesウラボシ目 Polypodiales の7目を認めた[10]。このうちウラボシ目は6亜目サッコロマ亜目 Saccolomatineaeホングウシダ亜目 Lindsaeineaeイノモトソウ亜目 Pteridineaeコバノイシカグマ亜目 Dennstaedtiineaeチャセンシダ亜目 Aspleniineaeウラボシ亜目 Polypodiineae)に細分された[10][注釈 5]。 ゼンマイ目には1科6属、コケシノブ目には1科9属が含まれる[10]。ウラジロ目とフサシダ目はそれぞれ比較的小さい3科が含まれ、それぞれ10属、4属からなる[10]。サンショウモ目は2科5属、へゴ目には小さい7科10属に加え、3属からなる大きなヘゴ科 Cyatheaceae が含まれる[10]

ウラボシ目の各亜目の構成について、サッコロマ亜目は1つの小さな科に1属が含まれる[13]。ホングウシダ亜目はそれぞれ1属からなる2科と7属を含むホングウシダ科 Lindsaeaceae からなる[13]。イノモトソウ亜目は52属からなる大きな1科からなる[13]。コバノイシカグマ亜目は1科に10属を含む[13]。残りの2つの亜目、チャセンシダ亜目とウラボシ亜目は非常に多様性が高く、合わせて現生シダ植物の半分以上を占めている[13]。前者(チャセンシダ亜目)には、59属からなる4つの大きな科と、14属からなる100種に満たない7つの小さい科が含まれる[13]。後者(ウラボシ亜目)には、合計で98属からなる3つの大きな科に加え、10属が含まれる6つの小さな科が含まれる[13]

上記をまとめると、2綱、14目、51科、337属、11,916が扱われる[11]

以下、分類の詳細を示す。各群は系統的に整理され、一般に種の多様性が高くなる順に並べられている[11]。属は各群の中でアルファベット順に並べられている[11]。学名や種数などの情報は PPG I (2016) に従い[14]、和名は適宜出典を付した。

ヒカゲノカズラ綱

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ヒカゲノカズラ科の植物[注釈 6]
1.スギカズラ Spinulum annotinum[注釈 7]
2. マンネンスギ Dendrolycopodium dendroideum
3. タカネヒカゲノカズラ Diphasiastrum nikoense[注釈 8]
4. ヒカゲノカズラ Lycopodium clavatum[注釈 9]
5. トウゲシバ Huperzia serrata[注釈 10]
6. コスギラン Huperzia selago
7. ヒメスギラン Huperzia miyoshiana
ヒカゲノカズラ綱[16] Lycopodiopsida Bartl.
3目18属、推定1,338種からなる。単系統群。

ヒカゲノカズラ目

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ミズニラ目

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イワヒバ目

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大葉シダ綱

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大葉シダ綱[注釈 14] Polypodiopsida Cronquist, Takht. & W.Zimm.
4亜綱11目48科319属からなり、推定10,578種と見積もられており、単系統[15]。学名に関しては大葉シダ植物を参照。

トクサ亜綱

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トクサ属のタイプ種、ミズドクサ Equisetum fluviatile L.
トクサ亜綱[17] Equisetidae Warm.:単型

ハナヤスリ亜綱

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イヌナンカクラン属のタイプ種、Tmesipteris tannensis (Spreng.) Bernh.
ミヤコジマハナワラビ属唯一の種、ミヤコジマハナワラビ Helminthostachys zeylanica (L.) Hook.
ハナヤスリ亜綱[17] Ophioglossidae:2目2科12属、推定129種

リュウビンタイ亜綱

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リュウビンタイ属のタイプ種[50]アンギオプテリス・エウェクタ[51] Angiopteris evecta (G.Forst.) Hoffm.
リュウビンタイ亜綱[17] Marattiidae Klinge

薄嚢シダ亜綱

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薄嚢シダ亜綱[17](ウラボシ亜綱[2]Polypodiidae Cronquist, Takht. & W.Zimm.
7目44科300属からなり、推定10,323種と見積もられている[50]

ゼンマイ目

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ゼンマイ属のタイプ種(レクトタイプ)、レガリスゼンマイ Osmunda regalis L.

コケシノブ目

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ウラジロ目

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ヤブレガサウラボシ属のタイプ種、ヤブレガサウラボシ Dipteris conjugata Reinw.

フサシダ目

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カニクサ属のタイプ種、Lygodium scandens (L.) Sw.

サンショウモ目

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サンショウモ属のタイプ種、サンショウモ Salvinia natans (L.) All.

ヘゴ目

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ロクソマ属唯一の種、ロクソマ・クンニングハミイ Loxsoma cunninghamii R.Br. ex Hook.ロクソマ科
キュアテア属のタイプ種、Cyathea arborea (L.) Sm.

ウラボシ目

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命名法上の新提案

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本分類体系に伴い学名を整理するにあたって、以下の命名法上の新提案が行われた[297]

Aspleniineae H.Schneid. & C.J.Rothf., stat. nov.
チャセンシダ亜目[2]Aspleniaceae Newman[nomenclature 9]と同義[297]で、新しい階級に移動。タイプ属Asplenium L. (1753)ウラボシ目の1亜目[297]
Claytosmunda (Y.Yatabe, N.Murak. & K.Iwats.) Metzgar & Rouhan, stat. nov.
Osmunda subg. Claytosmunda Y.Yatabe, N.Murak. & K.Iwats.[nomenclature 10]オニゼンマイ亜属)と同義(亜属の属への格上げ)[297]タイプ種オニゼンマイ Claytosmunda claytoniana (L.) Metzgar & Rouhan [注釈 126][297]
Claytosmunda claytoniana (L.) Metzgar & Rouhan, comb. nov.
オニゼンマイ Osmunda claytoniana L.[nomenclature 11](バシオニム)の新組合せで、上記の亜属の属への格上げによる[297]
Dennstaedtiineae Schwartsb. & Hovenkamp, subord. nov.
コバノイシカグマ亜目[2]。タイプ属 Dennstaedtia Bernh. (1801) [1800]、タイプ科 Dennstaedtiaceae。ウラボシ目の新亜目[注釈 127]
Grammitidoideae Parris & Sundue, stat. nov.
Grammitidaceae Newman, Hist. Brit. Ferns: 7. 1840 と同義[297]で、亜科への階級の移動。タイプ属は Grammitis Sw. (1801) [1800]。ウラボシ目に属し、階級の移動が行われた[297]
Lindsaeineae Lehtonen & Tuomisto, subord. nov.
ホングウシダ亜目[2]。タイプ属は Lindsaea Dryand. ex J.Sm. (1793)ウラボシ目の新亜目でホングウシダ科を含む[297][注釈 128]
Mankyuoideae J.R.Grant & B.Dauphin, subfam. nov.
タイプ属は Mankyua B.Y.Sun, M.H.Kim & C.H.Kim[297]。ハナヤスリ科に属する新亜科[297][注釈 129]
Phegopteridoideae Salino, A.R.Sm. & T.E.Almeida, subfam. nov.
タイプ属は Phegopteris (C.Presl) Fée (1852)[297]。ヒメシダ科に属する新亜科[297][注釈 130]
Pteridineae J.Prado & Schuettp., stat. nov.
イノモトソウ亜目[2]Pteridaceae E.D.M.Kirchn.[nomenclature 13]と同義[297]。タイプ属は Pteris L. (1753)[297]。ウラボシ目に属し、階級の移動が行われた[297]
Saccolomatineae Hovenkamp, subord. nov.
サッコロマ亜目[2]。タイプ属は Saccoloma Kaulf. (1820)[297]サッコロマ科を含む新亜目[297][注釈 131]

その後の批評

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Christenhusz et al. (2018) では、最近のシダ植物の分類はジェネラリストとスペシャリストの間で意見の食い違いがあり、論争の的になっていると述べた[5]。そこで彼らは、PPG I分類体系はAPG IV のようにコミュニティにより作られたにも拘らず、APG の手法とは異なり、同定が難しい多くのに細分化しすぎたと論じた[5]。そしてそのような細分化された属は、種を同定してから分子系統解析による結果のみにより認識できるため、属の階級としての意味をほとんど果たさないと主張した[298]

その後、PPG I (2016) の運営メンバーを含む Schuettpelz et al. (2018) では、PPG I (2016) 分類体系で認められた属の数は、多すぎではなく歴史的な過程を引き継いでおり、むしろまだ少ないと主張した[299]Christenhusz et al. (2018) に反論し、「最近のシダ植物の分類が論争の的になっている」というのはあくまでその著者らのみが問題としているのであって、Smith et al. (2006) から始まったシダ類の分類は着実に合意に向かって進んでおり、PPG I (2016) はあくまで国際的なシダ植物学者たちのコンセンサスを明示したに過ぎないとした[299]Christenhusz & Chase (2014)Christenhusz et al. (2018) では、308種が Grammitis Sw. に、468種が Hemionitis L. に、388種が Thelypteris Schmidel に移され、これらの1164種の移動だけで、シダ種の11%に新しい学名が付けられた[299]Schuettpelz et al. (2018) はこの濫造を「1世紀以上にわたる知的進歩をほとんど無視している」と表現し批判した[299]。学名の出発点であるカール・フォン・リンネ (1753年) の『植物種誌』以降、小葉植物と大葉シダ植物の種数は短期間的には逆転することがあるもののほぼ毎年増加しており、これは(自然界から)蒐集された標本の数が増え続けているためだと考えられる[299]。そして種数の増加に加え、シダ植物以外の分類群では種に対する属の割合がもっと低いことを指摘し、Christenhusz et al. (2018) のように属を広い概念として扱うことは「足並みを乱している (out of step)」と主張した[299]。分類には様々な目的があって何れも主観的であるが、系統学に基づいてより精密なレベルの系統関係を反映し、利用可能なデータと分類学的見解を総合した分類体系は、ジェネラリストにもスペシャリストにも最も役立つというのが、ほとんどの分類学者の意見であるとしている[299]

それに対し、Christenhusz & Chase (2018) は改めて、多くの属に細分化しすぎであるとして PPG I (2016) に対する批判的な論文を発表した[300]。そして、Schuettpelz et al. (2018)Christenhusz & Chase (2014) を「足並みを乱している」と批判したことに対し、反論した[300]Christenhusz & Chase (2018) では、「Schuettpelz et al. (2018) の主張は、PPG I (2016) の支持者が批判者を反知性的だと思わせて黙らせようとしているに過ぎず、属の数が多いことが“知的進歩”と等しいと演繹的に仮定したでっち上げである」と厳しく批判した[300]。そして、Christenhusz et al. (2017) の24科212属の安定的な分類体系と、PPG I (2016) の今後変化があるだろう不必要に複雑な51科337属の分類体系では、どちらがより多く利用されるかは時間が解決してくれるだろうとした[300]PPG I (2016) による単系統である属の分割は「系統情報をより反映するため」望ましいというメッセージを与えているため、そのような考えでは分類の激変は大きな属がなくなるまで終わらないとし、その不安定さゆえ、シダ植物の分類体系においてPPG I (2016) を論理的な次の段階として必要であると自動的にみなすべきでないと締めくくった[300]

またヒメシダ科 Thelypteridaceae については、特に日本の種に関して、PPG I (2016) の30属を認めると、雑種属であるコウモリホシダ属[215] ×Chrinephrium を認める必要がでてきたり、He & Zhang (2012) や Almeida et al. (2016) の系統解析で用いられた中国産 "Parathelypteris nipponica" の材料は同定が疑わしいためかつて Parathelypteris に含まれていた種の所属が不確かであったりするなど問題点が多いことが指摘されている[216]。そのため、今後予定されている "PPG II" で東アジアの資料を正確に同定して公表することが重要であるとされる[216]

著者

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PPG I (2016) に挙げられている、このプロジェクトの運営メンバーは以下の通りである[301]

その他の参加者は以下の通りである[301]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「シダ系統グループ」とも[2]
  2. ^ APG 1998; APG II 2003; APG III 2009; APG IV 2016
  3. ^ 左上:エゾヒカゲノカズラ Lycopodium clavatum var. asiaticumヒカゲノカズラ科)、左下:トウゲシバ Huperzia serrataヒカゲノカズラ科)、右上:ミズニラ Isoëtes japonicaミズニラ科)、右中:イワヒバ Selaginella tamariscinaイワヒバ科)、右下:クラマゴケ Selaginella remotifoliaイワヒバ科
  4. ^ a: ホウライシダ Adiantum capillus-venerisイノモトソウ科)、b: オオハナワラビ Sceptridium japonicumハナヤスリ科)、c: イワヒメワラビ Hypolepis punctataコバノイシカグマ科)、d: カニクサ Lygodium japonicumカニクサ科)、e: トクサ Equisetum hyemaleトクサ科)、f: コモチシダ Woodwardia orientalisシシガシラ科)、g: ニシノオオアカウキクサ Azolla filiculoides(上)とサンショウモ Salvinia natans(下、ともにサンショウモ科)、h: ベニシダ Dryopteris erythrosoraオシダ科)、I: シケシダ Deparia japonicaメシダ科)、j: マツバラン Psilotum nudumマツバラン科)、k: ホラシノブ Odontosoria chinensisホングウシダ科)、l: コシダ Dicranopteris linearisウラジロ科)、m: ゲジゲジシダ Phegopteris decursivepinnataヒメシダ科)、n: シマオオタニワタリ Asplenium nidusチャセンシダ科)、o: ゼンマイ Osmunda japonicaゼンマイ科)、p: シノブ Davallia mariesiiシノブ科)、q: コケシノブ属の一種 Hymenophyllum sp.コケシノブ科)、r: クサソテツ Matteuccia struthiopterisコウヤワラビ科)、s: マメヅタ Lemmaphyllum microphyllumウラボシ科)、t: リュウビンタイ Angiopteris lygodiifoliaリュウビンタイ科)、u: デンジソウ Marsilea quadrifoliaデンジソウ科
  5. ^ 和名は海老原 (2018) による。
  6. ^ このうち、スギカズラ Spinulum annotinumスギカズラ属 Spinulum のタイプ種、ヒカゲノカズラ Lycopodium clavatumヒカゲノカズラ属 Lycopodium のタイプ種、コスギラン Huperzia selagoコスギラン属 Huperzia のタイプ種である[15]
  7. ^ a: 胞子嚢穂 ; b: 匍匐茎
  8. ^ a: 胞子嚢穂 ; b: 匍匐茎
  9. ^ a, b: 根の均等な二又分枝;c, d: 根の不等二又分枝;e: 胞子嚢穂;f: 匍匐茎;g: シュートの均等な二又分枝;h: シュートの不等二又分枝
  10. ^ a: 胞子嚢 ; b: 無性芽のついたシュートを上から見た図; c: 胞子嚢のついたシュートを横から見た図、均等な二又分枝を行う
  11. ^ 2022年に Lycopodiella serpentina がヤチスギラン属ではなくミズスギ属と姉妹群をなすことが分かり、独立属 Brownseya として記載されたため、現在では5属となっている[20]
  12. ^ Stylites Amstutz を内包する。
  13. ^ 2023年には、周新茂と张丽兵によって、Selaginella 属が細分化され、7亜科19属に分けられた[32]
  14. ^ 海老原 (2016) では Monilopsida の和名として[16]
  15. ^ Hauke (1978)[nomenclature 1]Equisetum fluviatile L.レクトタイプ指定
  16. ^ Ophiala Desv. と同義。
  17. ^ Botrychium subg. Cheiroglossa と亜属の階級に置かれたとき、ケイログロッサ亜属と呼ばれる[40]
  18. ^ Botrychium subg. Ophioderma と亜属の階級に置かれたとき、コブラン亜属と呼ばれる[40]
  19. ^ ハナワラビ類Bortychioideae、旧ハナワラビ科[43])全てを含む広義の Botrychium ではハナワラビ属とも呼ばれる[36][38]
  20. ^ 2020年にSahashia 属が分離され、それぞれ1種ずつを含む単系統の属となった[45]
  21. ^ Botrychium subg. Japanobotrychum と亜属の階級に置かれたとき、アリサンハナワラビ亜属と呼ばれる[46][47]。日本には分布しない[46]。なお、Hassler (2024)では2種[48]
  22. ^ Botrychium subg. Sceptridium と亜属の階級に置かれたとき、オオハナワラビ亜属と呼ばれる[46]
  23. ^ 範囲sensu Smith et al. (2006)、単系統 (Pryer et al., 2004)[50]
  24. ^ ムカシリュウビンタイ属[52] Archangiopteris Christ & Giesenh.; Clementea Cav.; Macroglossum Copel.; Protangiopteris Hayata; Protomarattia Hayata; Psilodochea C.Presl. を内包する。
  25. ^ Kaulfussia Blume.; Macrostoma Griff. を内包する。
  26. ^ Christensenia 属を含む亜科はクリステンセニア亜科 Cristensenioideae[52]、科はクリステンセニア科 Christenseniaceae[55]とそれぞれ呼ばれた。
  27. ^ Heterodanaea C.Presl. を内包する。
  28. ^ Gymnotheca C.Presl; Stibasia C.Presl. を内包する。
  29. ^ PtisanaMarattia から分離される以前は Marattia がリュウビンタイモドキ属と呼ばれていた[52][37][53]
  30. ^ Osmunda subg. Claytosmunda と亜属の階級に置かれたとき、オニゼンマイ亜属と呼ばれる[58]
  31. ^ Osmunda subg. Plenasium と亜属の階級に置かれたとき、シロヤマゼンマイ亜属と呼ばれる[58]
  32. ^ かつてはマメゴケシダ Didymoglossum motleyiTrichomanes motleyi として含まれ、マメゴケシダ属と呼ばれた[73]
  33. ^ a b ウラジロ Diplopterygium glaucumGleichenia に含まれていた 岩槻 (1992) では Gleichenia がウラジロ属と呼ばれていた[83][84][37]
  34. ^ かつてはSchizaea 1属のみが認められ、その場合は Actinostachys ではなく Schizaea がフサシダ属と呼ばれていた[94]
  35. ^ モーリア属[89] Mohria Sw.Colina Greene. を内包する。
  36. ^ Panicularia Colla と同義
  37. ^ タカワラビ属 CibotiumDicksoniaceae 科に含まれていた岩槻 (1992) では Dicksoniaceae 科がタカワラビ科と呼ばれていた[107]
  38. ^ Pinonia Gaudich を内包する。
  39. ^ Amphidesmium J.Sm.、および Amphidesmium Schott ex Kunze を内包する。
  40. ^ Hassler (2024) ではヘゴ属からチャボヘゴ属 Gymnosphaera が分離され、4属が認められる[114]
  41. ^ Amphicosmia Gardner; Dichorexia C.Presl; チャボヘゴ属[115] Gymnosphaera Blume; Nephelea R.M.Tryon; Thysanobotrya Alderw. を内包する。
  42. ^ かつては Cyathea 属に内包された[116]。2024年現在、チャボヘゴ属 Gymnosphaera Blume が分離され、日本産のクロヘゴメヘゴチャボヘゴクサマルハチがチャボヘゴ属に分類される[115][114]
  43. ^ かつては本属がヘゴ属と呼ばれた[112][116]Actinophlebia C.Presl; Chnoophora Kaulf.; Cnemidaria C.Presl; Cnemidopteris Reichenb.; Cormophyllum Newm.; Disphenia C.Presl; Hemitelia R.Br.; Hemistegia C.Presl; ヒメノフィロプシス属[103] Hymenophyllopsis K.I.Goebel;Microstegnus C.Presl; Trichopteris C.Presl; ×Cyathidaria Caluff. を内包する。
  44. ^ Eatoniopteris Bomm.; Fourniera Bomm.; Schizocaena J.Sm. を内包する。
  45. ^ Cyathea subg. Sphaeropteris と亜属の階級に置かれたとき、ヒカゲヘゴ亜属と呼ばれる[116]。モリヘゴはヒカゲヘゴの別名である[123][115]
  46. ^ オルチオプテリス属 Orthiopteris Copel. を内包する[124]
  47. ^ Lindsayopsis Kuhn を内包する。
  48. ^ かつてホラシノブが含まれていたころはホラシノブ属と呼ばれた[129][110]
  49. ^ Protolindsaya Copel. を内包する。
  50. ^ ただし海老原 (2016) および中池 (2018) では同じ範囲の群、ミズワラビ亜科に対し Ceratopteridoideae (J.Sm.) R.M.Tryon という学名が用いられている[130][131]
  51. ^ Eriosorus Fée; Nephopteris Lellinger を内包する。
  52. ^ Trismeria Fée を内包する。
  53. ^ Afropteris Alston; Anopteris Prantl ex Diels; Ochropteris J.Sm.; Neurocallis Fée; プラティゾマ属[141] Platyzoma R.Br. を内包する。
  54. ^ Schuettpelz et al. (2007)"adiantoids" と呼ばれた群に相当する。
  55. ^ Pleurofossa Nakai ex H.Ito; イトスゲシダ属[130] Monogramma Comm. ex Schkuhr を内包する;Monogramma ではなく Haplopteris保存名とすることが提案されているが、保留中である。
  56. ^ a b かつては日本産の Haplopteris 属の種が Vittaria 属に含まれていたため Vittaria 属がシシラン属と呼ばれたが、新世界の Vittaria と系統的に離れていることが明らかになった[148]
  57. ^ Anetium Splitg を内包する。
  58. ^ Diclidopteris Brack. を内包する。
  59. ^ Leptolepidium K.H.Shing & S.K.Wu; Sinopteris C.Chr. & Ching. を内包する。
  60. ^ Oeosporangium De Visiani を内包する。
  61. ^ Cheilosoria Trevis.; Negripteris Pic.Serm.; Neurosoria Mett. ex Kuhn を内包する。
  62. ^ Bakeriopteris C.Chr.; Cassebeera Kaulf.; Heteropteris Fée; Tryonella Pic.Serm. を内包する。
  63. ^ ギムノプテリス属[155] Gymnopteris Bernh.; ハダカミゾシダ属[156] Gymnogramma Desv.; Neurogramma Link. を内包する。イヌアミシダ Parahemionitis arifolia を含む分類体系(広義の Hemionitis)ではイヌアミシダ属と呼ばれる[130]
  64. ^ Pomatophytum M.E.Jones. を内包する。
  65. ^ Chrysochosma (J.Sm.) Kümmerle を内包する。
  66. ^ イヌアミシダははじめ1828年に Hemionitis cordata Roxb. ex Hook. & Grev. (1828) として記載された[157]。後に Asplenium arifolium Burm. f. (1768) として記載された種のシノニムとされ、Hemionitis arifolia とされた[157]。1974年、John T. Mickel によりイヌアミシダはアメリカ大陸の Hemionitis とは形態や含有する化学物質が異なることから、別属に移すべきだと指摘された[158]。これを踏まえ、1993年に Gopinath Panigrahi により新属 Parahemionitis が設立され、イヌアミシダは Parahemionitis arifolia (Burm.f.) Panigrahi とされた[157]。しかし、これまでイヌアミシダとされてきたタイプ標本Asplenium arifolium)はミミモチシダ Acrostichum aureum であることが明らかとなった。そのため、Asplenium arifoliumHemionitis cordata のシノニムではなく、これに基づく属 Parahemionitis はミミモチシダに対して与えられてしまうこととなった[157]。そこで2016年に Fraser-Jenkins らにより新属 Mickelopteris が設立され、現在イヌアミシダは Mickelopteris cordata (Roxb. ex Hook. & Grev.) Fraser-Jenk. として扱われる[157]
  67. ^ Choristosoria Mett. ex Kuhn; Paraceterach Copel.; Pellaeopsis J.Sm.; Platyloma J.Sm.; Pteridella Kuhn を内包する。
  68. ^ Saffordia Maxon を内包する。
  69. ^ Antigramma C.Presl; クモノスシダ属[180] Camptosorus Link; ケテラク属[181] Ceterach Willd.; Ceterachopsis (J.Sm.) Ching; ディエリア属[181] Diellia Brack.; Diplora Baker[182]; Holodictyum Maxon; Loxoscaphe T.Moore; コタニワタリ属[183] Phyllitis Hill; プレウロソルス属[181] Pleurosorus Fée; スカッフネリア属[181] Schaffneria Fée ex T.Moore; Scolopendrium Adans.; Sinephropteris Mickel を内包する。
  70. ^ Pterinodes Siegesb. ex Kuntze; Calypterium Bernh.; Ragiopteris C.Presl; Riedlea Mirb を内包する。
  71. ^ Pentarhizidium という名前は1927年、早田文藏によってP. orientale の茎の形態形質が記載された際に初めて用いられたが、属の記載文を欠いていたため、この名は裸名 (nomina nuda) であり、1928年の早田文藏による P. japonicum の記載によってはじめて属名として正式発表されたと考えられる[189]
  72. ^ Lorinseria C.PreslLorinsera Opizホモニム(後続異名)であるため、新名または学名の保存が必要である[195]
  73. ^ Chieniopteris Ching を内包する。
  74. ^ syn. Blechnum orientale L.
  75. ^ かつてはヒリュウシダが含まれ、ヒリュウシダ属と呼ばれた[200][201]
  76. ^ Pteridoblechnum Hennipman; Steenisioblechnum Hennipman を内包する。
  77. ^ Doodia 属のシダはヤスリシダと呼ばれる[193]
  78. ^ Stegania R.Br. を内包する。
  79. ^ Spicantopsis Nakai を内包する。
  80. ^ ウラボシノコギリシダ属[169][208] Anisocampium C.Presl; Kuniwatsukia Pic.Serm.; カラフトミヤマシダ属[207] Pseudocystopteris Ching; Neoathyrium Ching & Z.R.Wang; シケチメシダ属[209] ×Cornoathyrium Nakaike; シケチシダ属[169][210] Cornopteris Nakai を内包する。
  81. ^ ×Depazium Nakaike; ミヤマシケシダ属[212] Lunathyrium Koidz.; オオヒメワラビ属[211] Dryoathyrium Ching; Parathyrium Holttum; 旧シケシダ属[211] Athyriopsis Ching; Dictyodroma Ching; Triblemma (J.Sm.) Ching. を内包する。
  82. ^ Allantodia R.Br.; Anisogonium C.Presl; Callipteris Bory; Monomelangium Hayata を内包する。
  83. ^ かつてはヘラシダ属と呼ばれたが、ヘラシダはシケシダ属 Deparia に属することが明らかになり、和名がノコギリシダ属に改称された[213]
  84. ^ ただし、特に日本の種に関して、PPG I (2016) の30属を認めると、雑種属であるコウモリホシダ属[215] ×Chrinephrium を認める必要がでてきたり、引用されている He & Zhang (2012) やAlmeida et al. (2016) の系統解析で用いられた中国産 "Parathelypteris nipponica" の材料は同定が疑わしいためかつて Parathelypteris に含まれていた種の所属が不確かであったりするなど問題点が多い[216]。逆に、Christenhusz & Chase (2014) によるヒメワラビ属 Macrothelypterisミヤマワラビ属 Phegopterisヒメシダ属 Thelypteris の3属に分ける分類体系では形態に基づいた属の定義も可能で、日本産種については学名の新組合せも必要でないなど、問題が少ない[214]
  85. ^ アンフィネウロン属[224] Amphineuron置換名である[225]
  86. ^ Parathelypteris Ching (pro parte) を内包する。
  87. ^ コウモリシダ属[233] Abacopteris Fée; Dimorphopteris Tagawa & K.Iwats. を内包する。
  88. ^ Glaphyropteris Fée を内包する。
  89. ^ 2020年、2021年にも記載され、Hassler (2022)では12種[240]
  90. ^ Campium C.Presl; Cyrtogonium J.Sm.; Edanyoa Copel.; オキナワキジノオ属[243] Egenolfia Schott; Heteroneuron Fée; Jenkinsia Hook.; Poecilopteris C.Presl を内包する。
  91. ^ Aconiopteris C.Presl; Dictyoglossum Sm.; Hymenodium Fée; Microstaphyla C.Presl; ペルタプテリス属[244] Peltapteris Link; Rhipidopteris Schott ex Fée を内包する。
  92. ^ Coveniella Tindale を内包する。
  93. ^ Cheilolepton Fée. を内包する。
  94. ^ Byrsopteris C.V.Morton; ナライシダ属[252][253] Leptorumohra (H.Ito) H.Ito; Lithostegia Ching; Phanerophlebiopsis Ching を内包する。
  95. ^ サツマシダ属[254][241] Ataxipteris Holttum; Pseudotectaria Tardieu を内包する。
  96. ^ タイワンヒメワラビ属[251][233] Acrophorus C.Presl; リュウキュウシダ属[256] Acrorumohra (H.Ito) H.Ito; Adenoderris J.Sm の一部; Arthrobotrys (C.Presl) Lindl.; Diacalpe Blume; Dichasium (A.Braun) Fée; Diclisodon T.Moore; キヨスミヒメワラビ属[254][255] Dryopsis Holttum & P.J.Edwards; Filix Ség.; Lophodium Newman; Nephrodium Marthe ex Michx.; ホオノカワシダ属[241](ホウノカワシダ属[257]Nothoperanema (Tagawa) Ching; ヘゴモドキ属[258][241] Peranema D.Don; Pycnopteris T.Moore; Revwattsia D.L.Jones; Stenolepia Alderw. を内包する。
  97. ^ Amblia C.Presl を内包する。
  98. ^ Acropelta T.Nakai; Adenoderris J.Sm の一部; テンチョウシダ属[241] Cyrtogonellum Ching; オリヅルシダ属[241] Cyrtomidictyum Ching; Hemesteum H.Lév.; Hypopeltis Michx.; Papuapteris C.Chr.; Plecosorus Fée; Ptilopteris Hance; Sorolepidium Christ を内包する。
  99. ^ プサムミオソルス属[264] Psammiosorus C.Chr. を内包する。
  100. ^ Amphiblestra C.Presl; Aspidium Sw.; Bathmium C.Presl ex Link; Camptodium Fée; Chlamydogramme Holttum; キオニディウム属[266] Cionidium T.Moore; Ctenitopsis Ching exTardieu & C.Chr.; Dictyoxiphium Hook.; Dryomenis Fée ex J.Sm.; Fadyenia Hook.; Grammatosorus Regel; ハルランシダ属[265][251] Hemigramma Christ; ヘテロゴニウム属[267] Heterogonium C.Presl; Lenda Koidz.; Luerssenia Kuhn ex Luerssen ; Microbrochis C.Presl; Phlebiogonium Fée; Podopeltis Fée; Polydictyum C.Presl; Psomiocarpa C.Presl; Quercifilix Copel.; Sagenia C.Presl; ステノセミア属[267] Stenosemia C.Presl; Tectaridium Copel を内包する。このうち Amphiblestra, Camptodium, Chlamydogramme, Dryomenis, Grammatosorus, Lenda, Luerssenia, Microbrochis, Phlebiogonium, Polydictyum の分子データはないが、形態から暫定的にこの属に含められている。
  101. ^ アライオステギア属[269] Araiostegia Copel.; ホソバシノブ属[268][241] Araiostegiella M.Kato & Tsutsumi; ダウァロデス属[269] Davallodes (Copel.) Copel.; キクシノブ属[268][241] Humata Cav.; イツツバシノブ属(スキフラリア属[270]Scyphularia Fée; Wibelia Bernh. を内包する。
  102. ^ Drymoglossum C.Presl を内包する。
  103. ^ クリスティオプテリス属[273] Christiopteris Copel., ハカマウラボシ属[277] Drynaria J.Sm., Dryostachyum J.Sm., Merinthosorus Copel., Photinopteris J.Sm., Pseudodrynaria C.Chr., Thayeria Copel. を内包する。
  104. ^ 旧ミツデウラボシ属[279][241] Crypsinus C.Presl; Himalayopteris W.Shao & S.G.Lu; Phymatopsis J.Sm.; Pichisermollodes Fraser-Jenk. & Challis. を 内包する。
  105. ^ Metapolypodium Ching; Polypodiastrum Ching; Polypodiodes Ching を内包する。
  106. ^ Caobangia A.R.Sm. & X.C.Zhang; オニマメヅタ属[282](オオボシシダ属[280]Lepidogrammitis Ching; Weatherbya Copel. を内包する。
  107. ^ キリガタシダ属[283][241] Belvisia Mirb.; クラガリシダ属[283][279][280] Drymotaenium Makino を内包する。
  108. ^ イワヒトデ属[284][279] Colysis C.Presl; Kontumia S.K.Wu & K.L.Phan を内包する。
  109. ^ Dendroconche Copel.; ミツデヘラシダ属[287] Kaulinia B.K.Nayar; 旧オキナワウラボシ属[285][286](タカウラボシ属[280]Phymatosorus Pic.Serm. を内包する。
  110. ^ MicrosorumLecanopteris, Leptochilus, Neocheiropteris, Neolepisorus, Tricholepidium に対し側系統に位置すると考えられているが、さらなる研究が必要である。Microsorium と言及されることもある[288]
  111. ^ かつてはクリハランNeocheiropteris 属に含まれ、Neocheiropteris がクリハラン属と呼ばれていたが、中国南西部に固有の属であることが分かっている[290]
  112. ^ 分子データはタイプ種である Paragramma longifolia (Blume) T.Moore しか得られておらず、もう1種はかなり形態が異なる
  113. ^ Hyalotricha Copel.; Hyalotrichopteris W.H.Wagner を内包する。
  114. ^ Solanopteris Copel. を内包する。
  115. ^ Cheilogramma Maxon; Dicranoglossum J.Sm.; Eschatogramme Trevis.; Lepicystis (J.Sm.) J.Sm.; Marginaria Bory; Marginariopsis C.Chr.; Microphlebodium L.D.Gómez; Neurodium Fée; Paltonium C.Presl; Pseudocolysis L.D.Gómez. を内包する。
  116. ^ Amphoradenium Desv. を内包する。
  117. ^ Plectopteris Fée を内包する。
  118. ^ a b Grammitis s.s.Cochlidium の側系統群であるが、Grammitis のタイプ種である G. marginella はまだ分子データが得られていないため、再定義が必要である。
  119. ^ クシフォプテリス[293] Xiphopteris Kaulf.; Micropteris Desv.; Pleurogramme Blume. を内包する。
  120. ^ a b ZygophlebiaEnterosora の側系統群である。Zygophlebia をシノニムとすればこれは解消されるが、Enterosora のタイプ種の分子データはまだ得られておらず、地位が不確実である[294]
  121. ^ 以前はヒメウラボシが含まれ、ヒメウラボシ属と呼ばれた[292]
  122. ^ a b c Themelium 属は単系統群であるが、多系統である Oreogrammitis および Radiogrammitis の2つの属を含むクレードの中に位置する[295]Oreogrammitis および Themelium のタイプ種はまだ分子データが得られておらず、これらの属を整理するためにはさらなる研究が必要である[295]
  123. ^ Ctenopteris Blume ex Kunze; Cryptosorus Fée を内包する。
  124. ^ Nematopteris Alderw. を内包する。
  125. ^ かつてはキレハオオクボシダ属 は Ctenopteris の学名が与えられていたが、現在では Ctenopteris のタイプ種がチョクミシダ属 Prosaptia に内包されるため、用いられない[296]
  126. ^ syn. Osmunda claytoniana L.
  127. ^ 判別文:Rhizome generally dorsiventral and long-creeping, covered with hairs or proto-scales (true scales absent); sori marginal or sub-marginal, generally protected by marginal pseudo-indusia or by laminar true indusia (sometimes both are present), rarely fully exindusiate.[297]
  128. ^ 判別文:Rhizome short- to long-creeping (rarely ascending), covered with non-clathrate scales or rarely hairs; petioles with one or rarely two (or several fusing into two in the upper part of stipe) vascular bundles; sori marginal to sub-marginal, generally protected by laminar true indusia or rarely by marginal pseudo-indusia or both.[297]
  129. ^ 判別文はMankyua B.Y.Sun, M.H.Kim & C.H.Kim[nomenclature 12]に準ずる[297]
  130. ^ 判別文:Laminae bipinnate-pinnatifid or more divided, or laminae bipinnatifid or tripinnatifid; costae adaxially lacking grooves; veins free, not reaching the margins; chromosome base numbers x = 30 or 31[297]
  131. ^ 判別文:Rhizome erect, covered with multistratose, non-clathrate scales, in cross-section with two concentric rings of meristeles, sori cup-shaped, spores trilete, tetrahedral.[297]

出典

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参考文献

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PPG I

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本論文を引用する際は PPG I (2016) と表記することが推奨されている。

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他の文献

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関連項目

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